◆「《あらゆる発言ないし批評はその正面に被批評対象の像を描き出すと同時に、背面には当の批評者の姿勢をありありと描き出す・・・》という言語の必然の作用…」(佐藤信夫「消滅したレトリックの意味」『レトリックの消息』47頁,白水社,1987)。逆なでに読む、つまり読むときの基本。
◆「もし文法を越えた普遍性をひそかにはらむとすれば、それは、レトリックがじつは文法より上位の文法、けっきょく言語の記号学をわれ知らずにのぞんでいたということではないか。きっと、そうだ」(佐藤信夫「隠喩と諷喩と書物」『レトリックの消息』153頁,白水社,1987)。
◆言葉による分節的認識・表現を強調すれば、それは絵画において輪郭線を引いて描くことに類比できる。他方、既製品の分節線のはっきりした輪郭線ゆえに、個が独自が感受した事柄を認識・表現できない、ともいえる。そこでダ・ヴィンチがスフマート技法を駆使したように、レトリックが要請される。