ふじののはなし .1

今から18年前の事。
東京、日野にある豪勢なマンション街の一室で、私は1匹の猫と出会った。
「女の子が欲しいんです」
そう言った私の前に、小さな身体で小さな声で、ミーミーと鳴くその子が現れた。

後に男の子だったと判明する前、私はその子に「藤乃(ふじの)」と名付け、現在に至るまでの18年という月日、命を共同し生きてきた。

元々私は幼少期から、猫と、猫の中でもロシアンブルーという品種に大層な憧れを持っていた。
まだ年齢が一桁だった頃、湘南の一軒家に暮らしていた私の家に、1匹の迷い猫がきた。
それがロシアンブルーだった。
その頃うちには庭に犬がいて(この子も本当に可愛い犬だった)母親が猫嫌いだったこともあり、猫とは無縁の生活をしていた。
近くで見るその猫は本当にきれいで、気品があって、周りの空気を変えるオーラがあった。
私は一目で心を動かされ、それ以来ずっとロシアンブルーを飼うという夢を持っていた。

時が変わり、ついにその時がきた。
ネットで調べたブリーダーさんの元へ行き、画面越しに見ていたその子と対面した。
ブリーダーさんが言った。
「この子はとてもいい子だと思いますよ。しっぽも長いですし…」
確かにブリーダーさんに撫でられたそのしっぽは小さな身体よりも長く、たけのこのように段がついているように見え、とても可愛かった。
(しっぽが長いのはいいことなのか…)
猫に疎い私と姉は、頭の中で同時にそう思っていた。

これがふじのと私の最初の出会いだった。

ちなみに猫嫌いだった母親は、奥ゆかしく健気なふじのと触れ合い、後に「ふじのくんだったら猫でも可愛いわ」と可愛がってくれた。
これは最近の話になるが、2匹目の猫のたんぽぽを迎えてしばらく経った頃には「たんぽぽちゃんも愛嬌があって可愛いわ」と言っていた。

適当につづきます

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