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日本の企業が目指すべき方向性のヒントは「ほぼ日」にあるのではないかと思っている件(#読書メモ すいません、ほぼ日の経営。)

GAFAが世界を席巻し、対抗するように中国が台頭する中、ながらく続く日本の低成長に対する危機が叫ばれている昨今。

そんな世の中において、日本の企業はどうあるべきか、という問いに対する回答が本書には詰まっていると思っていて。

例えば、昨今話題のD2Cも15年以上前からほぼ日がやってることに、データ分析がくっついただけ、だと捉えていたりします。(個人の見解ですけど。

そんなわけで、自分の中でも消化しきれていないのだけど、「このことを考え続けなきゃ」と思う大事なことを3つだけ抜き出して、残しておきたい。

目に見えない「心」の問題を大事にする

糸井  この間、中国・上海のビジネススクールの学生たちが来て、「『ほぼ日』で売っているものは手帳ひとつとっても、まねできない要素はなにもないですね」と言ったんです。「大きい会社が仕掛けてきたら危ないですよね。どう考えていますか」という質問を受けました。  
この質問には、「心」の問題がまったく入っていませんでした。  
ぼくは、お客さんはかならず「心」の問題をわかってくれていると思っています。ビジネススクールの学生が言うように、大企業がうちの手帳と同じものをつくって、一〇〇倍の量を売ろうとしたとします。「ほぼ日よりもはるかに安くすれば、みんながほしがるよ」というビジネスモデルも描けます。  けれど、それは間違いです。  
どうしてダメかというと、その手帳には「心」の問題が抜けているからです。

先週も、「大切なものは目に見えない」という話を読んだばかり、なんだけど、これも「心」が宿ると感じるか、という一歩間違えるとスピリチュアルで怪しいツボを売る話に近くなりかねないんだけど、それとは明らかに違う形で「心」というものがある。

それは、「ブランド」という言葉ですでに包含されて、世の中に流通している概念なのかもしれないけど、より売るための技術、手段の1つとして発展した色合いを強く感じる「ブランド」という言葉では、捉えきれない何かがある気がしていて。

糸井  「心」が宿っていると感じるのは、人の「心」がそこで動いている、つまりアイデアになっているからです。アイデアというのは、まずじぶんが「これでやっていけるかもしれない」と未来につながるなにかを感じて、そこに「頑張れば芽が出る」という力が込められて、そこで初めてつよさを持つ。  
そういうアイデアは、周囲から「あいつ、バカだよな」と言われても、つい引き寄せられる。人をよろこばせるもとにもなる。簡単にまねることはできませんよね。

ブランドと心の違いは、ブランドには方便というか建前も含むけど、心には本音しか含まれない、という印象。ブランドは「盛れる」けど、心は「盛れない」そんな感じで今は捉えていて、だから自分はどうしてもブランドやブランディングを自分の仕事の主戦場に置きたくないとずっと思っていたのかもしれない。単なる個人の価値観の話だけど。

人が働く理由は「よろこばれている」という実感、「よろこばれたい」という動機

ずっと、「本気で人が動く」ということが価値を生む上で最大の武器だと思っていて。

自分を振り返っても、今思うとなんであのとき、あんなに覚悟持って戦っていたんだろうと思う場面があって、結果を出せたときって、だいたいそういうときで。その疑問の答えはこのあたりにありそうだと思う。

けれどいまの時代、給料というエサだけで人は本気で動かないのではないでしょうか。お金で人材が釣れる時代は終わったような気がしています。

── ではいまは、人はなにに動かされるのでしょう。

 糸井  人によろこばれているという実感ではないでしょうか。あるいは仲間がうれしそうにしている、ということ。  
たとえばプロ野球の選手たちは、優勝の胴上げの瞬間に一番うれしそうにしています。そこで「俺が一番多く打ったんだよ」といばる人はいませんよね。一方で、選手としてはあまり力がないけれど、「あいつを胴上げしようぜ」と言われるようなこともある。そういうことも含めてチームの力なんです。

この「プロ野球の優勝の胴上げ」のたとえ話は、めちゃくちゃ好き。そういう瞬間のために仕事をしてきた、という場面は自分の仕事人生にも数回あって。実感を持ってしみじみわかる感じがする。

仕事の「動機」はなんなのか。これはとても大事なことです。どんな仕事も「実行」する前にかならず「動機」があります。「こういうものをつくったら、こうやって使ってよろこんでくれるお客さんがいるに違いない」というのが仕事における「動機」です。

仕事の動機、自分の動機ってなんなのか、を掘り下げることを最近意識的にやるようにしている。

ここが明確になると、本気で戦える。

この誰かに喜んでもらいたいが、お客さん、じゃないと、ビジネスとしては続かないし健全じゃないのかも。

「スペック」や「情熱」の競争ではなく、「人がよろんでくれるものを新しく生み出す」ことが企業の目的

ここが一番衝撃を受けた箇所。

糸井  二〇年ほど前、偶然のようにピーター・ドラッカーの本を読みはじめて、「企業の目的は顧客の創造である」という言葉に出合いました。それ以来、どうしたら「顧客の創造」ができるのかを考えて、「人々がよろこんでくれるものを新しく生み出す」というふうに言い換えられると思いました。
「こんなことがあったらうれしい」ということが実現したら、そこに人が集まり、たくさんのやりとりが生まれる。新しい顧客が創られるとはそういうことだと思ったんです。そうやって稼ぐことが、人をよろこばせて市場の創造につながっていく。そんな理想的な循環ができていけばいいな、と。だからほぼ日の経営の根っこには「顧客の創造」があって、これは上場してもまったく変わりません。  
そのために、「おいしい」や「うれしい」といった、人がもともと持っている感覚にもとづいた発想を練り込むことを、きちんとやらないといけないと思っています。

ドラッカーの「顧客の創造」をこんなしっくりくる言葉で言い換えるところが、本当にすごいなと思う。

そして、スペックや情熱の競争は避けたいとも。

糸井  ぼくらは「スペック」や「情熱」の競争は避けたいと考えてきました。

情熱、という部分がわかりづらいので、補足も引用しておくと以下で。

糸井  追い込みをかけるような「情熱」を求める会社も少なくないと思います。それでなんとかカバーしようとしている、あるいはカバーできると考えているのかもしれません。  
ただ、そういうやり方が成功するとは限らないし、無理が続くと身体を壊してしまいます。ぼくは若い頃からそういう「情熱」が大嫌いでした。  
だからうちは、生き生きと働くとか楽しそうに仕事をしているとか、そういうところで勝負をする会社にしていきたいと考えています。  
会社が健康かどうかは、一定の持続性があって社員が生き生きと働いているかどうかだとずっと思っています。

こういうことが言いたかった!ということをある種ポジティブな要素を含む「情熱」という言葉で表現するのがすごい。

情熱は中にいると麻薬みたいなもので、その成功体験があると、頼ってしまう。続かないのに。


まだ、私も消化しきれていないのだけど、とても大切なことがたくさん書いてある本で、おすすめです。

毎週note書いてます

時間が足りなくても、言い訳せず、淡々と毎週書いていきます。訓練なので。

※今回は、7月7日(日)~7月14日(土)分の週報になります。


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