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【要約】知的生産性向上システムDIPS

名著なので、まとめてみました。


1.「仕事の受け方」が生産性を左右する

本書の生産性向上ノウハウのコアは、この「仕事の受け方」にある。

結局、上手な「仕事の受け方」をするためには、「無駄な仕事や無意味な仕事は受けない」そして「受けるときには、自分のスケジュールを調整した上で受ける」しかも「受けた以上は、できるだけ早い時期にブレイクダウンして完成の目処を立てる」という3つのことが必要なのです。

1-①:依頼人の目的を十分に確かめて、目的を達するために必要な仕事が何かを見極める

仕事を依頼してくる顧客や上司の「本当の目的、ニーズは何なのか」をより的確に把握てきると生産性が飛躍的に向上する。

本書では、「流行しているカラオケBOXの今後の動向について調べてほしい」という例が出ていて(時代を感じる)、

なぜ、その情報を必要としているかを余分に聞くことができれば、「カラオケの機械を製造しようと思っている」だったり、「200坪の遊休地を有効活用しようとしている」という事がわかり、調べる事が絞られたり、必ずしも調べなくても出来合いのレポートの流用など別の方法で依頼人の目的が達成できることがよくあると。

本書にはないが、私の経験上だと、そもそも依頼者自身も真の目的や本当のニーズを自覚できていないことがあったりする。

そこで、背景や状況を深く聞いて理解していくと、本人が気づかなかったニーズが明確になり、そもそも依頼されそうだった仕事がなくなったり、別のものになるというケースは割とある感じがする。

1-②:自分のスケジュール(確保できる工数)を踏まえて、納期とアウトプットの期待値を調整・交渉する

仕事を依頼してくる人の指定する納期に絶対的なものは少ない。多くの場合、多少の余裕がある。同様に、求められる品質もコストも、特に根拠なく指定されていることが多い。

それゆえ、自分の仕事の生産性が高まるように、納期・アウトプットの品質・コストについて交渉できると生産性は飛躍的に向上する。

部下が顧客期日を厳守するため「徹夜するしかない」みたいなことを言っている状況で、顧客に電話させ期日を1日延ばせないか聞かせると、案外、かんたんに了解してもらえたりする。こういうやつかと。

解くべき問題の難易度が高い場合には、解くべき問題を変えるか、期日を変えるか、対価を変えるか、を考えるべきで、なにも疑わずに問題を解きにいかないことが大事。

1-③:業務は、速やかに、到達すべきゴールが明確になる程度にブレイクダウンする

依頼された業務に取り掛かる前に、なにをどういう手順で実施するかの設計が上手にできると生産性が飛躍的に向上する。これを本書では「業務のブレイクダウン」と呼んでいる。

業務のブレイクダウンは、依頼を受けたら即実施して、スケジュールに組み込んでみて、難しければ上記1-②の期待値の交渉を再度すべき、とのこと。依頼を受けてすくであればあるほど、時間に猶予がある分、期待値の交渉は容易だし、代替の打ち手も多い。

また、業務をブレイクダウンする時は、やみくもに細かくわけるのではなく、ブレイクダウンされた個々の業務の到達すべきゴールが明確になる程度にするのがコツとのこと。

この到達すべきゴールが明確になる程度、というのがあいまいで分かりづらいのだけど、ここで参考になるのが、本書で、ほぼ唯一役に立つと思う、無理やりすぎない語呂合わせ「HIROENの視点」

ブレイクダウンする際の視点(HIROEN)
・誰かに聞いておくべきこと(Hear)
・誰かに伝えておくべきこと(Inform)
・誰かに頼んでおかねばならないこと(Request)
・自分自身で作業すべきこと(Operate)
・調査、検討を要すること(Examine)
・誰かと交渉すべきこと(Nagotiate)

この視点を持ちながら、依頼された業務をブレイクダウンして、必要に応じて、依頼目的を踏まえた、期待値の再交渉を早期に行うクセがつくだけで、生産性は飛躍的に向上する。

2「時間の使い方」が生産性を左右する

知的作業者が自分の生産性を高めようと思えば、自分で自分の作業ペースを管理しようと考えなければなりません。

生産性向上のあらゆるノウハウで触れられている時間の使い方について、本書でも触れられている。こちらも重要な3つに絞って整理してみた。

2-①:仕事が中断されるような「雑用」を優先的に処理する時間を作る(できればチームで同じ時間にする)

生産性を落とす最大の要因は「雑用による、仕事の中断」にあります。上司やお客様から、「ちょっと、これお願い」と振られる雑用は、自分の仕事に優先して処理される必要があります。(雑用優先の法則)

そこで、それを逆手にとって、雑用を優先的に処理する時間をスケジュール化すると、生産性が飛躍的に向上します。

また、この雑用を処理する時間をチームで共通化しておくと、少なくともチーム内では、声をかけられる時間もある程度コントロールできるため、チームの生産性が飛躍的に向上します。

弊社でも昔「集中タイム」という私語禁止で処理に集中する時間がありましたが、気づいたら自然消滅していました。

逆に集中した作業を禁止する「雑用タイム」を1日3回×30分。朝イチと午後イチと、就業前、あたりで確保して、メール対応や経費精算みたいな雑用を中心にするとともに、

その時間は、雑談も推奨し、緊急でない質問や、ちょっとした質問や相談は、なるべくそこでする、というルールを決めておくと、平常時の個人の生産性が高まるだけでなく、コミュニケーションの活性化によるチームの生産性向上にも繋がりそうです。弊社でも誰か仕切ってやって欲しい。(他力本願)

2-②:発生しうる雑用を予測し、対策を立てておく

雑用の発生による仕事の中断を撲滅するために、さらに踏み込んだ方法があります。

今後1週間に発生しうる雑用を予測して列挙、事前に対策を打って、先に仕掛けておくことで、突発仕事にならないように仕込めると生産性が飛躍的に高まります。

わかりやすい例で言うと、上司から先週依頼された仕事について「あれどうなってる?」とツッコミを受けると仕事の中断要因になってしまいますが、先んじて、「来週に完成予定です」と入れておけば、ツッコミを防ぎ、仕事が中断されるリスクが軽減できる、というやつです。

このような中断要因となる雑用の発生源となる人たちの顔を思い浮かべながら、先んじて対処できることはないか考える時間を作ると生産性が飛躍的に向上します。

・上司
・部下
・顧客
・同僚
・本部・バックオフィス

対処方法については、3つあります。

・攻める(先に連絡を入れる)
・準備して待つ
・回避する
(集中したい時間にそれが起こらないように回避。例:その人の電話はでないとか。)

仕事に追いかけられる人から、仕事を追いかける人になれると、生産性は飛躍的に高まります。

2-③:それでも発生する緊急事態は、分解して打開策を考えてから動く

雑用する時間を確保し、あらかじめ発生しうる雑用を予測し、対策を立てても、自分のスケジュールが守れるわけではありません。お客様からのクレームや上司からの突然の呼び出しなどの緊急事態がスケジュールを乱し、生産性を下げにやって来ます。

生産性の低い人は、このような緊急事態にあわてて対処しようとしてしまいます。

しかし、慌てず緊急事態の実状を見極めた上で、複数の対処法を考えて、1つ1つについて有効性を検討し、最も効果的な1つの対処法に従って手を打っていくことができれば、生産性を飛躍的に向上できます。

この緊急事態への複数の対処法を考える時の視点が以下の6つです。

・質の変更
・量の変更
・納期の変更
・方法の変更
・代替案の検討
・金銭的解決
※それでも無理なら、諦め、ただ平身低頭謝ったり、口約束で借りを作る。

ちなみに、これを憶えるための語呂合わせが先程から何度も意味不明だと罵っている「思慮の砲台、金次第。ならぬならばやめるべし」になります。

3「根回し」が生産性を左右する

従来の方式を変更しようなどという時には、いかにして反対者をつくらないようにするか事前に十分な気を使い「根回し活動」を行っておかねばなりません。

根回しが知的作業者の生産性向上に大きな影響がある、というのが本書の主張。(個人的には「根回し」という単語に嫌悪すら覚える方だけど。)

たしかに、企画やアイディアがいかに上手くできたとしても、合意形成できずに実行に至らねば、成果はゼロ。

そういう意味では、「誰かの意思決定の結果によって生じた依頼を受けて作業するだけの人」で終わるのか、「自分の意思決定で組織を動かして誰かに依頼して作業をさせる人」になれるのか、については、根回しの技術の有無が大きく影響するんじゃないかと。

3-①:根回しのターゲットと優先順位を先に決める

根回しの成否を決めるカギは、誰をターゲットに選ぶか、にあります。

社長の一声ですべて決まるのであれば、関与者全員に根回しをしても無駄なのは自明、社長だけに根回しをしておけば良いわけです。

実際には、こんなにわかりやすいケースは少ないですが、ターゲットと優先順位を先に決めることで、根回しの生産性は飛躍的に高まります。

その際のポイントをまとめると3つになります。


①影のキーパーソンを見逃さないこと
②全員の説得が必要な場合は、難易度の高い人を優先し、トレードオフ(あちらを立てるとこちらが立たない)になる場合、難易度の低い人(折り合いつけやすい人)を優先する。
③根回しの途中で状況が大きく変化した時は、ターゲットと優先順位の見直しを柔軟に行う。

3-②:ターゲットの「障害」を5つの視点で洗い出す

ターゲットを明確にしたら、ターゲットが反対する理由となる、障害を洗い出します。

その時の視点は、本書では6つとあるけど、5つのはず。※このあたりも私の経験なども踏まえた、かなりの超訳なので、しっくり来ない方は本書にあたったほうが良いかもです。

・最新情報が足りていない(判断の必要情報が揃っていない)
・メリデメが理解できていない
・期待される立場が見えていない
・対象者が他の反対者の影響を受けている
・流れ・大勢を理解できていない

この視点で想定される仮説を踏まえ、説得のアクションをとってみて、相手の反応から、新たな障害を類推し、さらなる説得のアクションを取る、という繰り返しが、説得のプロセスになります。

この時、いくらアクションを重ねても、新たな障害が見つからず、こちらのアクションが押し切る、以外に手がみつからない場合には、それ以上説得活動をしても意味のない潮時になります。

3-③:最後は押し切る。信念と覚悟。

「根回し」は、最後の最後は、強引に押し切らざるを得ない場合が多いものです。最後に押し切ることを見越すと絶対的に必要な条件が3つあります。

①根回しする案件が自分の信念に合致しており、納得できるものになっているか
②最後まで反対者がいる場合でも、押し切ってしまう覚悟が出来ているか。
③押し切らなければならない時は、それができるだけの事前準備をしているか。

この3つの条件が満たせないにも関わらず、根回しを始めてしまうと、成功しないだけではなく、途中で自信を喪失したり、逆の根回しをされたり、周囲に混乱を起こしたりして、全く立場を失ってしまうようなことになりかねないので十分に注意する必要があるとのこと。いやー、思い当たりまくる。

ーー

以上が、私による「知的生産性向上システムDIPSの超訳」になります。

ポイントを絞るために割愛したノウハウや、詳しい文脈について知りたい方は、読みづらいので、あまりおすすめはしませんが、勇気を出して買ってみてもよいかもしれません。プレミアついてますが。

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※今回は、10月20日(日)~10月26日(土)分の週報になります。

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