安浪雄嗣

『美しい船』安浪雄嗣

わたしという寒さがいたるところにあった

トンネルの多い山をぬけても

光のあふれる春の野に飛び出しても

月が触れている町の雲の上にも

見つけ出すばかりだった

この船は他人まで行けるか

わたし自身を逃れ

わたし自身を導き

わたしをあたためてくれる

船が欲しい

その白い帆が欲しい

わたし自身の荒れ果てた大陸を逃れ

つばさをもった人々の

かろやかに飛んでいる

さわやかなひろがり

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