エスケープブック

エスケープブック no.007 幸福はただ私の部屋の中だけに/森 茉莉

最近の消費のブームは、物より事、大量より厳選。
消費と豊かさの定義は密接な関わりがあると思っていて、
最近の豊かさは、沢山の物に溢れる豊かさでなく、断捨離が表すように、自分のお気に入りを選ぶ事で、あるいは選んでもらう事で、満たされる豊かさ。
正直、それを本質的に捉えて行なっている人々より、表面的に、周りに影響されて行なっている人々の方が多い気がするのだけど、それはまた別のお話。

森茉莉の暮らしと

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エスケープブック no.006 少女地獄 / 夢野久作

私が最も好きな言葉のひとつに、
「どんなに濃い幻でも、瞬間の現実の価値はない。」というものがある。
現実はつまらない、空想に耽っていたいと言いつつも、
生きなければならない現実はそこにあって、
それと向き合う時は、万の机上の空論よりも、一の現実の行動こそ重みがあると思っている。

そんな価値観を持っている私なので、この話に対するものは、共感でも憑依でも無いのだが、
哀れとも滑稽とも言える、一人の少

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エスケープブック no.005 香水 ある人殺しの物語 / パトリック・ジュースキント

嗅覚というのは人間の本能にまつわる事がとても大きい。
それは、香りが鼻から通って辿り着く場所が、脳の中でも、快・不快や情動を感じる場所だから。

食事の際も、意識せずとも口に運ぶ前にまず匂いを嗅ぐし、
これは美味しそう、不味そう、もっと言えば、食べても危険じゃない、といったことを感知して、生命の安全を守っている。

好みの匂いの人は遺伝子的に相性が良い、という話もあるが、
実際に不快な匂いの人には

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