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たった一人のクリスマス



クリスマスが誕生日

誕生日プレゼントも、クリスマスプレゼントも一緒
だから
プレゼントの嬉しさはいつも半分

クリスマスが誕生日
誕生日と一緒だから
どんな記念日より2倍大好きな日

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クリスマス生まれの
少女にとってクリスマスは何よりも大切な日でした

そんな彼女の
去年の誕生日

少女の為のプレゼントを買って家に帰ろうとしていたお父さんは
事故に遭って亡くなってしまいました・・・

それからの一年は、まるで家の中の灯りが消えたよう
お母さんは毎日働いて頑張りますが
家は、どんどん貧乏になって
お母さんは病気になりながらも働いています

お母さんは少女に言います
「今年のクリスマスには大きなツリーを飾りましょう。お父さんが持ってきてくれたこの星のオーナメントを飾りましょう」

去年亡くなった父親が
少女の為に買ってきた美しい星の形のオーナメント

これを今年のクリスマスに飾ることが少女の夢
お母さんの希望

少女は仕事でお母さんがいない事は寂しいいのですが
必死に頑張りました
家が貧乏になっても我慢しました

そう
クリスマスにはツリーにオーナメントを飾るのです


そしてクリスマスの一週間前。。
お母さんは家に帰ってきませんでした
少女は心配しました

でも帰ってきません
次の日も
次の日も帰ってきません

たった一人で留守番をする少女
もう、暖炉の薪も絶え
家は外のように寒く、食べるものもありません

それでも、少女は待っていました
星のオーナメントを抱きしめて
お母さんが帰ってくるのを。。。

いよいよ明日はクリスマス
お母さんは帰ってきません

少女は、寂しくて、心配で、ひもじくて、寒くて、泣きながら星のオーナメントを抱きしめました
そして深夜12時を過ぎたとき
星のオーナメントは輝きだしました

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少女が驚いていると
あたりは光に包まれて
美しい白銀の世界へ、そしてそこには美しいツリーと無数の光り輝くオーナメント

まるで夢の国のような場所にたどり着いたのです
少女はびっくりして、嬉しくてツリーの周りを歩きました

そして自分の姿を見ると、美しいドレスを着ていました

「こんなドレスみたこともない。。。」

少女が驚いていると、手に持った星のオーナメントが優しく少女に語りかけました

「あなたは、ここにいるといい。おなかも空かず、、年もとらず、君が望むものは何でも手に入る夢の国だよ。ここで私と一緒に暮らそう」

そう、少女に語りかけました

すると、少女は言いました

「ありがとう。でも遠慮するわ。私はこんな綺麗な場所よりもお母さんの側がいい。お母さんと一緒がいい。クリスマスはもう来なくていいからお母さんといたいの」
「どんなプレゼントも要らないわ。だからお母さんと一緒がいい」

そう強く、星のオーナメントに言いました・・

オーナメントは、少し寂しそうに、そして哀しそうな声で

「わかったよ。君ののぞみを叶えよう」

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そう言いました

クリスマスの朝


街の人達が少女の家に行きました

森の中で行き倒れて亡くなってしまった、お母さんを樵が発見し

皆が家まで訪れたのです

家の中には、眠ったような表情で動くことを止めてしまった少女がひとり


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彼女は、いま・・・おかあさんの元にいるのでしょうか・・・・


玄光社 フォトテクニックデジタル誌に掲載

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