Kindness as a token - 優しさがトークン(≒通貨)となりうる世界。
佐藤航陽の『お金2.0』、読んでみた。感銘を受けすぎて手が震えてきた。
テクノロジーによって分散される権力、そして通貨と、それによってもたらされる経済の民主化、そして自身で選べるようになる多様な経済圏の勃興、そして本当に社会的価値のあるものに対して、正当に何らかのトークンなどで対価が支払われる社会の実現 ー そういうことが今、勃りつつある。そしてたまたまその変化をこの目で見ていられる時代に生まれたことに、鳥肌がたった。なんてエキサイティングな世界だろう!
人にとって幸せな生き方とは何か?
私にとって人生を費やして解明したいのはこの質問に対する答えだ。
物心ついてから、アホみたいな顔してケーキ食べ放題に週3でいってた高校生の頃も、親の金でアメリカで調子にのってクラブに行っていたときも、大人になって納得のいかない業界で働き始めたときも、常に頭の中にあるのは、この疑問だった。
あの人は幸せだろうか?と、電車に乗っている疲れたおじさんを見て思うときもあれば。
無邪気そうな笑顔で、ごはんを食べる知的障碍者のひとたちをみて、彼らの人生は私と同程度には幸せなんだろうか、とふと思うこともあれば。
人にとって、幸せな人生とはなんだろう。
それに対する明確な答えは、私にはまだない。
でも、人間にとって今のところ明確に価値のあるもの ー 基本的で健全な生活、教育、優しさと公正さ、倫理感のある社会など ー を、平等に、万人に提供することからしか、その答え探しは始まらないと思うのだ。そして、この佐藤航陽のいう権力が分散化されて、人類全体の繁栄、地球全体の存続につながる本当に価値のあるものに対して対価が支払われる世界の実現が、その一歩なのだと、私は思う。
特定の共同体(ネットワーク)でのみ流通し価値を有するものを、佐藤氏は本書の中でトークンと定義しているけども、これは発行者が独自の経済圏を作れる、使い方によってはとてもパワフル足り得るもの。トークンは楽天ポイントや、ゲーム内通貨などすでに現在使われているようなものもある。そして、佐藤氏の事業の一つ、タイムバンクは、要するに’Time as a token’(トークンとしての時間)という試みなのだと思う。本当にすごい。これがうまく適用できれば、今までぼやっとしていて、お金に換算できなかった価値、例えば誠実さ、公正さ、優しさ、美しさ、というものがトークン足り得るのだ。優しさがトークン(≒通貨)足り得る経済圏ができる、ということなんだ。
Kindness as a token ー 優しさがトークンとなる社会。優しくて、でも資本主義社会では日の目を見なかった人や、著名ではないけど、社会に本当に意義のあることをしている人が、しっかりと対価をもらえる世界。素晴らしい。でもそれは同時に、私達ひとりひとりが、モラル的に常に緊張を強いられる世界でもあるのだ。
私たちはそれに耐えうるだろうか?
耐えうるかどうかは、やってみなくちゃ分からない。でもなんとなく人に善性を期待する私は、これからの未来が明るく見えて仕方ない。なんてわくわくする世界がやってくるのだ!
佐藤さんには、数年前、会食の場で一度お会いしたことがある。
ミーハーな私は、世界はこの先どうなっていくか、というようなことを聞いた気がする(スンマセン)。具体的にどうなる、とは言わなかったけれども、淡々と、方向性はわかっている、あとはそれが実現されるかどうかだ、みたいなことを、興奮するでもなく、かと言って全く熱のない感じでもなく淡々と話していた姿を思い出す。
おそらく彼にはいろんなものが既にクリアにみえてたのだろう。そして、彼の頭の中にはもっといろいろな世界の行く末が描かれているとおもうのだ。ほんのちょっとだけそれを覗きたいのであれば、本書は死ぬほどおすすめだ。
あー興奮してきた。また、やる気だしてこの世界を生きていこう。
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