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くちずさむ歌はなんだい?思い出すことはなんだい? フィッシュマンズ / 98.12.28 男達の別れ

どうも。神保町の音楽LOVERのGです。

前回Kも書いていましたが、そういえば、日本の音楽まだ扱ってなかった!

この世界には、国やジャンルに関係なく、素敵な音楽が世界各地に存在していることは理解しているつもりで、偏見を持たず、選り好みせずになんでも聴いていこう!と心掛けてはいるのですが、色々聴いていく中でどうしても自分の好みというものは出てきてしまうわけで…。(当然のこと仕方ないことなんですけどね。だって人間だもの!)

とはいえ、いくら肉料理が好きだからってそればかり食べていては栄養が偏ってしまう。魚も野菜も果物もなんでも食べる、バランス良い食生活がいちばん!

今日は自分も日本の素敵な音楽について語りたいと思います。

今からちょうど20年前の1998年9月、日本の音楽集団『フィッシュマンズ』の「98.12.28 男達の別れ」というライブアルバムがリリースされました。

当時のボクは今よりも更に偏りが激しく“世界でイケてる音楽をやってるのはRADIOHEAD、PORTISHEAD、Massive Attackを中心としたUK勢だけだぜ!”という具合で他の音楽を聴こうとしない、自分の趣味が世界一と思っているとってもイタい音楽リスナーでした。実は今もたいして変わってないんですけどね(笑)

そんなボクにもYさんという音楽リスナー仲間がいました。Yさんとは当時CDやMDの貸し借りをしたり、ライブやイベントに行ったりと同じ趣味を共有していました。偏見で武装したイタい音楽リスナーのボクとは違いYさんはUK以外の音楽にも精通していて、BECKとかBeastie BoysとかSonic Youthといったお洒落でファッションセンスの高いアパレル関係の人とか美容師さんが聴いてそうな海外の音楽や、フリッパーズギター、コーネリアス、サニーデイサービス、くるり、スーパーカーといったメインストリームのイケてる音楽もチェックしていたので、ボクもYさんの影響で少しずつ免疫がつき、ボクの勝手な思い込みでお洒落だけど中身が薄いと思っていた音楽の本質をYさんから説明され、理解していくうちに心から良いと思えるようになっていきました。Yさん本当にありがとう!この場を借りて改めて感謝の気持ちを伝えたいと思います。

話が脱線してしまったので、もとに戻しましょう。今回語りたいフィッシュマンズもYさんから教えてもらったグループで「とにかくいいから聴いてみて!」とすすめられていたのですが、ジャケ写とかの雰囲気がお洒落な感じだったので聴くのを躊躇していました。他にも聴きたいものが沢山あるからもう少し後になってから聴こうと漠然と思っていた1999年の3月でした。Yさんがびっくりした様子で「フィッシュマンズのヴォーカル佐藤伸治が死んじゃった」とボクに言いました。正直、ヴォーカルの人が佐藤伸治という名前だということもそのとき初めて知ったのですが、メンバーは20代後半~30代くらいの人たちという印象はあったので、「なぜ?」という思いを抱きながら色々と情報を集めたのを覚えています。佐藤伸治 享年33歳 心不全のため死去。それ以外のことは公式に発表されていないので、詳細の死因については藪の中ですが、フィッシュマンズの中心人物、佐藤伸治が他界したという事実は覆りませんでした。

佐藤伸治の衝撃の死から半年後に発売されたライブアルバムが『98.12.28 男達の別れ』。バンドの創成期よりベーシストとしてサウンドの要として活躍してきた柏原譲の脱退発表を受けてのライブツアータイトルが“男達の別れ”でした。(皮肉にも佐藤伸治存命中のFISHMANSとしてのラストライブとなってしまうとはこのとき、だれが想像したでしょうか…)

長年、苦楽をともにしたメンバーが脱退するということもあり、バンドの演奏からは“これまでの集大成として最高のプレイをする”という気迫と同時にメンバー脱退の寂しさがひしひしと伝わってきます。オープニングから緊張感と哀愁を帯びたとても素晴らしい内容のパフォーマンスが繰り広げられます。中でも圧巻なのがラストナンバーの「LONG SEASON」。41分30秒の演奏中には佐藤伸治の魂がこもったギターソロと歌、茂木欣一と柏原譲を中心に構築される脅威のグルーヴ、切なく響き渡るHONZIのエレクトリック・ヴァイオリンなど感動的な瞬間に何度も遭遇できる。演奏を聴いていると身体が宙に浮き、空高くに上昇していきやがて身体は液体へと変化する。それでも上昇は続きやがて宇宙空間に到達するころには気体へと変化して“無”になった瞬間に演奏も終了する。20年前の9月、ボクはなにかに憑りつかれたように聴きまくり、言葉では表現できない奇妙な感情で日々の生活を送っていたことを今も鮮明に覚えています。

この作品を切っ掛けに遡ってフィッシュマンズの作品を聴いていくのですが、所謂“世田谷3部作”とよばれるバンド晩年期の作品群の完成度が高く、とてもボク好みの音なので今でも定期的に聴くのは専らこの時期の音源ばかり。改めて自分が偏った人間であることを思い知らされます(笑)

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『空中キャンプ』


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『LONG SEASON』

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『宇宙 日本 世田谷』



夏から秋へと季節が移り変わろうとしている今、特におススメです!

神保町で働く音楽好きによるディスクレビューなど。 洋・邦、ジャンル、年代関係なく、グッときたものを縦横無尽に駆け巡ってご紹介していきます。