最終回とカタルシス


好きな映像作品の最終回を何度も見返してしまう。同じものを何度も。

それでも、カタルシスを得られる最終回は、何度見返しても感動するのだ。

個人的には、不器用な主人公ふたりが対峙して、互いへの今まで言えなかった想いをぶつけ、それによって主人公や見ている自分が固定観念から解放されていく展開に、特に胸が熱くなる。

今回は、最近の僕が何度も見返してしまう、いくつかの魅力的な最終回を紹介しようと思う。


明日のたりないふたり

山里亮太さんと若林正恭さんによる漫才ユニット”たりないふたり”が、2021年5月に無観客配信で行った解散ライブである。また、2012年より日本テレビで放送されたお笑い番組「たりないふたり」シリーズの最終回であるとも言える。このライブは両者のファンにとって伝説であり、今更語るには恐れ多いほど、noteにもTwitterにもたくさんの方の熱い感想文が載せられている。

※ここからネタバレを書くので未見の方はHuluで見てください。

https://www.hulu.jp/ashitano-tarinai-futari-special?detail=open

池から出てきた若林さんが、自らの山里さんへの向き合い方についての後悔と、山里さんのスタンスへのエールを叫ぶ場面は涙なしには見られないし、ワカバヤシンが自らのコアを貫き、MCwakaが魂のリリックを繰り出す場面は、見ているこちらまで鳩尾が熱くなる。

アップデート出来なかったと叫び、下から関節を取るための偽りの恥部ではなく本当の恥部を曝け出す山里さんは人間的魅力に溢れていたし、ヘリコプターに捕まろうとする若林さんの足を掴み、“たりない”まま歩いてきた道のりで見つけたものを語りかける山里さんの言葉には、何度も大きく首を縦に振って頷きながら見てしまう。

最後に現れた大阪のラッパーと新潟のDJに若林さんがかけた言葉も、特別版として追加編集されたその後の彼らの「のびしろ」も、若林さんが伝説になってしまうと危惧する山里さんも全部が最高で、何度見ても憧れと尊敬で胸が熱くなる。


異世界美少女受肉おじさんと

サイコミにて連載の、原作:津留崎優、作画:池澤真による同名漫画が原作のアニメ。2022年1月期放送、全12話。平凡なサラリーマン・橘日向(32)と、幼馴染のハイスペック男子・神宮寺司(32)が異世界に飛ばされてしまい、その際に橘だけが美少女の姿になってしまうことから始まる異世界ラブコメディー。元々の親友関係を壊さないために、互いを好きになる前に一刻も早く魔王を打倒して元の姿に戻らなければならない、おっさんと元おっさん美少女の、絶対に惚れてはいけない異世界ラブコメディーである。

※ここからネタバレを書くので未見の方は各種配信サイトやDVDで見てください

その最終話に、神宮寺への嫉妬を拗らせ、悪の組織に利用されてしまった橘を取り戻すため、神宮寺が橘に想いをぶつけるシーンがある。1話約23分のアニメにも関わらず、3分にわたって橘を熱く褒め続ける。アニメ史に残る長い褒め言葉である。『人を褒めたことがない』と語っていた神宮寺が、止め処なく橘を褒めまくる。このクソデカ感情に、カタルシスを感じずにはいられない。ちなみにシュバルツくんが友達の山里くんの話をし始めた時、僕は『さよならたりないふたり』を思い出してしまっていた。全く違う文脈を勝手に繋げてしまって申し訳ない。


まちカドまぞく

まんがタイムきららCaratで連載の、伊藤いづもによる同名漫画が原作のアニメ。1期は2019年7月期に放送され、2期は2022年4月から放送中。ある朝、突然まぞくとして覚醒し、一族の呪いを解除すべく奮闘する闇の一族の末裔・吉田優子(シャミ子)と、彼女に狙われつつもなんやかんやで彼女を放っておけない魔法少女・千代田桃を中心に繰り広げられるご町内ファンタジーである。ここでは1期最終話を取り上げるが、2期も全話最高なので、未見の方は今からでも追いついていただきたい。

※ここからネタバレを書くので未見の方は各種配信サイトやDVDで見てください

1期の最終話で、魔法少女と吉田家にまつわる重い過去を知った桃。そんな桃に、シャミ子が語りかける言葉が、優しさと真っ直ぐな愛に満ちていて胸が熱くなるのだ。「ひとりでの戦いは諦めたらどうだ」だなんて、おじさん感動して泣いちゃうよ。そして、「眷属にしたいなら実力で私を倒せ、期待しているぞ魔族よ」という桃の言葉にも、桃なりの不器用な愛情表現が表れていてとても良い。


逃げるは恥だが役に立つ

海野つなみによる同名漫画が原作の連続ドラマ、2016年10月期に放送され、2021年1月にはSPドラマも放送された。放送当時は社会現象になり、出演者同士の交流が現在まで続いていることもあり、この記事で紹介したコンテンツの中ではダントツの知名度を誇るであろう、説明不要の大ヒット作である。プロの独身・津崎平匡が、家事代行を頼んでいた森山みくりとひょんなことから契約結婚するところから始まる、“ムズキュン“新感覚社会派ラブコメディだ。

※ここからネタバレを書くので未見の方は各種配信サイトやDVDで見てください

最終話の、みくりさんの心のシャッターを平匡さんが開けようとする場面で、「僕は開け方を知っている」という平匡さんのモノローグからみくり名場面集が始まるあのシーン、何度見ても込み上げてくるものがあります。もちろんその後のセリフも素晴らしい。そして最後、これまでみくりの脳内に再三登場した「小賢しい」という”呪い”が、平匡さんの一言でとけるシーンがとても印象的で、一度見たら忘れられないし、何度も見返したくなってしまう。




さて、なぜ急にこんな記事を書いたかというと、僕がカクヨムで毎日投稿しているラブコメ小説が、明日で最終回を迎えるからである。

https://kakuyomu.jp/works/16816927860181133630

今回紹介した大好きな作品たちと同じ土俵に立てるとも到底思えませんが、できる限りカタルシスがある最終回になるように唸りながら鋭意執筆中です。明日の夕方ごろには更新されるはずなので、読んでいただけたら幸いです。

というわけで宣伝記事でした。

(というか、宣伝にかこつけないと、もはや語り尽くされたコンテンツを今さら語り始めるきっかけが見つからなかったんです。お目汚し失礼いたしました。今回挙げた作品については、近いうちに詳しく語ります。)

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