かばん2019年7月号詠草「朽ちるゆりかご」

かばん2019年7月号詠草「朽ちるゆりかご」 風野瑞人

気がつけば暮れの匂いに満ちているこころの器が割れてゆく音

練乳の黄ばみを帯びた白はじく苺のような血のりの終わり

耳鳴りの止まない側を駆け抜ける救急車のドップラー効果 

 
季節などただのまやかしハナミズキ白い時間を測りかねてる

さびしさをひたすら描いた たっぷりと時間の沁みた色画用紙に

もう行ってしまった電車が待っていたはずの

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未来2019年7月号詠草「失った傘を求めて」

未来2019年7月号詠草「失った傘を求めて」

ひとりだけ行方知れずの道のよう降っても降っても傘に逢えない

気づかずに水遣りすぎたサボテンがベランダで吐いた滴、砂色

くりかえし踏まれ踏まれてアスファルトの痕を留めるレインコート

いつの間に埋め尽くされた曇天と空(くう)をつかみそこねた姿

透明なごめんなさいのスコールが窓を叩いて濡らそうとした

空もよう気にするひとも亡くなった部屋のつめたく

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‪首筋に落ちる吐息はぺトリコール頬に輝く流星二つ #短歌 #tanka #jtanka

かばん2019年6月号詠草 ひとりごとのひとりごと

かばん2019年6月号詠草 ひとりごとのひとりごと 

エアコンの室外機さえつめたくていつ頃なのかどこにいるのか

朽ち果てた木の葉を踏むたびする音がふたつの耳へ 知らないシーズン

バルコニーゆっくり近づくサイレンが笑ってつくる不安の横顔

消えていく望みを阻む錠剤のちから健やか あからさまな嘘

くびすじのにぶい痛みをひとつずつ摘まんできてはキーボードで打つ

絶えてゆく種(しゅ)となる日まで

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‪久方の君想うたび滝枕窓打つ音に負けず劣らず #短歌 #tanka #jtanka

はじめに、そしてうたの日を一年続けてみた記録。

2017年4月頃からtwitter上でぼんやり短歌をつくり始めて、その一年後の2018年4月頃からうたの日で真面目に短歌をつくるようになりました。
もっぱらうたの日への投稿メインでやっていたこともありますが、リアルではわたしが短歌などをつくっていることは下の妹しか知らなくて、まあ別にそれでもいいかと思っていたのですがこんな自分なりに色々思うところもあり、今年2019年に入ってから色々活動しておりま

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やよや待て山ほととぎすことつてむわれ世の中に住みわびぬとよ

#三国町 (みくにのまち) #古今和歌集 0152 #jtanka #短歌 #夏

ねえ待ちなさい、山ほととぎすよ。言伝てしてはくれまいか。私はこの世の中に住みにくくなってしまったんだと。

「やよや」は強い呼びかけの感嘆詞。

「ことつてむ」は「こと+つて+む」で「事+伝て+む」。「伝て(つて)」は下二段活用「伝つ(つつ)」の未然形(未然形・連用形・命令形のみ)。「む」は勧誘・命令の助動詞「む」

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くゆらせた煙が瞳に滲みただけ、どうぞ続けて?……平気だってば #短歌 #tanka #jtanka

‪隣にはいつか似合いのパートナー切なげ担当ぼろエレベーター #短歌 #tanka #jtanka

瞼閉じ寝息を立てる君の横まばたきのたび見たふりをした #短歌 #tanka #jtanka