熱すぎる思い込みを胸に抱いて進め

仕事で、五反田から品川へ移動するときに、すこしだけ間が空いたので歩いていくことにした。

コワーキングスペースのCONTENTZさんのそばにある「信濃屋」で生姜のきいた唐揚げに、豚肉よりあっさりながら充実感のある鳥メンチを買って、美味しい飲み物が詰まったロング缶を傾けながら、ぶらぶらと向かう。

坂を登っていると、ふと目に入ったのが「ソニー歴史資料館」だった。時間もちょっとあるので、入ってみることにした。本当は予約制なのだけど、タイミングよく誰も見学者がいなかったのもあって、ご好意で入れてもらえた。

https://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/Museum/index.html

ソニー歴史資料館は、ソニーがこれまで世に送りだしてきた代表的な商品と、さまざまな資料を中心に展示を行っております。それらの展示を通して、ソニーのモノづくりの精神を感じとっていただければ幸いに存じます。

創業者の井深大は、会社設立の目的を「技術者がその技能を最大限に発揮することのできる“自由闊達にして愉快なる理想工場”を建設し、技術を通じて日本の文化に貢献すること」と、記しています。そして「人のやらないことをやる」というチャレンジ精神のもと、数々の日本初、世界初の商品を打ちだしてまいりました。

ウォークマン初号機から何からの貴重すぎる実機をながめていても楽しいし、たった50年そこらで僕らがスマートフォンで何でもやっていることの「すごさ」を感じられるのも面白い。

そして何より、井深大の言葉がいい。引用した「自由闊達にして愉快なる理想工場」というビジョンも最高だし、そのほかにもいろいろな言葉が歴史資料館には掲げられていた。

たとえば。

たわいのない夢を大切にするところから革新が生まれると思っている。

まず強い目標を立てる。それを達成するためにあらゆる技術を動員するのだ。

などなど。

他にも、アメリカで小型ラジオを売ろうとソニーが持ち込んだとき、取引先からの条件として「ソニーブランドではなく50年の歴史ある我が社のブランドとして売る。君たちのブランドなど誰も知らない」と突きつけられ、こう返して破談にした話もすごかった。

「50年前、何人の人があなたの会社を知っていたでしょう。私たちの会社は今、50年の第一歩を踏み出したばかりだ。50年後には、あなたの会社と同じくらいSONYを有名にしてみせる」──https://www.sony.co.jp/SonyInfo/CorporateInfo/History/SonyHistory/2-23.html

たまたま入った歴史資料館で、ぼくはひとり、胸を高鳴らせていた。そりゃあ、うまくいったから美談になるけれど、美談の根っこは誰かの熱すぎるほどの思い込みなんだ、という気づきは、ぼくを励ました。

人生は何度も何度も何かをするには短くて、物事を吟味したくなる気持ちもわかるけれど、今日より明日になれば死が近づいていくのは変わらない。走りながら考えるくらいがちょうどいいんだろう。

そして、夜。すばらしい編集者の方々と卓を囲む飲み会で、この気づきを体現するかのような熱い展開が目の前でおきた。どうなるかはまだわからないけれど、本当になれば「これがいつ起きたのか」を書き留めたくなって、ここに残すことにした。

#日記 #エッセイ #コラム

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最後まで、ありがとうございます。また、あした!

わ!うれしい。
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長谷川賢人

なるべく上等な劣等感日記

誰も劣等感を脱ぎ捨てることはできない。人生はけっして素晴らしいものではないが、どうせ生き続けなければならないのなら、なるべく上等な劣等感を身につけた方がいい。 ──吉行淳之介
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