『羅生門』という観客

2019年8月16日、私は黒澤明監督の『羅生門』を見た。

『羅生門』は、1950年に公開され、大映が製作、配給を担当した作品で、芥川龍之介の短編小説である『藪の中』『羅生門』を脚色して作られた作品である。

話の内容は、羅生門で雨宿りをしていた3人の男が会話を始めるところから始まる。彼らは、一人の男が殺された事件について語り出す。男が殺された経緯を、当事者と目撃者、そして殺された男の目線から語ら

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自分のために生きる人へ祝杯を

「人に求められてこそ、自分には価値がある」私はそう思って生きてきた。でも、それは自分の夢とかやりたいことに向き合いたくなかっただけだ。自分よりもできる人たちを目の当たりにして、夢を公言するのが怖くなった。

「人に求められてこそ、自分には価値がある」の裏返しは、「人に求められない限り、自分は生きている価値がない」ということ。自分に投げかけてきた言葉はあまりにも残酷で、他の人たちに対しても厳しい目で

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「大理石の男」解釈-アンジェイ・ワイダ監督

解釈-大理石の男 -Człowiek z marmuru-アンジェイ・ワイダ監督
スターリンの時代と現代(1978)のポーランド社会をつないだ構成で、ポーランドの戦後と、労働者の英雄に仕立てられた若者を描く。それは、後の時代の女子学生のドキュメンタリー制作のプロセスからの切り口で描かれている。

ポーランド 1976 スターリン時代に労働者の英雄に祭り上げられた男の大理石像が、製作中の記録映 画

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遅れてする映画評論『そして父になる』

是枝裕和『そして父になる』(2013年)




 子供をエクスチェンジされるなどという事態に自分は到底耐えられないだろうと、子供の顔見て「切ない」で停止して以来放置していたが、『万引き家族』が「そこで止まるな」と言って来たので、勇気を出して視聴断行。



 自他への厳しさと、克己をひたすら生きる者たちは、強いからその軒昂さを示すわけではない。逆だ。弱く、何かと向かい合う勇気がないからそうせざる

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「灰とダイヤモンド」解釈-アンジェイ・ワイダ監督

「灰とダイヤモンド」解釈 
原題:POPIOL I DIAMENT(ASHES AND DIAMONDS)-Andrzej Wajda
監督:アンジェイ・ワイダ(1957年-ポーランド)

1)「ワルシャワ蜂起(ほうき)」から、映画の時代背景を考える。
ワルシャワ蜂起は、第二次世界大戦後期、ナチス・ドイツ占領下のポーランドの首都ワルシャワで起こった武装蜂起である。ワルシャワの街は、ほぼ破壊され、

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宇多丸さんに学ぶ、映画における、いい演技とは?いい演出とは?

さて、今日は、「けそが選ぶ!私の人生に影響を与えたラジオ番組」第一位の、「ライムスター宇多丸のウィークエンドシャッフル(2018年3月に終了)」と、その意志&メインパーソナリティーを継ぐ番組「アフター6ジャンクション」の話を書こうと思います。

これらの番組については書きたいことがたくさんあるのですが、まずは目玉コーナー「映画評論」の話からしましょうか。

過言でもなんでもなく、宇多丸さんの映画評

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おすすめ漫画:町田くんの世界(さりげないやさしさを補給したい人に)
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デットプール2 が何故良い映画なのか?(壮絶なネタバレ)

犯人はヤス。

前提条件としてデットプール2は今だから良い映画だと認識されやすいです。

それは社会に対して少なからず現状の社会に対して一つのエールを送る内容になっているからです。というよりもそう言う脚本に仕上げているからです。

ハリウッド映画は時代のニーズに合わなければたとえ優れた脚本でも10年20年平気で寝かせます。

そして現在経済(社会)情勢は、衰退、停滞の局面に居ます。要するに不況って

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【映画評論 】不作為という罪『葛城事件』

幼い頃、事あるごとに父は私に言いました。
「おい、もし学校で苛められたり、嫌なことがあったりしたら、いつでも俺に言えよ。学校なんていつ辞めてもいいんだぞ。」
冗談好きの父なので、言われた当時は適当に笑って返していました。しかし、この一言は、後に私を救うことになります。

父の言葉をしみじみ思い出したのは、前回のブログで紹介した、赤堀雅秋監督作品『葛城事件』を観たからでした。
今回は同作について、私

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【映画評論】家族という地獄『ヘレディタリー 』

少し前にアリ・アスター監督作品である『へレディタリー/継承』を鑑賞したので、その評論をします。

家族は一種の地獄です。
親も子供も兄弟も、決して自分で選ぶことはできません。しかも、家族は相互に強い依存関係があります。一旦、家族という結びつきができたら最後、それを解きほぐすことは至難の業です。
雪山を登る登山家は、パーティのメンバー同士の体をザイルロープで結びつけ、滑落しそうになったら相互に助け

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ハリウッドのゴジラ

■ハリウッドでもゴジラは製作されている。他所の国の売れているタイトルを自国で製作するのは日本のほうが盛んだ。キングコングやスパイダーマンなど知らない人は不老不死になって太陽に突入して永遠に燃え続けていればいいです。そのくらい日本が独自の雰囲気で製作しています。アメリカからしたら日本のスパイダーマンもキングコングもあんなの認められないと言われても仕方がないエキセントリックっぷりだ。それに比べたらUS

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