さよならをどう言えばいいか分からない。言葉が出てこない「ローマの休日」
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【短編小説】呪いの雪解け

艶やかな黒髪に新雪のように白い肌、彫りが深くはっきりとした顔立ちは、日本人離れしている。凛とし聞き取りやすい声。豊満な胸にきゅっと絞まった腹回り、小さいけど綺麗なお尻は女子が憧れるスタイルだ。
 そんな彼女は性格も完璧で、誰からも好かれていた。時折見せる笑顔は周囲をパッと明るくする。
 私、春川弥生の友人の雪村美鶴はそんな女の子だった。



「あ、雪村さんだ。今日も綺麗ね」
「ホント見てて飽き

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【小説(過去作品)】乗合馬車の雪 出品版

前略 Y出版様
 無礼は承知ですが、この手紙の全文を一言半句そのままで、貴社が発行しているタウン誌に掲載していただきたく、筆を執りました。私は二年前までT日報で記者をしておりました。
 私は退職するまでの間ずっと、自分の言葉でものを書くことをしませんでした。新聞記事とは当然ながら、取材に協力して下さった方々の言葉と、新聞特有の書き言葉のみで出来ています。その厳格な作法の中で私の力が足りず、記事にす

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【小説(過去作品)】乗合馬車の雪 一筆書き版

前略 Y出版様
 無礼は承知ですが、この手紙の全文を一言半句そのままで、貴社が発行しているタウン誌に掲載していただきたく、筆を執りました。私は二年前までT日報で記者をしておりました。
 私は退職するまでの間ずっと、自分の言葉でものを書くことをしませんでした。新聞記事とは当然ながら、取材に協力して下さった方々の言葉と、新聞特有の書き言葉のみで出来ています。その厳格な作法の中で私の力が足りず、記事にす

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ギリシャ人小泉八雲が描く日本の幻想的な怪談「雪女」

noteの記事は全てブログと同じです。➡https://www.souseinovel.work/

こんにちは、蒼生です。

今日は夏だから涼しくなるものをと思って怪談を読みました。

怪談苦手なんで雪女です。

小泉八雲の怪談はリング的な恐怖ではなくファンタジーな感じです。

 

この雪女も幻想的で恐怖よりも情景の美しさや不思議さの方が印象に残ります。

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たけみ日印昔ばなし 雪チャラン

昔々、南インドの高原に、みのデーヴと茂作シンという猟師の親子がおりました。
50度近くにもなるクソ暑い乾季のある日、乾いた荒野に分け入った二人は山小屋で一晩を明かすことにしました。
びゅおおおおお…気温は35度。外は砂ぼこりが舞っております…
みのデーヴがふと目を覚ますと、小屋の戸口に、この暑さの中でありない程の清涼感を漂わせる若者が立っておりました。
はああああ~ん♪はああああ~ん♪
女の鼻歌が

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ベッドタイム ストーリーズ 雪女   -16-

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いつから彼女といるようになったのか記憶が定かではないのだが、気がついたら冬の夜、彼女が家に現れるようになっていた。
毎晩ではない、週に一度か二度、それも何曜日とか何時とか決まっているわけではなく、不意に風が窓をこするような音がしたかと思うと、玄関のチャイムが鳴るのだ。
この窓をこするような音というのは偶然なのかなんなのか僕にはわからないのだが、彼女が現れる前、チャイムが鳴る前に

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ベッドタイム ストーリーズ 雪女   -15-

音声をこちらから

甘く濃厚なアルコールの匂いが鼻孔をくすぐったかと思うと口の中に何か液体が流し込まれ、次いで
柔らかな舌が差し込まれ、僕は我に返った。
彼女が、琥珀色の液体の入ったグラスを手に僕の目の前に立っている。

「夢を……見ていたのかな」

さっきまで彼女と交わっていた背中の青白い雪の感触も、
彼女の熱い体内の感覚も、
きんと冷えてしんと静かな夜の匂いも、
彼女のくちびるからはみ出した紅

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ベッドタイム ストーリーズ 雪女   -14-

音声をこちらから

寒い冬の日の夜、おとうと並んで寝ていた僕が何かの気配に気づいて薄目を開けると、おとうの上に、ひとりの女がゆらりと立っていた。

女は音もなくおとうの布団に滑り込み、目を覚ましたおとうの口をくちびるで塞いだ。
僕はおそろしくて寝返りを打つふりをして布団に潜り込んだ。けれど、女の冷たい目が布団の上からじっと僕を見ているような気がして、その冷たいおそろしさに体の震えが止まらなかった。

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