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なるべく上等な劣等感日記

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誰も劣等感を脱ぎ捨てることはできない。人生はけっして素晴らしいものではないが、どうせ生き続けなければならないのなら、なるべく上等な劣等感を身につけた方がいい。 ──吉行淳之介
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#恋愛小説

恋と料理の相乗効果

難易度の高い対談構成の仕事があって、うんうんと頭を使いながら、洗濯機を回したりして、そわそわと過ごす。夜に、すこし久しぶりに恋人が家に来てくれる。会えてうれしい。といっても、10日くらいぶりなんだけど、ぼくはそれを「久しぶり」とすんなり書いているところは、どうにも胸がよじれる。

だれかのために料理をするのは、とてもたのしい。あれこれと献立を考えるのは、日常にある知的な喜びのひとつだ。

寒いから

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恋愛体質は、わるいことばかりでもない

毎日まいにち、恋人のことを思って暮らしている。それはただしく「恋」なんだろうか、という不安がいつも湧いてくるのを、本で覚えたばかりの方法でなだめながら、半額だった鳥手羽元を焼き付け、きざんだ玉ねぎとしょうがを炒め合わせて、きのこを加えて、水を注いで塩で味付けたスープをつくった。まだちょっと、うまく馴染んでいなくて、熱い。

恋は、自分自身の思ってもいない明日へ、あっという間に連れて行ってくれるから

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17歳の僕は「セックスがわからない」って日記に書いていた

2枚セットで売られていたオージービーフの牛サーロイン150gの2枚目を、夜中に焼いて食べた。ほんとうはぼくが食べるはずのなかった2枚目なので、すこしだけさびしいけれどステーキは美味しかった。一食分だけあまった葱と三つ葉の味噌汁をあたためて。美味しく食べることと、微笑むことは、たぶんどこか似ている。

ちなみにステーキは、オージビーフの公式サイトで焼き方が載っていて、とってもわかりやすかった。肉を3

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