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「CPA脳」のほうがまだマシだけど、「目に見えない大切なもの」をみることから逃げないように(読書メモ #持続可能な資本主義 )

ネット広告代理店の出身者は「CPA脳」と揶揄される。

CPAとは、コスト・パー・アクイシジョンで、1コンバージョンあたりの獲得単価のこと。100万円の広告費を投下して、100件の資料請求が獲得できた場合、1資料請求あたりのCPAは10,000円ってことになる。

このCPAという指標がネット広告黎明期の急成長を支えた。長年の広告の課題はこの一言に集約されていて。

「広告に使っているお金の半分は無駄になっている。問題は、どちらの半分かが分からないことだ」ーージョン・ワナメイカー

ネット広告のCPAという指標は、無駄な広告を特定し、効果のある広告を特定することに役立った。そのわかりやすさから、広告の費用対効果を明確にする指標としてもてはやされ、特定業種における広告主の予算投下を促した。

一方で、弊害もあって、短期の売上につながる広告が評価されやすく、中長期の認知や好意度の向上、いわゆるブランディングに効く広告が評価されない指標で。ゆえに、本来の「広告」がもたらす効果の指標ではない。「販促」の効果指標であり、これを「広告効果」として喧伝されると、ミスリードになることも多い。

もうひとつの弊害として、CPAという指標がわかりやすいがゆえに、思考停止に陥りやすく、その指標が自己目的化しやすいことが挙げられる。CPAでしか判断できない、CPAを良くすることが全て、みたいな、指標が自己目的化してしまっているネット広告代理店の人を揶揄して「CPA脳」とバカにされたりする。

個人的には、「CPA脳」は、最低限CPAという指標は持っているので、なんの効果もない広告を測定もしないでブランディングに貢献した、と言いながら売っている人達に比べたらちょっとはマシだと思っていて。

地方で中小企業の広告費を無駄に使って暴利を貪っている業者は、CPAを測定せず、その概念を知らない人をターゲットにしていたりする。(個人的には、これをなんとかしたくてソウルドアウトやってる側面もある。)

このように「大切なものは目に見えない」ことを逆手に取り、指標には見えないことを利用して、騙して儲けてる人もいたりする。

だからと言って、CPA脳で居続けることを肯定するのではなく、「目に見えない大切なものを見る目」と、「自己目的化しないように慎重にモニタリングする指標を持つこと」が大事だと気づいた、という話。(ここまでが長い前置き。)

前回は、短期PLではなく、企業価値の最大化を目指す、という話だったけど、今回は、さらにレベルを上げて見ると、企業価値の最大化を目指すのではなく、信頼を積み重ね、ファンを増やしていくことを目指すという話。

読んだ本はこちら。

指標の自己目的化が問題

「リターン=お金」のもとでは、「効率よく稼げるかどうか」が最大のモノサシになるのです。
しかし、効率よく稼ぐことをモノサシにすると、困ったことが起きてしまいます。というのも、効率の良さも、稼ぎの大きさも、無限に追求できてしまう。だから「もっと早く、もっと多く稼ぎたい」という人間の欲が尽きない限り、どこまでいっても満足することができません。その結果、本来は幸せを手に入れる手段であった「お金を増やすこと」が、いつしか自己目的化していってしまうのです。

「いい会社」に投資するファンドが運用実績で1位

著者が立ち上げた「鎌倉投信」では、

「リターン=資産の形成×社会の形成×心の形成」への書き換え

として、お金のみならず、社会の形成や心の形成に貢献する「いい会社」に投資するという方針を貫いているとのこと。そんな鎌倉投信が、運用実績で1位になっているとのこと。

2014年の「R&Iファンド大賞2013」では、鎌倉投信が運用する「結い 2101」が、運用実績で投資信託・国内株式部門1位となりました。

この事実が希望であり、「大切なものは目に見えない」ことを逆手に取ってボッタクらなくても、正しいことをしてると指標はあとから付いてくることを証明していてとてもよいなと。

いい会社とは、全てのステークホルダーにファンになってもらえる会社

「いい会社」とは「これからの社会に必要とされる会社」、「経済性と社会性を両立している会社」 を指します。利益さえ出ればいいと割り切るのではなく、社員、取引先、地域、ひいては社会全体にどう貢献できるかをいつも考えている。

その「いい会社」は、「株主への金銭的リターン」ではなく、全てのステークホルダーと双方にとってメリットとなる共通価値を見出す、「八方よし」を目指していく。

ファンとは、いわば「八方よし」の究極の形です。 プロ野球のファンはひいきのチームが勝つと喜び、負けると自分のことのように悲しみます。「優勝」という目標を共有して、チームと同じ方向を向いているからです。 企業も同じです。顧客、社員、取引先や株主、すべてのステークホルダーと目標を共有し、ファンになってもらう。これが、「八方よし」を目指す企業の究極のゴールです。
ファンを中心にした「ファン経済」を目指すことは、企業にとって単なるお題目ではありません。価格選好から脱け出すための、立派な競争戦略です。 そして、ファンが「八方よし」の究極の姿であるとするならば、「八方よし」を目指すこともまた、企業にとってお題目ではありえないのです。

ファンは「いい試合をしたか」を見ている

ファンをつくること、ファンであり続けてもらうことはそう簡単ではありません。ファンは結果だけでなく、プロセスまでしっかり見ています。野球でいえば「負けたけど、今日はいい試合だった」とまた球場に足を運びたくなるような試合もあれば、「勝ったけど、あんな戦い方をするのなら、もうファンをやめたいな」と思わせてしまう試合だってある。ファンは一番の味方であると同時に、厳しい監視者でもあるのです。スポーツの世界同様、ビジネスでも汚い戦い方をする企業にファンはまず生まれません。

GACKTもファン経済だと。

たまたま今週読んだ記事にもファン経済のことが書いてあって。

ファンをつくる、ということにおいて大事にしているのは、【ファンの為の音楽をやるのではなく、また、ファンの為のGACKT でいるわけでもない】ということ。
【GACKTの音楽を追求し、GACKTがGACKTで在ることでファンに喜んで貰う】という考え方。

「GACKT」を所属する会社やチーム、「音楽」をそのミッションに置き換えると、そのまんま「いい会社」にあてはまる。

そもそも、人が生きる意味って、ファンに見られる自分がどうあったらカッコいいかって、そういうことなのかも。

ちょっとまとまんなかったけど、持続可能な資本主義は読んでおくべき本です。

毎週note書いてます!

まとまんなかったけど、未来の自分に伝えたいことは、「目に見えない大切なものを見る目」と、「自己目的化しないように慎重にモニタリングする指標を持つこと」が大事だと気づいた、ということなので、それだけ忘れないようにしたい。

※今回は、8月11日(日)~8月17日(土)分の週報になります。

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