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本当に深刻な「偏頭痛級」の問題を見つけられているか?ーーSTARTUP (ダイアナ・キャンダー著)

去年(2018年)読んだ本の中で、一番学びが大きかった一冊を選ぶとすれば、この「STARTUP」になる。

スタートアップについて学ぶ方法は百万通りある。しかし真に学ぶ方法は一つしかない。起業家自身がスタートアップの失敗・成功を経験することだ。私自身の経験からも断言できる。だからこそ私は教科書ではなく小説を書いた。読者のみなさんは本書のページをめくりながら実際にスタートアップを経験し、貴重な教訓を学ぶ。破産の瀬戸際に追い込まれたり、不安で眠れなくなったりする必要はない。

リーン・スタートアップアントレプレナーの教科書など、スタートアップのバイブルとされている書籍の内容を小説形式で追体験できる本。

2018年から事業開発の当事者となり、新たなサービスを作っているので、自分の進んでいる方向が正しいかどうか検証するための視点を入れるために、折に触れて読み直している。

アメリカ感が濃い目の小説で、最初やや退屈なのと、ポーカーのルールわからないとそこで引っかかってしまうので、一回目に読んだときはしんどかったです。

何度か流し読みして、物語を全部把握した上で、著者はどういう目的でこういう展開を入れたのか?をメタで考えながら読めるようになると、本書の理解が深まるかと。

顧客にとって本当に深刻な「偏頭痛級」の問題を見つける

本書で一番大事な概念を選ぶとすれば「偏頭痛級の問題」

スタートアップで成功したいならどうすべきか。顧客にとって本当に深刻な問題に絞り込んで解決策を見いだすこと。そうすれば成功の確率を大幅に高めることができる。 顧客の問題を分類すれば、単なる頭痛か耐え難い偏頭痛のどちらか。単なる頭痛も嫌だけれども、そんなに深刻に考えない。痛み止めを飲むかもしれないし、飲まないかもしれない。どちらにせよ、いずれ頭痛は消えてなくなり、一時間後には覚えてもいない」

ニーズがある、ない、とかいうレベルではなく、単なる頭痛ではなく、耐え難い偏頭痛級の問題を見つけられるまで、解決策に手をださない、

…言葉で書くと簡単だけど、そんな簡単に偏頭痛級の問題は見つからないわけで。

この偏頭痛級の問題を見つけた段階で起業する、という形が理想なんだけど、既存企業の新規事業開発部門、となると、なんらか、進捗していないとプレッシャーもかかってくるので、偏頭痛級の問題特定の前に、解決策に手をだしてしまい、鳴かず飛ばず、という状況に陥りやすい。

現実的には、単なる頭痛レベルの顧客の問題の解決策でしかないイマイチなサービスを展開しながら、顧客に向き合う中で周辺にある偏頭痛級の問題を特定してピボットしていく、という流れになる。

そういう意味では、既存事業のオペレーションを回す側の仕事をしてる人でも顧客接点がある人であれば、「今、自分の提供しているサービスは、相手の「偏頭痛級の問題」を的確に解消しにいっているのか?」と問うことで新規事業開発の種をみつけられるかもしれない。

どうやったらもっと買ってもらえるか?どうやったらもっと効率的になるか?ではなくて、今提供しているサービスは、どんな悩みを解決するための代替案の一部なのか?という視点で考えて、その悩みが最も深刻な人は、どうやって解消しているのか?を特定していく、というアプローチもありそう。

「偏頭痛級の問題の特定」がすべて、って言ってもいいくらい、個人的には大事だと思う。最近、そればっかり考えてる。

ちなみに現時点では、「(かつての)自分にとっての偏頭痛級の問題」を解決するサービスを作るのが、一番無難だし、ブレないと思い始めていて、そういう方向性で思考を深めるようにしています。

「ティルト」のときに自分がどのように行動する性向があるのか頭に入れておく

ティルトのときに自分がどのように行動する性向があるのか──絶望的な状況に自分がどのように反応する性向があるのか──を頭に入れておくことが肝心だ。

「ティルト」って単語は、この本で初めて知ったんだけど、パニック、と近いけどちょっと違うので、この状態に適切な言葉でラベリングできることで、自己認識できたことで、幾分生きやすくなった感じする。

自分の場合は、ティルトになると、ロジックで自分を正当化することに必死になる傾向があるので、こうなったらティルトだわ、って思うようにしております。

参考:本書で扱う4つの原則

本書の冒頭にまとまっている4つの原則も、何度も読み返したいので、自分のためにもメモとして残しておきます。

原則❶──スタートアップの目的は顧客を見つけることであって、商品を作ることではない  商品を作れないという理由で失敗する起業家はいない。起業家が失敗するのは商品を買ってくれる顧客がいないためだ(注:ここはぜひ二度読んでほしい。極めて重要だから。スタートアップについての研究はいろいろある。そこでは失敗の理由として創業者の経験や資金繰り、所在地、経営体制などが挙げられている。しかしすべて言い訳にすぎない。失敗する本当の理由は明白だ。十分な顧客がいないということ。
原則❷──人は製品やサービスを買うのではなく、問題の解決策を買う

この考え方はジョブ理論にも通じる。

原則❸──起業家は探偵であり、占い師ではない
本物の起業家は事実を追求する。探偵のように行動する。その点で単なる空想家やアマチュア起業家とは決定的に異なる。彼らは当初のアイデアは多数の仮説で成り立っていると認識している。仮説が誤っている場合には事業の方向性を大転換する覚悟もある。仮説が正しいかどうか判断するには現実の世界で検証するしかない。これによって何が推測で何が事実なのか判定できる。


原則❹──成功する起業家はリスクを取るのではなく、運を呼び込む
世間一般の人たちにしてみれば、プロのポーカー選手も成功する起業家も単に運に恵まれているように見える。しかし本当は違う。彼らは勝つチャンスがあると確信できる場合に限ってオールイン(一度に全額を投じる行為) に出るのだ。

本書は、ポーカーの大会を舞台にした物語になっていて、ポーカーとスタートアップを対比させる形で展開することで、「運の運用の仕方」がわかりやすく説明されていて。

1勝9敗でも、その1勝で大勝ちできれば問題ないわけで、小さく賭けながら、勝負どころを見極めて「オールイン」することの重要性をこれでもか、というほど強調してある。

おまけ:去年~今年読んだ本で良かったやつ

本書が自分の中の2018年読んで一番よかったと思う本で。もちろん2018年から事業開発に携わるという環境の影響も大きいのだけども。

他にどんな本が良いと思う人なのかが、わかると参考になると思うので、触れておくと、2018年読んだ本で良かったのは、このあたりで、

2019年に読んだ本でよかったのは、今の所だと、この3冊。

2018年以前に読んだ本で特に影響を受けているのは、過去noteに触れた中では、この3冊になります。

毎週note書いてます

毎週書くようになって、もうすぐ半年になります。

「何が目的なんですか?」と聞かれたりするけど、自分でもよくわからない。

市場価値上げるとか、仕事の引き合い取りたいなら、作り込んだ渾身の一作を投じるべきで、完成度が低くても毎週出し続けるというのはネガにしかならないと思う。

※今回は、6月16日(日)~6月22日(土)分の週報になります。






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