これでも恋愛小説

「同胞」

君がいた風景を僕はもう二度と目にする事ができない。君は、墜落した飛行機の中死んだようにすやすやと眠っていて、全く他の死体と見分けがつかなかったから本当に困ったよ。僕は、燃え盛る飛行機の中から君を救い出すと、砂浜に君を横たえて水筒(漂流の末、この島に流れ着いたものだ)の中に入れた川の水を飲ませてやろうとその栓を抜いたのだけれど、勢い余って中の水を思いっきり君の顔にかけてしまった。すると君は、

「わ

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「真紅の揶揄い」

部室で、あなたは、クッキーと書かれた得体のしれない紅茶を飲んでいる。
僕が、小説を読んでる姿を見て「君って、小説とか漫画の趣味本当にわかりやすいよね。好きな女の子の趣味が全開に出てるというか。」なんて言う。僕の気持ちを知りながら、からかって楽しんでいる。それを僕は知ってる。
「そういうあなただって、あの俳優が好きとかBLが好きとか大概性欲丸出しだよ。」って僕は思うけれど、馬鹿の振りをして
「あはは

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命在るカタチ 第八話「こころ」(過去作品)

Life Exist Form-命在るカタチ
Wrote by / XERE & Kurauru

第八話
「こころ」

   10月14日 (月) 雨

 今日、月沢未羅が学校を休んだ。
 彼女が私達のクラスメートとなってから約二週間、初めての欠席だった。
 それだけならともかく、涼野君まで様子がおかしい。
 窓越しに外を眺めて、やけにぼぅっとしている。
 ……高岡君曰く、
『涼野がぼぅっとして

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短編小説

お前は本当に可愛げがない女だな

そんなもんわかって付き合ったんでしょ。
プライドが高くて、気が強い。自分らしく生きたいのに友情も恋もダメになるならもういっそ一人でいい。

それは職場でも。

私の名は如月 結衣(きさらぎゆい) 29歳。

人間関係で転々と転職して今にたどり着いた事務仕事。
愛想のない表情なので女でも男でもうまくいかない。

いや、変な男には好かれやすい。何故か。

きっとこうい

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あざまるです。

sorrow ~歪な関係~

–七–

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早紀を想う男らにリンチされたこともあるし刺されたこともある。
そいつらにはやられたらやり返すが、早紀に対してはそう思わない。

何故なら俺は・・・。

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あざまるです。
あざまるです。

わたくしとあの娘とお姉様(仮)

※タイトルは仮である。

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これは不思議な恋と残された人の物語であります

あの娘は眠っていて、何を話しかけてももう起きてはくれません。わたくしは時計を見て涙が出るような思いになりました。わたくしはもう1時間もあの子の死体の前に座り、「もう起きてもいいですよ。」だの「あなたのお姉様もきっと心配しておられますよ。」だのと話しかけていたようでした。

あの

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Twitterもぜひ!
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子どもな社会人の話③

フローリングに横になっていたらどうやら朝になってしまったようだった。体を起こすと腰が痛かった。ちゃんと布団で寝るべきだったなあ、と一瞬だけ後悔する。昨日初めて着たあたらしいTシャツがしわしわになってしまっている。

コンビニの袋から焼売弁当を出す。箸でご飯をつまんで口に運ぶ。バイト先の店の金で食べる弁当はどうだ?と自分に問う。

うん、普通に美味しい。

わたしは焼売弁当が好きだった。

ご飯を食

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フォローもしていいよ……?
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子どもな社会人の話②

僕は、今日見てしまった。僕の先輩であるカツキさんが、レジからお金を盗んだところを。

彼女はレジから1万円札を取り出し、ぐちゃぐちゃに丸めたあと、ポケットに突っ込んだ。そして、まるで何も知りませんよ、という顔をしてレジからいなくなった。

僕は、カツキさんがクビになってしまうかもしれない。店長にはきっと怒られるだろう。警察沙汰になるだろうか。と考えた。よぎったこと全て嫌だった。だから、僕はこっそり

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わたしもすき!
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過去は優しい幻(ゆめ)だから

「なんか、久しぶりだな」
 駅のホームを出た女性は空高く昇っている太陽の光を浴び、久方ぶりの自然豊かな風景に思わず深呼吸をする。

 ここは吹嶋市。人口は大体20万人くらい。高齢化社会がかなり進行しており近年は少子化問題が危惧されているらしい。
 私はこの町を二年くらい離れていたし、就職先も県外の予定なのでこの町で暮らすことはないだろうから他人事だと思っていたりする。
 有名なことと言えば、この地

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