ひきこもり支援の現状と課題
現状と課題
ひきこもり当事者やその家族が、身近な場所で相談し、必要な支援を受けることができるよう、市町村レベルでの支援体制の構築が進められ、相談窓口の設置や居場所づくり、関係者ネットワークの構築、当事者会・家族会の開催などが行われています。
内閣府が公表した調査結果によれば、15~64歳の人々の間で、50人に1人がひきこもり状態にあるとされています。支援体制の整備が喫緊の課題とされ、孤独・孤立対策推進法や就職氷河期世代支援の新行動計画に基づき、ひきこもり支援の推進が進められています。
支援対象者が抱える課題は複雑で複合化し、支援の困難さや長期化により支援者自身が疲弊し、効果的・継続的な支援を妨げているとの指摘もあります。長期のひきこもりは、80代の親と50代の子が孤立する「8050問題」が深刻化しているという指摘もあります。
これまでの取り組み
ひきこもり地域支援センター
ひきこもりに特化した専門的な相談窓口として都道府県及び指定都市に「ひきこもり地域支援センター」の整備が進められ、平成30年4月までに全ての都道府県及び指定都市(67自治体)に設置されてきました。
令和4年度からは、より住民に身近なところで相談ができ、支援が受けられる環境づくりを目指して、「ひきこもり地域支援センター」の設置主体が市町村に拡充されています(令和4年度18自治体)。
ひきこもり支援ステーション事業
そして、新たなメニューとして、ひきこもり支援の核となる、相談支援・居場所づくり・ネットワークづくりを一体的に実施する「ひきこもり支援ステーション事業」(令和4年度87自治体)が開始されています。
ひきこもりサポート事業
また、ひきこもり支援の導入として、次の8つのメニューから任意に選択し実施する「ひきこもりサポート事業」(令和4年度85自治体)も開始されています。
さらに、都道府県が市町村をバックアップする機能の強化として、市町村と連携した、ひきこもり地域支援センターのサテライト設置と小規模市町村等に対して財政支援と支援手法の継承を行う事業も創設し、都道府県の圏域内どこでも支援が受けられるよう平準化を図りながら、市町村のひきこもり支援体制の整備が進められてきました。
令和6年度の取り組み
令和6年度においては、各自治体におけるひきこもり地域支援センター等の設置・運営に必要な予算の確保や、新たなひきこもり支援を開始する場合の準備経費の補助が行われ、支援体制整備が促進される予定です。
また、ひきこもり支援従事者を支援するための加算も創設され、効果的かつ継続的な支援体制の構築が目指されています。
さらに、厚生労働省は自治体の相談窓口に活用してもらうための指針を初めて策定し、支援のポイントを盛り込む予定です。
最後に
厚労省は、「ひきこもりは生活困窮やいじめ、リストラといった問題から身を守ろうとして、誰にでも起こり得る社会全体の課題だ」と指摘しています。
「人としての尊厳」を守り、本人の視点に立った対応がなされることが望まれますが、子どもを支援する立場としても積極的に関わっていきたいと思います。
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