平行する2本の飛行機雲は 色眼鏡を通せば春めいて見える はじまりが違うだけで 同じ目的地へ飛んでゆく それを 「寄り添っている」と表現するには まだ少し勇気がたりない
ダッフルコートに えのぐを3つしか持たないで 生まれていたころ なつかしく とても なつかしく 西日に照らされた明るい街は もう関係がない街 歩くと とても目にやきつく
去る日を見送る。 「黙って見送ればいい」と親に言われて、子供はただなんとなくついてきた。 光景は心に焼きつく。 それが何年も響き続けたりする。
「伝えやすさのために言葉を削る」みたいなことを、いくらかポジティブに捉えられるようになった一方で そこで削られてゆく、絶対に他人に伝わったり受け入れられたりしないであろう感覚や感情に執着していた自分を喪失したような気がしてたまに寂しい なお、伝わりやすさではない 伝えやすさ
記憶には 何が残って 何が残らないのだろう 日記帳の重みの分 捨てたらぼくは軽くなるのか 西の風強く 情動は疼く
冬が 一夜一夜 僕の体力を奪い 目覚めるたび 僕はほんのり傷ついていた ぼろぼろの身体でも 他に動くものがない 寒い 2014.12.10