千章

章 「ん」

千章(ちあき)は左向きに眠る。左肩を下にして左耳を枕にぎゅうっと押し付けて、膝を折り曲げてひらがなの「ん」みたいになり、手を脇の間に挟んで眠る。それがベストなのだ。それがベストだということに気づいたのは、千章が高校生の時で、インターハイ予選前日の眠られない夜に、なんとか見つけた眠ることのできる体制だった。それから彼女は毎日その「ん」ポーズで眠ったし、素敵な夢を見ることもあった。例えば、目がさめると

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