アオキケンヂ

現場のタオ~プロローグ

のどかな工事現場の昼休み。田尾興業の親方、田尾玄一は若い衆と昼飯を喰いながらたわいもないバカッ話に興じていた。その中に周りから極端に浮いている一人の若い衆がいた。

数日前から土工として働くことになった荒木純は、今年で三十七になるのだが、歳よりもずっと若く見える。女房子供はいるが、物腰や雰囲気が所帯じみていないのでたいがい独り者と見られる。

田尾のところで働くことになったのは、あるトラブルに巻き

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【序章】青春は泥とコンクリにまみれて~ポケットの中にいつも川砂

俺は東北の寒村から集団就職で上京して、東京の土建屋で働いてた。いわゆる現場監督というやつだ。上司には三本の線が入っていたが、自分のヘルメットには線が入っていない。だから監督というのは名ばかりで、実際の仕事はドカタとほとんど変わりなかったよ。

いや別にドカタやるのは構わないんだ。ドカタだけやってられたらどれだけ楽かわかんないからな。やってることはドカタなんだが、現場で問題が起これば、監督として責任

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