チャラデの移転についてと劇場への考え。

僕が芸人仲間と運営する劇場CHARA DE(チャラデ)が移転することになりました。移転資金の為にクラウドファンディングも始めました。この記事では、チャラデがどういう場所かということと、僕がどういう考えでチャラデを運営しているか、そして今後の展望を伝えたいと思います。

今まで笑いを中心に様々なジャンルのイベントを公演してきました。 そして、劇場運営と並行し、阿佐ヶ谷全域を使った謎解きイベント、高円寺での無料イベント、八王子での謎解きイベント、 八戸での謎解きイベント、コント舞台「チャラ劇」など、街ぐるみでのイベントなども行ってきました。
そんな劇場チャラデ阿佐ヶ谷ですが、三周年を目前にアニメストリート自体の契約切れにより 来年2019年2月いっぱいで撤退しなければならなくなってしまいました。 しかし、まだまだ笑いで様々なカルチャーを盛り上げたい。 そこで今回移転の為にクラウドファンディングをしたりして何としてでも移転しようと行動に移した次第です。

チャラデの説明の前に僕の自己紹介をします。1982年6月16日生まれ。今年で37歳。小学生の頃からの幼馴染みである桑原尚希と一緒に2001年に地元静岡県富士市から上京し、吉本の養成所NSCに入学。2002年デビュー。昔から単独公演に力を入れており、シアターD、シアターブラッツ、シアターモリエール、恵比寿エコー劇場、北沢タウンホールなどの会場で行い、2013年にはルミネtheよしもと、2014年には銀座博品館劇場と会場を大きくしました。ルミネの単独のフライヤーは画家のヒグチユウコさんが手掛けてくださり話題になりました。舞台の脚本演出もしていて、神保町花月では10本以上の公演を担当し、新喜劇の脚本も書いたことがあります。アニメのシナリオと絵コンテも手伝わせていただきました。

2015年に吉本を退社しフリーに。もっと自由に笑いを表現していきたいという思いからフリーになりました。そしてその半年後、相方がまさかのゲーム会社に就職。昔からの夢だったゲームクリエイターになりました。その時に解散を告げられますが、僕が「たまに一緒にやるくらいで続けよう。今更解散する必要がない」と説得し今に至ります。友達でもありクリエイター同士でもあるという関係性でじじい同士になるまで単独公演だけは続けたいなと思っています。

相方の人生を背負わなくても良くなった僕は現在では、エンニュイという劇団を立ち上げ作演出し主宰としても活動しています。イラストの仕事もしており、文芸春秋に掲載されたピース又吉さんの小説の表紙を描いた経歴もあります。謎解きのイベントも作っており、横浜開港記念会館で行った参加型お笑い推理芝居「仮面Xの悲劇」、 リアル脱出ゲームのスクラップの劇場原宿ヒミツキチオブスクラップで行った参加型RPG「ラフクエスト」、 「バカ脱出ゲーム」、阿佐ヶ谷全域を使った謎解きイベント、演者全員顔白塗りで演じるアングラ喜劇「暮羽喜ネマ館」、 仕立て屋のサーカスの照明家渡辺敬之さんとの即興舞台「瞬間を紡ぐ時間」など、様々な舞台をプロデュースしています。

2016年には渋谷のSPACEEDGEという倉庫のようななにもない会場でクレオパトラ単独公演を行いました。この単独から音楽が生演奏になります。そして照明は仕立て屋のサーカスの渡辺敬之さんが担当するようになり更にお笑いを逸脱した公演を求めるようになります。2017年には渋谷ユーロライブにて15周年記念単独公演を敢行。この単独からフライヤーのを漫画家の西島大介さんが手掛けてくださるようになりました。2018年には原宿のVACANTで単独公演を敢行。今まで様々な時代を先どった演劇や演奏会をやってきた会場で初のお笑いライブ。この年に、劇団エンニュイの本公演も三鷹SCOOLで敢行。アフタートークには、スガダイロー、佐々木敦、相馬千秋、山縣太一、深井順子、又吉直樹という錚々たる方々が出演してくださりました。2019年3月 エンニュイが神奈川県のかもめ短編演劇祭の5組に選ばれ神奈川の芸術劇場KAATで公演予定。

と、少々自己紹介が長くなって申し訳ないです。ちゃんとやってる怪しくない人間だということを伝えておきたかったので(笑)自分で言うのもなんですが、同世代の芸人の中では1番笑いの可能性を模索してきたと思います。

ここで劇場の話に戻します。まずチャラデとは? 僕を含むお笑い芸人がプロデュース・運営する自由スペース(劇場)です。

僕が事務所を辞めてフリーになったのが四年前。その頃に僕が街を使って謎解きイベントをやりたいと言っていたら知人の紹介で阿佐ヶ谷の6つもの商店街を使ってイベントを実施することができました。その時に一緒にやっていた方が阿佐ヶ谷アニメストリートを仕切っていて、その方のアニメストリート内のテナント空いてるけどなにか使わないかというお誘いがあったのです。当時フリーになりたてで稽古場やホームグラウンドが欲しかった僕は劇場を作ることにしました。それがチャラデです。

チャラデは、演劇・ダンス・パフォーマンス・音楽・アイドルイベント・謎解きゲーム・映像上演・展示・ワークショップ、、、など、 あらゆるジャンルの“原液”が観られるカルチャーの発信地となるべく運営しています。どのジャンルもカテゴライズされてしまう昨今。 他ジャンルと他ジャンルが結びつき新たな表現が生まれる場所を目指しています。
多ジャンルの方々が集まり、チャラデを拠点に遊びながら様々なアイデアが思いつく秘密基地のような場所。そして、思いついたアイデアをこのスペースで実験できるよう運営しています。

では、この辺で移転の理由をお話します。チャラデは芸人たちが手作りで作ったスペースなので、お笑いライブを行うのに最低限の音響と照明、 謎解きイベントの導入やライブ企画で使用する映像を映すプロジェクターとスクリーン、いくつかのボードゲームとテレビゲーム、 また50席ほどの客席を揃えたところで予算は尽きてしまいました。 その後も、できるだけ面白いことをしたい人たちに負担なく借りていただけるように最低限の料金でやってきた為、 引っ越し資金と移転先での設備の資金が足りない状況です。 資金を貯めておけば良かったのですが、契約更新できる予定で動いていたところ急に アニメストリート自体がなくなることになったため、予算が足りなくなり困っています。 この三年間で得たノウハウを用い更に臨場感のあるイベント、新しい試み、 そして演者とお客様にとって刺激的な場所を作りたいと思っております。
なので、ここでチャラデを終わらせたくはありません。 劇場の移転と設備の充実をしたいと思っています。移転先候補は、高円寺か大久保で現在物件を探している状態です。
そして新劇場オープンにあたり、運営する株式会社も作ります。 今まで以上に、芸人やパフォーマーの方々が表現しやすい環境を作っていこうと考えています。 また、劇場運営の他にも、イベント制作や芸人さんへの仕事の仲介など表現者がバイトせずに 創作に専念できるような仕組みを作ったりしていきたいです。 会社にすることにより、出演者のブッキングや地域事業などもしやすくなると考えています。 劇場移転と会社設立でこれからのライブシーンやカルチャーを少しでも盛り上げていきたいです。

当劇場の強みはなんといっても貸し劇場として埋まっているということです。
他の芸人が運営している劇場は、基本自分たちのイベントで収入を得ています。
しかし、チャラデは一ヶ月全て貸しイベントで埋まります。なので、収入は確保された状態で他のイベントに 打ち込むことができます。
しかし、その反面一定以上の利益は見込めないという難点があります。そこは移転後、他の劇場でのイベント 運営や、昼寄席などで更なる収益を狙っていこうと考えています。

新劇場のイメージは、キャパ40~50程度で考えています。舞台も使う側のイメージ次第で動かしたり取り除けたりするようにしようかと 構想しています。様々なジャンルの方が実験できるからです。
キャパの理由は借り手の若手はまだ集客がなく払える料金も 25000円くらいが限界だからです。席数50以上になるとどうしてもテナント代も高くなりレンタル料も3万を超えてしまいます。 まずは小さい下北のOFFOFFシアターくらいのキャパから始めて、二年くらい経ったら新しく90キャパくらいのしっかりした 劇場を作れたらなと思います。50くらいの変形可能な劇場でたくさん実験し人気と実力をつけてもらい、90キャパの劇場を 使ってもらうというのが理想です。

純粋なお笑い番組も減り、子供のなりたい職業トップテンにもはいらなくなったお笑い芸人。 しかし、お笑いという文化が確立されてたかだか90年程度。テレビのお笑いタレントのカタチになって50年程度。型にはまりすぎた芸は勿体ない。 まだまだ発展途中のジャンルなはず。ドリフターズ、ひょうきん族、シティーボーイズ、ダウンタウン、ラーメンズ、、、先人たちが作ってきた新しい笑いの カタチ。それはまだまだ開拓できるはずです。今の若手は決められたカタチの中で新しいことを作ろうとしています。 でも、それは結局は先人が作ったルールとフォーマットのなかで泳いでいるだけにすぎないのです。

例えば、なにも道がない中新しいことをしようとしてユニットコントなどをしたりしていたラーメンズ、バナナマン、おぎやはぎと、それに憧れてそのフォーマットで新しいことをしようとしている若手コント師では全然違うのです。圧倒的に後者のほうが観客に与える刺激が少ない。なんなら前者の方々もラジカル・ガジベリビンバ・システムのフォーマットを使おうとしていたかもしれない。ラジカルは演劇というカテゴリーかもしれませんが。

真似をするなとは言いません。ただ諦めないでほしい。まだまだ新しい表現はあります。演劇界もこれくらいの時期に劇場をつくるものや新しいフォーマットを作るものが現れたと聞きます。 僕らはお笑いという文化の発展と、若手の育成にも目を向けた 劇場づくりを目指しているのです。何故なら、もっと自由な芸人が出てきてどんどん枝分かれしていったほうが面白いからです。

みなさんは「お笑い」というと、どういったものを思い浮かべるでしょうか?

それは本当にお笑いですか? 本当のお笑いってなんですか? 今の若手は「お笑い」というジャンルを好きな人が、自分のイメージする、自分の見てきたものを焼き直しをしているように見えます。ルールの決まった「競技」の中でテクニックだけがどんどん向上していっている状況。お笑いヲタクが憧れたお笑いの世界を模しているにすぎない。

競技になっていること、テレビに向けていることは悪いこととは思いません。先程枝分かれしたほうがいいといったのも、それを含めてのことです。ゴールがテレビと賞レースしかないという一本しかない枝を裂いていこうと提案しているのです。

芸人人口が年々増えています。なのに出れる番組は減っています。そんな中みんなは自分に合う趣味を見つけて仕事にしようとしたりします。そんなことするくらいならバイトした方がましです。趣味や他ジャンルに飲み込まれるのはやめた方がいい。手っ取り早く金になるかもしれない。少しテレビに出れるかもしれない。でもそれが本当にやりたかったことなのか? 人にはそれぞれ動機があります。金持ちになりたい、モテたい、有名になりたい、、などなど。なので一概には否定はできません。でも、飲み込まれるのではなくお笑いに飲み込むことはできないのかなと僕は思います。芸人は器用だから相手のジャンルに合わせすぎてしまいます。でも、他の手法をお笑いに持ち帰ることが今後の課題になってくることでしょう。

「お笑い」っていうのは、もっと可能性のあるものなんじゃないかと思っています。だから、僕は演劇やアートから手法を盗んでお笑いに混ぜて化学反応を見て実験を繰り返しています。
何故それをみんながしてこなかったか? それはお笑いが他のジャンルとの関係を鎖国してきたからです。その中で出来上がった感覚が「お笑いが1番オモロイ」です。でも、実際他のジャンルを色々と見に行くとお笑いはダントツで成長が止まっています。そりゃそうです。他のジャンルを観に行って勉強してないのだから。更にそれだけではなく「お笑い芸人」という謎の定義から外れると批判する輩も多いのです。でも、その鎖国のおかげで笑いのテキストは相当なレベルまで進化しています。みんな戦わされてきたからです。負けたら仕事がこないのです。だから、戦わなくなった僕なんかがどうこう言えないところまでテキストは成熟してきています。だからこそ、その先に行ける気がするのです。今の若手はyoutubeなどでどんどん先輩のネタが観れる。だから技術だけが向上していく。でも、それは笑わす部分だけです。そこに演出や他のジャンルのテクニックを笑いに昇華したものが入ったらもっともっと面白い。

お笑いも「舞台」です。舞台を使う表現は違うジャンルでもたくさん観に行った方がいい。

お笑いの舞台はまだまだこれから進化していきます。海外でウケる舞台ももっと作れるはずです。笑いで辛い日本の歴史などを紹介する作品なども作れるはずです。

その為には他ジャンルと交流できて実験できる場が必要なんです。それがチャラデになったらいいなと思っています。演劇界とお笑いを行き来する僕だからできる実験の場を作ります。必ず近い未来お笑いの舞台は、まだ観ぬカタチに進化します。それも色々なカタチに枝分かれして。

かと言って堅苦しいライブをするって話でないです。もっと自由にやるってことです。なにかの目を気にするんじゃなく。演者さん一人一人の感性が見せれたらなと思います。それを少しでもバックアップできたらなと。

要するにドキドキしたくないですかって話です。演者もお客様も。

これが僕の気持ちと考えです。もし賛同してくれる方がいらっしゃいましたら、チャラデのクラウドファンディングよろしくお願いいたします。賛同しなくてもお金入れてくれたら飛び跳ねて喜びます。

https://camp-fire.jp/projects/114045/activities/71248


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