死と向き合う人の言葉は核心を突いている。 「情報を脳みそに求めてもむだだ 手にきいてくれ」 いまは脳みそばかりがやたらと働きまわっていて 首から下がまるでないみたいな時代。分離していることにさえ気づけない。アタマでわかることは時に人生を誤らせる。
「過去は否応なしに背負わなければならない荷物であるから、体力に応じた軽さになる。それは当然の、人間の仕組みである。」 串田孫一『山の独奏曲』
私たちは、めいめい山の中で黙る。辛さをこらえる沈黙もあろうけれど、黙ることによって恍惚の中にとどまろうとする - 山の断想 - 串田孫一