旅する日本語

コンテスト

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100本記念のサプライズ。

その洞窟は、藍色の中に沈んでいた。
ゆっくりと進む、進む。
カーテンのように差し込む光が、
前を行く人のシルエットを浮かび上がらせる。

沖縄、宮古島の海の底。
空気を吸って吐く音以外、何も聴こえない。
その中を浮遊する心地よさを味わうためだけに
重い道具を引きずって、1500キロを飛び越えてきた。

フィンの先があたりそうな
狭いエリアを抜けたところで
ガイドが浮上の合図。
まだ空気は充分なのに

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レモンスカッシュ・サマー

ヒザにまとわりついた砂を払って、海の家の畳に転がり込む。ぬれた水着さえも蒸発してしまいそうな太陽だ。今年の夏が暑いのは、きっとキミが隣にいるせい。

火照った肌に、冷えたラムネの瓶を押しつける。小気味よい音を立ててビー玉が泡に落ちる。シュワっとあふれる笑い声。陽炎のむこうで、海と空の青がゆれている。

絵に描いたような大学生の夏旅、そして、ただの友達として輪の中にいる私たち。

それでも、夕陽が落

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夏の夜の月待つほどの手すさみに

台風の影響であろう。
薄雲を纏った月が真っ黒な雲に勢いよく飲み込まれるのを見た。しかも右から左、または左から右に光を遮られるようなものではなく、下から上に飲み込まれたのだ。まるで生まれたての卵が大きな怪鳥に食べられるかのように。
月はその後、いっこうに顔を出さない。
黒い塊は空を覆う。
僕は呆然とその黒い雲の動きを眺めてしまっていた。

顔に当たる雨が、僕を現実に戻す。
生温い風を真っ向に受け、ど

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新聞を読まない人でも楽しめる!日経新聞スクラム読み

「8/12の朝に朝渋メンバーとスクラム読みやってみようかと!いかがですか?」

Nサロン新聞部仲間のいわあゆさんからのお誘いで実現した、今日の日経新聞スクラム読み。
日経新聞スクラム読みは、ひとりで読むのが当たり前の新聞を、複数メンバーで読み合うことでより深く学ぼうという活動です。
記事で書かれた内容に、参加者の知識や経験、意見を加えていくことで、ひとりで新聞を読むよりも、より深く、多くのことを学

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失恋の薬は、涙じゃなくて

失恋したら、旅に出ると良いと思う。

少し前、人生初めてと言っていいほどの失恋をした。目覚めた瞬間にワケもなく涙が溢れ、仕事中はマスクで顔を隠し、食卓ではわんわんと泣きながらご飯を食べた。失恋に大小はないだろうから、それくらいの、失恋。

見かねた両親は、夫婦旅行だったはずの温泉旅行に無理やり私を組み込んだ。行き先は、修善寺。竹林が美しい、自然豊かな場所だった。

皮肉にも修善寺には「恋の橋」と呼

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25年目の新婚旅行

「カナちゃん、綺麗だったわ」
電話の向こうの母の声が弾む。
「楽しそうじゃない」
「そうなのよ。ほら、普段はあんたがいてさ、お父さんと二人っきりになるなんてなかったじゃない? どうなることかと思ったけど和子さん夫婦がいてくれるから、なんとか仲良くいけてるわ。和子さんたら、娘の花嫁姿見て号泣よ。和子さんともう30年も一緒にいるのに、あんなところ初めて見ちゃった。やっぱり、娘がお嫁に行くって親としては

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ありがとうございます! ハッピーな1日が待っていますよ!
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それはまるで、「おとなの自由研究」。~社会に出るということ~

これは、今日友人と話していて、約40日で150人くらいのお悩みをきいてみて…ふっとこぼれたことばです。

みなさんは「自由研究」ってなにしてましたか?

わたしの友人は何てことない…クッションを作ったそうです。(本人の言葉より笑)でもあの時もっといろんなことを発想して作ってみても良かったんだよなぁ…と言っていました。なるほど…

おとなになった今だったら、何をやるか話をしていました。そこでふっと…

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素晴らしい夏をありがとう。
また来年、かな。
元気でいてね。

・・・・さあ、そろそろ、お家に帰ろうっと。

あなたの心音を、今でも憶えている

夏になると思い出す、ある初恋のこと。

遠く離れた距離と忙しい日々。
直接会えるのは半年に一度だった。

初めて恋人として会った冬の日。

「次は抱きしめてあげる」

世界の全てに怯えていた私に、あなたは約束してくれた。

それからちょうど半年後の夏、二度目の逢瀬。

電話では毎日話しているのに、いざ会うと緊張してか少しよそよそしい。
私も、意図的に距離を取ってしまっていた。

そして互いに触れら

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蒼と碧が朱を受け入れる場所

その景色を眺めているだけで、心がすーっと穏やかになっていくのを感じた。
何もない景色。
空の蒼と海の碧が遠い向こうでその境い目をなくして交わる景色。

別れたかったんだ、やっぱり。

彼のことを好きだと信じたかった気持ちと、本当はもう好きじゃないんじゃないかという気持ちの中で揺れ動き、悩んでた数ヶ月。

会えば優しくしてくれるから、それを好きだと勘違いしていた。
本当は心なんてとっくに離れていたの

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