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偶然の産物


※前回の続き

ナレーター『 そういった「いつか僕がやらなければいけないこと」の一つに、「自分で作ったものを持ち歩く」というのが勝手に追加されたのは、そう、友人の財布の新調のために、ブランドが立ち並ぶ百貨店に潜り込んだ時のことです。』




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私『東京は、有楽町・銀座で財布巡りをしました。ちなみに僕はブランドショップが怖くて仕方ありません。それは今も変わらずです。勝手な被害妄想だってことくらいわかってるんですけどね。なぜか、店員さんに「お前みたいなダセえ奴はこの空間に来るな!汚れるだろ!」って、口には出さずともプレッシャーをかけられた気持ちになるんです。

(『機動戦士Zガンダム』シャアの「なんだ、このプレッシャーは!」のセリフのSE)

浅はかな僕は、店内においてある最新のオシャレな縦長手持ちバックを見て、「これ実は中にお米入れて、焚き火で炊くやつだったりして!」みたいな、失礼極まりない発言をする始末でした。ここで茶化さないと、「なぜこんなのにそこまでしてお金を払うんだろう」という疑問が拭いきれなかったんです。「バックと見せかけて実は飯盒炊爨」というボケの為なら数万円で買えるのは安いと思いますよ。ただ、バックとして使うのはもう、僕の感覚ではわかりません。

そんな調子で、自分がお金がなくジリ貧で、髪を後ろで結ぶ俗世離れ侍ヘアーなのをいい事に、高すぎて買えないブランドものに悪態を吐くという、ヒールレスラーばりのダーティープレーを連発しました。今思えばブランドものに罪は無いんですよね〜。ですが、この「お金がない」というのは逆転の発想を生み出しました。』

『自分で作っちゃえばいいんだ。』

『(思考に耽る感じで)自分で作るなら、もっと安い値段で、いい感じのものが持てるはず。世界にひとつだけのオリジナル。ブランドが持てないんじゃなくて、僕がブランドになるんだ。そうすれば自分に引け目なんて持たなくても良くなる。なんかさ、ロゴなんか入れちゃったりして。

(突然に)あ、もちろん、事業なんてやりませんよ!あくまで「これどこのブランド?」って聞かれたら、「オリジナルだよ!」って言い返したいだけなんですからね(茶化しながら笑う)

あっ、偶然にも、僕には「群馬の山小屋」という最高の作業場所、工房を持ち合わせていたんですよ。人はこんなのを思い浮かべるでしょうね。「山奥の工房でオリジナルブランドを製作している人間」。「飽きたらギターを弾いて、焚き火して、その焚き火で沸かしたお湯でコーヒー入れて」。なんと、ミステリアスなことでしょう!全ての条件は最初から揃っていたんですね!


さあ、兎にも角にも、この日を境に「自分で作ったものを、身につけ、持ち歩くまでは死ねない」という想いを持ち続けることとなりました。また一つ、やらねばいけないことが増えてしまったんです。』



?『、、、それから5ヶ月が経ちました。』







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