あの恋

お題

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短編小説「ゆなさん」

「ゆなさんって、呼んでよ」
 はじめて参加となった、職場での忘年会。くじ引きでたまたま隣席になった彼女に、苗字をさんづけで呼びつつビールを注いだら、そんなふうに即答された。
 ぼくは瓶ビールをかたむけながら首をかしげた。ゆな。その名は彼女の本名とまったく異なっていた。苗字、名前となんのつながりも感じられない。ひと文字すら重なっていないのだ。
「ゆなさん、ですか」
「そう。みんなからもそう呼んでもら

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わたしがあなたのペットだった頃。

「君は年が離れているから、恋人って感じがしないね。セフレってほどドライでもないし。なんだろうね」

ストーブの灯りで橙色に染まったその人の肌に触れながら、すこしだけ考えて「それならペットでいいですよ」と答えた。
男は肩まである自分の髪を邪魔くさそうに束ねて、いいねそれと笑った。

恋人ではない男のベッドで寝るなんてはじめてだった。
意外と平気。わたし、なんにも傷ついてない。
ベッドで過ごした数十分

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猫の名前は『つばめ』です!(燕尾服のような模様から)
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おはようの前のおやすみ

日が昇る少し前、この世界の光は青い。

この間、世界の時間は止まる。

それは、後戻りができない時間を表現しているよう。

青い光が白くなるまでは

誰も嘘をつけない。

この世界は止まっている

だから、誰も口を開けない

嘘は言えない。

そう思って、布団の中の温もりに戻る。

「ねぇ、きらいって言って」
彼の頭をくしゃりと触ってみた。
カサカサとして潤いがない。
それで彼の背中に顔を当てた。

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うわーーーー、すごい。読んでくれてありがとうございます。
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(小説)虚しい夜 #クズエモ

「今日夜空いてる? 出てこいよ」

Sからメッセージがきていた。正直面倒だった。今から着替えて化粧して出たくない。しかも雨が降っているじゃない。どうせ行くところは決まっているけれどなんとなくそんな気分じゃない。

シャワーを浴びる。どうせこの後も浴びるんだろうけれど。

俺はきれいな女しか好きじゃないんだなんて偉そうなことを言う。だからいつもより少し濃い目に化粧をする。最後にオレンジのルージュをひ

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恋人から家族へ、家族から親友へ。同性パートナーとの関係を更新します

「ここから先は別々の道を進みたい。私は一人に戻りたい。」

私たちは生活をともにする女性同士の同性カップルで、付き合いはじめて8年、事実婚のような関係で6年ほど。もう7回も一緒に年を越してきた。

昼下がりの私の一言は、振り返れば無邪気で残酷だった。それでも私の中ではそうするほかないと分かってしまったから、もったいぶるより言うしかなかった。

「彼女の気持ちも、もっとちゃんと考えなければ。」

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ありがとう!明日は天然石のひかむろについて更新予定です。
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ふたりの心を温め直す、紅茶の話。

昨晩の遅く、彼とケンカをした。彼の些細なひと言が心に刺さってしまったのだ。

話をしていても悲しみの感情は高ぶるばかりで、一緒に寝るのも嫌になってしまい、勢いで家を飛び出してしまった。行く先もあらず、近くの漫画喫茶で一晩を明かすことにした。

一晩眠ると、不思議なことに、冷静にあらゆることを考えられるようになる。好きなのに、いや好きゆえに、どうしても言い過ぎてしまったり、優しさを蔑ろにしてしまっ

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私のパートナー

10月14日。今日は、私の大切な人(夫)の誕生日です。

お誕生日おめでとう。

どうして、直接、彼に伝えないのかというと、私たちもうすぐ離婚する予定なんですよね。色々ありまして。今、彼は、私の言葉を素直に聞き入れられる状態じゃないので、ここに書いておこうと思います。

まずは、ごく簡単な馴れ初めから。私たちが出会ったのは、18年前の高校1年生の時。同じクラスになり、いつの間にかメールのやり取りを

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