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フランスのエンジニア養成機関「42」についてまとめてみました。

こんにちは、長谷川文二郎です。
現在、フランスのエコール42というプログラミングスクールでC言語を学んでいます。

今回は、そのエコール42についてまとめてみようと思います。

ここは学費無料だったりと、24時間365日空いていたり、いろいろぶっ飛びすぎてフランスでは有名なのですが、あまりにも42自体が日本で知られていないので、今回紹介しようと思います。

エコール42について

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2013年にパリで始まったプログラミングスクールです。
あ、ちなみに、エコール(école)とはフランス語で「学校」という意味です。

以下にも挙げますが、学費が完全無料、「先生不在で生徒同士で教えあう」スタイル(ピアツーピア学習)という点で話題になっています。(正式な学校としては認可されていません。)

特徴として、以下の3点について詳しく紹介します。

1.学費無料/入学条件が18以上なら誰でも
2.生徒同士で教えあうピアツーピア学習
3.入学試験(Piscine)



1.学費無料/入学条件が18歳以上なら誰でも

42では、学費が無料です。PCも用意されていますし教科書等など副教材は存在しないので、本当の意味で学費が無料です。(もちろん衣食住は自分でなんとかしなきゃいけないです。)

また、応募の条件に学歴は関係なく、18歳以上であれば誰でも応募できます。学歴や学位、バカロレア等で自ずと進路が決まってしまうフランスの学校事情からしてもこの点はとても斬新だそうです。

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ここで疑問に浮かぶのが、どういったビジネスモデルで成り立っているのかという点です。どうやって学校が運営されているのか。

答えは、「ビジネスでやっていない。」です。

実は現在42は、42の創設者であるフランスの資産家グザビエ・ニール氏が学校の運営資金を寄付していることで成り立っています。

学費は無料であり、開校後最初の10年(推定で2,000万から5,000万ユーロかかる)はザヴィエ・ニエルの個人資産から投じられる
引用元-wikipedia 42(学校)

42創設の理由も、「フランスの教育を民間で変えないと」というもので、そのため、入学に当たって学歴の制限は全く設けられていません。

ザヴィエ・ニエルは42を開業するにあたり、フランスの教育に関する壊滅的な状況を何とかする必要があると述べている。
引用元-wikipedia 42(学校)

このオープンで奇抜な学校というアイデアが特徴の一つ目です。

創立の経緯や、思想に関してはこちらの記事が詳しいです。
Medium エコール42 ー創立編ーby@ryaoi42



2.ピアツーピア学習

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42にはコードを教えてくれる、いわゆる”先生”の存在がありません。

「グーグルで調べてわからなかったら、隣の人に聞いて、それでも分からなかったら、もう反対の隣の人に聞こう!それでも分からなかったら席を立って、人に聞きに行こう。」

というステートメントがあります。これが意味するように、42では生徒同士で教えあいながら、お互いに学習していくというスタイルの教育を行なっています。

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42では課題を解いたあと、他の生徒に答え合わせをしてもらいます。

答え合わせの相手はシステムによって自動的に決まります。なので、自分より進捗の遅い人が相手になることも多々あって、その場合は、課題の意味や、コードの意味を1から教えることになります。

そういった「答え合わせをしてもらう側が相手に教える」という一見不思議な光景も、42で見慣れた光景です。(ビギナーの私は毎日人に教えてもらいながら人の答え合わせしています😭)

この学習方法は、人に教えることが勉強になるという教育的観点からも良いし、先生がいない=生徒の管理のコストが下がるという経済的観点からみてもいい。とてもリーズナブルな教育システム。これが2点目の特徴になります。



3.入学試験(Piscine)

そして、最後の特徴が42の入学試験です。

テスト期間は1ヶ月。最大で800人が一度に学校に集まり受験します。

その名もPiscine(ピシン)

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フランス語でスイミングプールという意味。

「応募者をプールに突っ込んで、1ヶ月溺れずに必死にもがけ」という意味が込められているといいます。

名前からも想像できる通り、過酷なテストです。私も経験しましたが、月の終わりになってくるとつらさと楽しさが入り混じった変な気持ちになるくらいは過酷です。

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※写真はイメージです。

そしてこの入学テストは、先述したピアツーピア学習で、C言語を0から学びながら課題をクリアしていくというテストです。

年齢制限がないので、私が受験したときも10代から様々な年代の男女が集まっていました。またプログラミング事前知識0の人が意外と多くて、初心者同士、助け合って学んでいけて、とてもカオスではあるけど、楽しい思い出がいっぱいあります。

教育的観点から見ると以下のようなメリットが挙げられます。

・1ヶ月テストが続くことで、お互いに学校とのマッチング率や、入学へのモチベーションをより正確に測ることができる。
・ピアツーピア学習法に適合する人を選別することができる。
・プログラミング非経験者でも頑張ればついていくことができる。

私は以前、DMMアカデミーという教育系の組織に所属していましたが、面接でモチベーションやお互いのマッチング度測ることの難しさに辟易とした覚えがあり、Piscineのモチベーションの測り方はとても感心(リスペクト)しました。

まとめ

Piscineの項でも触れましたが、学歴や金銭的な理由に関係なく誰にでも門戸が開かれており、誰でも入れるチャンスがある。ということがとても素晴らしいところだと私は思います。

もちろん、42のシステムが最強というわけではなく、既存の学習システムに合わない人たちの居場所として以上が日本の方々にアピールしたい点でした!

本当は、

・入学試験(Piscine)の様子や体験談
・運営からのお仕置きのシステムについて
・実際の学習の進め方
・他の生徒の様子
などなど

もっと42について語りたい(語れる)のですが、情報が膨大すぎるのでひとまず締めたいと思います。

そもそも、いろいろと日本語化されていない情報があるので、基本的な情報から日本語化して、エコール42が日本の学生の選択肢の一つにしていきたいです。

何か質問やnoteのリクエストがありましたらTwitterにてご連絡ください🙇

※以下の記事はもっと詳しく42のことについて書かれていますのでぜひお読みください。(こちらも42の学生が書いています👨‍💻)

Medium エコール42 ーピア・ツー・ピア教育法について



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