人間で言えば長所の一角として得意な分野があるように、洋服にも飛び抜ける何かが必ず存在している。そして欲を言えば自身のクローゼットに並ぶ洋服はそんな面々の集まりでありたいと心から思っている。後悔のない物選びの末にそうなっていたいというよりも、全てに確固たる信頼を委ねられる物だけを手元に置いておきたい。そして当然ながら、洋服である以上は自分が着ている時にどう感じさせてくれるのか、その在り方にこそ信頼感は宿っている。

確か以前にも似たような事を記事で呟いていたが、それもそう。

あのHEUGNから素敵なシャツが届いたからだ。

1920年代のフレンチイブニングシャツをベースに、肩幅と身幅に余白を与えたボクシーなシルエット感と、運動量を確保させているスリットに三角マチを施す等、随所にクラシックの要素がしっかりと組み込まれた現代的なドレスシャツ"Morris"。

今回、先日のSkyBlueに続いて更に贅沢な生地と仕立てが合わさり、紛れもない至極のシャツが2型も製作されていた。

独特の柄が印象的なNavyは、1924年にフランスはリヨンにて創業の老舗メーカー"Bucol"が手掛けているテキスタイルによる物。創業当初からオートクチュールの伝説的なデザイナー達と深い関わりを持ち、フランスのファッション界にとって確かな発展を紡いできた超一級メーカーのBucol。1995年にはエルメスグループのテキスタイル部門であるHolding Textile Hermes社に加わり、同社のシルク素材を担うといった過去もある。ロストテクノロジーに近い伝統的なテクニックを現在でも数多く有しており、今作で採用されているNavyを土台とした綿生地も、どこか芸術を感じるエレガントでアートスティックな色彩やデザインが魅力的で、Morrisのモダンな空気感がより一層洗練されたものとなっている。

Beigeは、国内のデットストック生地を使用し、仕上げは何とイタリア・ナポリのシャツメーカー"サルバトーレ・ピッコロ"が一任。基本的にHEUGNのシャツは、イタリアを主としたインポートファブックを用いて国内で仕立ててる事が多いが、このシャツに関しては真逆の構成で他とは一線を画す。何故ならば、優れた品質の良さを感じてしまう程に滑らかなタッチ感を有するヴィンテージファブリックを用いて、デザイナー小山氏が手掛けるパターンを基にイタリアの超一流メーカーが仕上げるという最高に贅沢な1着だからだ。フロントの前開き部分を初めとして、袖付けやガゼットはナポリらしく手縫いで丁寧に仕末がされており、このシャツにはMade in Italy の歴史を感じさせる確かなクラフトマンシップがしっかりと注ぎ込まれている。

HEUGNが今季のコレクションテーマとして掲げている"exotic (異国情緒)"を代表するかのように、この2つの洋服は日本とフランス、イタリアそれぞれの伝統や歴史が見事に交わって体現されていて、そういった背景と真っ直ぐな意思を秘めている洋服には、いつだって大きな価値があり、それが『信頼感』だったりする。

『大丈夫、委ねればいい』

このシャツ達からも、そんな声が聞こえてならない。

4.20(土)
18:00 - Web Store release

筆者
nariwai store manager
橋場 祐人
(通称がまお)


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