春に "鈍く光る黒" はどうだろう。
雪、冷たい風、曇天。あれ、3月ってこんなに冬の名残り強かったか?と疑ってしまいたくなるような日が続いているけれど、予報を見る限りは中旬頃から春らしくなるようだ。ただ例年の如く、春のデリバリーは勢いを留めず、実はご案内出来ていないだけでめちゃくちゃ届いている。
毎度こういったラッシュの時期は、効率的に動くにはどうしたらいいだろう、、とか考えるけれど、ふと思う程度で根本的なマインドは変わらず、しっかりと伝わるように出来る事しか考えていない。
だから、いつもの姿勢で記していこうと思う。
ただご案内は追々進めていくとして、とりあえずご覧頂けるようにお店には並べているので、是非ふらっとでもお立ち寄り頂ければ嬉しい。
少し話を戻し、新しい入荷で新鮮な景色を見せている店内を眺めていると、半年前の自分の思考も見えてくる時があって、最近新たに思う事がある。
もしかすると、半年前の自分は『春に着たい黒』を欲していたのかもしれない、、とか。
以前にご紹介していたコレらは正しくそう。黒特有の絶対的な雰囲気感はありつつ、素材感は洗えるサマーウールやラミー混といった春夏に着れるリアルクローズである事をしっかりと体現している。
そして新たに届いたこのセットピースも、私の中では同じ世界線に在る素晴らしい洋服達だ。
SEVEN BY SEVENが手掛ける洋服には、言葉では形容し難い不思議な感覚を覚えることが多い。
記憶をよぎる既視感と、いい意味でそれを見事に裏切るような思いもよらない生地の妙が掛け合わさっていて、そこには服好きな人にブッ刺さるエネルギーが満ち満ちと溢れているように感じてならない。
ベーシックなようで普通じゃない、飛び道具のように見えて実はリアルで普遍的な立ち位置にある。クラシック、モダン、カジュアル、ドレス、カルチャーという様々なテイストが縦横無尽にひしめき合いながら、その人なりのスタイルを提示してくれるSEVEN BY SEVENの洋服にはつい心が持っていかれる。
その上で、この春に制作されていたセットピースは最高に良くて、まずは生地に驚いた。
一般的には細やかな柄を表現出来るネクタイ用のジャガード織機を用いて形にした物は、敢えての"無地"シルクウール。
縦糸には通常の倍量となるシルクを打ち込んだウール混を高密度に織り上げる事で程良い肉感と立体感を与え、そしてシルク面を裏側に使い、表面は艶を抑えた鈍い光沢感とジャガード特有の微かに凹凸ある風合いを上手く同居させた素晴らしいテキスタイルだ。
どう足掻いても黒が放つ強さは揺るがない中、温度調整に優れたシルクウール素材を、「春先に着たい黒」にしっかりと着地させてくれている。
ジャケットは3釦でたっぷりと余白あるボクシーなバランス。腕周りもゆったりとしており、袖先は2箇所の釦で簡易的に調整が効く。中に着込むキャパシティーも幅広く、名称の通りカジュアルにラフに着れる1着だが、ラペルの形状や胸ポケットの在り方が絶妙に全体を占めてくれており、所謂ジャケットらしい大人な空気感を演出してくれている。
トラウザーはインタック仕様のワイドストレート。生地の特徴もあり、動きの中で見せる綺麗なドレープ感と肌離れの良いタッチ感が大きな魅力と言える。ベルト芯に対して僅かに長いループや、ウエスタン調のバックポケットは言われなければ分からないかもしれないが、こういったさり気ないディティールも全体を通して見てみてると、ドレスに引き上げ過ぎない大切な要素達と言える。真夏は首元も袖もボロボロのTシャツとサンダルで外に出たい。
どちらも当然ながら単品として非常に優秀であるが、数少ない『春に着れる黒』である事を考慮すると、贅沢だが私自身は上下で揃えて着たくなる。
スタイリングで中に忍ばせている通り、この2ピースとは逆を走る素朴で温い春のニットも敢えて黒を選び、リアルな適温とストレスの無い着心地を『全身黒』で楽しみながら春を実感したい。
清々しいカラーパレットのシャツや暖色のパンツ類で楽しめる春のスタイルを重々理解している上で、たまには天邪鬼に黒一辺倒で楽しむ日があっても良い。
このジャケットとトラウザーには、そんな未来が見える。
こちらは先に店頭にて販売を開始させて頂き、オンラインストアの掲載は3月9日(土)18時を予定としております。店頭にて完売の場合は掲載がございませんので、遠方より気になる方がいらっしゃいましたら私までご連絡ください。先着にてご対応させて頂きます。
筆者
nariwai store manager
橋場 祐人
(通称がまお)
〒980-0014
宮城県仙台市青葉区本町2-6-23
ビブレスタオフィスビル2F
022-796-2240
nfo@nariwai-online.com
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?