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麻雀の市場規模データを更新しました(2021)

急に『レジャー白書2022』が来たので、お絵描きAI・NovelAIちゃんの力を借りて、2021年の麻雀関連のデータについてまとめました。


0.ファストまとめ

  • 麻雀の参加人口・市場規模は微増。コロナ禍からの回復期にある。年間平均費用は激増

  • 参加人口の内訳は、若手男性が激増する一方、女性は激減

  • 80代の娯楽は家庭でのテレビゲームが多く、将棋、麻雀等のアナログゲームも強い

  • Mリーグ(麻雀)とTリーグ(卓球)の比較では、話題性はMの圧勝、Tは2年連続黒字達成。Mには、Tにある「観戦者とプレイヤーを融合するプラットフォーム」がない

  • Mリーグの海外生中継は、権利関係の問題で一旦中断。現在は、暫定的に翌日に見逃し配信中。ABEMAは海外展開に積極的ではない?

1.『レジャー白書』はやっぱり死んだのか?

『レジャー白書』は、近年は10月初めに出版されていました。しかし、今年は10月半ばを過ぎてもAmazon等に書誌情報が登録されませんでした。

出版不況が叫ばれてからずいぶん経ちますが、『レジャー白書』のような、個人の読者がターゲットではなく、図書館や法人が主に購入する書籍も危ういんでしょうね。書籍の性質から、紙媒体だけでなく過去分含めてデータでも出した方がいい気がしますが……。
当noteでも、『レジャー白書』はこのまま死んでしまうのか(秋アニメ見るの多くて大変なんだよ (´▽`) ホッ)、と安心心配していたところでした。

ところがぎっちょん——

2022年10月31日、『レジャー白書』はゾンビのごとく甦りました!(というか、別に死んでなかった)

『レジャー白書』の発行日(2019〜2022)

ただ、人員不足のためにデータ整理に時間がかかっているのか、ナイアガラの滝のように、発行日がどんどん後退し続けています。
ナイアガラの滝が消滅するまでには、あと2万5千年ほどかかるそうですが、『レジャー白書』ははたして……

当noteは『レジャー白書』を応援しています!

2.麻雀の市場規模データを更新しました

『レジャー白書2022』によれば、2021年のデータは以下でした(調査時期は2022年1〜2月)。
雀荘数については、警察庁のホームページから、「令和3年における風俗営業等の現状と風俗関係事犯の取締り状況等について」を参照しています。

参加人口・市場規模は微増、年間平均費用は激増

『レジャー白書』における麻雀の統計データでは、近年は、「参加人口は500万人、麻雀ゲーム料は500億円」がひとつの目安でした。しかし、新型コロナウイルスが原因となって、2020年はどちらの数字もこの目安を大きく割り込みました

では、2021年はどうだったのかというと、

麻雀の参加人口・市場規模(2021)
  • 麻雀の参加人口が正式に記載されるようになったのは『レジャー白書 1983』からなので(それ以前に「1979年の麻雀の参加人口は1620万人」という記載あり)、1981年以前に参加人口のピークがあった可能性があります。

  • 2015年の麻雀フェスタさんの記事によると、この数値には、実際には廃業しているが、廃業届を出していないので営業扱いにされている店舗も含まれているため、実際の店舗数は5000~6000軒ではないかということでした。麻雀フェスタさんの記事が書かれた当時から、警察庁発表の雀荘数は3,000軒以上減っているので、実際の店舗も相当数減少していると考えられます。なお、2022年11月15日現在、麻雀王国のカウンターでは掲載雀荘数は3,845軒でした。

増えてるー!
どうだ! これがMリーグ効果だ!
というわけではなく、単純にコロナ禍からの回復期にあるんでしょうね。
このまま回復していけば、以前の目安だった「参加人口は500万人、麻雀ゲーム料は500億円」の一回り下くらいで安定しそうですが、雀荘ビジネスはあいかわらず厳しい状況です。

特に目をひかれるのは、年間平均費用がメチャクチャ上がっていることですね。これは回数が増えたせいもありますが、1回当たり費用も相当上がっています。ただ、35年前のバブルの悪魔は35,700円だったので、それに比べるとまだまだですね。
麻雀にハマる人はよりハマる状況が続いています。

麻雀の平均活動回数・費用(2016〜2021)

麻雀関連データのグラフ

以下は、各データの推移を示すグラフです。

麻雀の参加人口の推移(単位:万人)
麻雀ゲーム料の市場規模の推移(単位:億円)
全国の雀荘数の推移(単位:軒)
麻雀の年間平均費用の推移(単位:円)

3.本好きの下克上

2021年のレジャー市場の規模は、2020年と変わらず55兆円でした。2019年は72兆円ですから、まだまだコロナの渦中にあったことになります。

読書がレジャー活動の首位に

全レジャーの中で、「動画鑑賞(レンタル、配信を含む)」(3,690万人)を抜いて首位に浮上したのは「読書(仕事、勉強などを除く娯楽としての)」(3,700万人)でした。コロナ流行以前は旅行や外食が上位でしたが、2020年からは動画鑑賞・読書・音楽鑑賞が上位を占めるインドア志向が強まっており、この3つのレジャーの参加人口には大きな差はありません。

各種ゲーム・ギャンブルの参加人口・市場規模(2016〜2021)
労働時間・支出と各ゆとり感指数(2016〜2021)

余暇時間と余暇支出

2021年は、労働時間が9年ぶりに増加しました。2019年と2020年の大幅減は、それぞれ働き方改革とコロナ禍によるものなので、コロナからの回復期と考えると労働時間の微増は妥当だと思います。

所得はわずかにマイナスになる一方、消費はプラスになりました。消費者意識もコロナ前に戻りつつあるようです。教養娯楽費の内訳では、モノとしての教養娯楽用品や書籍は減る一方で、サブスク増加の影響か教養娯楽サービスは増えています。

「時間的なゆとり感指数」と「支出面でのゆとり感指数」は、2020年には大きなプラスとマイナスをたたき出しましたが、2021年にはいずれも少し落ち着きました。しかし、「時間はあるけど、お金はない」という状況に変わりはないですね。

個々のレジャー

ゲームセンター、パチンコは復調を見せているとはいえ、雀荘同様に減少の一途をたどっているパチンコ・パチスロホールは厳しい経営環境が続いています。業界は、スマパチ・スマスロに期待しているようですが、どんなもんでしょうね。

2020年に引き続き、すべての公営ギャンブル(中央競馬、地方競馬、競輪、ボートレース、オートレース)の売上げがネット投票によって増えています。ボートレースでも、競輪のミッドナイトレースを導入した結果、売上げが過去最高になるなど、互いに好影響を与え合っているようです。

2020年には巣ごもり消費で大きく伸びた家庭用ゲーム・オンラインゲーム市場も、2021年は横ばいになる中、

しかし、こうした状況下、『Cygames』の『ウマ娘 プリティーダービー』は例外的に大ヒットした。年間売り上げは1,000億円超えを記録したといわれている。無料プレイヤー、少額課金プレイヤー、多額課金プレイヤーのそれぞれの新規開拓に成功した。

『レジャー白書2022』111ページ

このヒットが麻雀ファンにとって重要なのは、CygamesがMリーグを運営しているサイバーエージェントの子会社だからですね。「ウマ娘マネーがサッカーW杯無料生中継を可能にした」という話もありましたが、Mリーグの存続にも大きなプラスになったんじゃないでしょうか。

4.若手男性は激増、女性は激減

Mリーガー41歳の壁

Mリーガーと麻雀人口の年代比率

まず、Mリーガーの年齢について書くと、今シーズンの新規加入選手3人はいずれも中堅どころですが、最年長の沢崎誠プロが抜けたので若干若返りました。2022年11月15日現在のMリーガーの平均年齢は40.2歳です。ちなみに、現在の顔ぶれのままだと、来シーズンは20代のMリーガーは岡田紗佳プロだけになります。

麻雀ライター・福地誠先生も、この記事で、新規採用選手について「Mリーグには41歳の壁がある」と書いていました。ルックスやフレッシュさだけでなく、前原プロ・沢崎プロといった高齢Mリーガーの引退理由には健康問題もあったので、今後もベテランは採用されにくい気がします。

20〜40代男性は全年代30万人増加、女性は20代のみ増加

一般の麻雀人口では、20〜40代の男性では、どの年代も30万人以上が増加する一方、女性は20代以外はすべての年代で減少しました。2021年は、囲碁も将棋も女性の参加人口が減少していますが、麻雀は全体的には増加しているので、余計に目立ちますね。2022年以降もこの傾向が続くのか気になります。
『レジャー白書2022』では80代の参加率も特別に記載されていたので、以下の表にはその数字も追加しました。

麻雀の年代別参加人口(単位:万人)
男性の年代別参加人口(単位:万人)
女性の年代別参加人口(単位:万人)
麻雀人口のうち60代以上の比率(5年ごと)

60代以上の麻雀の参加人口を見てみると、ここ20年間は当然ながら麻雀でも高齢化が進んでおり、2020年に至っては49.3%とほぼ半数でした。しかし、前述のとおり、2021年は若手男性が激増したため、かなり久しぶりに若返りました。

電通様の言うとおり

Mリーグの熱狂はすでに既存の麻雀ファン以外にも波及し、20代~30代の男性では麻雀をやってみたいと思う人(体験意向者)の割合が右肩上がりに上昇しており、確実にその裾野を広げていることが分かります。

「ウェブ電通報」(2022/03/09)

これは、俺達の雷電の親会社である電通が発表した記事ですが、正直、いつもの提灯記事と読み飛ばしていました。

ウソだろ……。電通様の言うとおりなの?
若手男性の増加は、2020年のコロナ禍で一旦停滞したので、この流れが今後も続くのか、動向を見守りたいところです。

各種ゲームの女性比率

最近、将棋の里見香奈女流五冠が棋士編入試験に不合格となったことが話題になりました。女性のプロ棋士が誕生していないことの理由として、男女間の参加人口の差がよく挙げられます。では、麻雀やその他のゲームはどうなのかというと、最近20年間の『レジャー白書』のデータでは以下でした。

各種ゲームの参加人口の女性比率(5年ごと)

麻雀・囲碁・将棋の中では、例年は将棋の女性比率が低かったのですが、2021年は、女性の参加人口が激減した結果、麻雀が最下位になっています。デジタルゲームの男女比率は半々です。
プロになる難易度が違いすぎるので、同列には論じられませんが、麻雀では多数の女性プロが活躍していますね。各麻雀プロ団体の最高タイトルを獲った女性プロはまだいませんが、そろそろ出てきそうです。

5.80代のレジャー活動

従来の『レジャー白書』の調査対象は「全国の15~79歳の男女」であり、子供と老人は除外されていました。しかし、今年の『レジャー白書2022』は、高齢化を背景に「80歳~89歳の男女」を対象にした特別調査を行なっており、この年代のレジャー志向が明らかになっています。

80代のレジャー活動は、「ウォーキング」「園芸、庭いじり」「読書」がトップ3でした。いかにもというか、健康志向ですね。「動画鑑賞」は、15〜79歳では2020年に首位、2021年には2位でしたが、80代では18位でした。この年代は、動画ではなくテレビを見ているということですね。潜在需要は、「国内観光旅行」「海外旅行」と旅行が上位を占めています。
ゲームやギャンブルに目を向けると、家庭用ゲームが多いのは他の年代と変わりありませんが、昔からなじんでいる将棋や麻雀といったアナログゲームが強いですね。

各種ゲームの80代の参加率・参加希望率(2021)

将棋は80代の参加率が高く、2015年のデータではありますが、14歳以下の参加率も高かったので、年代の両極端に人気があることになります。
麻雀も80代の参加率が高く、ここに挙げたレジャーの中では参加希望率が一番でした。やっぱ、これだよな。全自動卓メーカーは、老人ホームに営業に向かうべき(もう行ってるか)。

子供・80代を足した各種ゲームの参加人口(2021)

6.待ち牌表示は地獄の一丁目か?

麻雀と将棋・ポーカーの中継画面比較

今シーズンのMリーグでは、以下のように、テンパイ時の待ち牌やアガリ時の手役が表示されるようになりました。

同じABEMAで放送している将棋や、YouTubeのポーカーの中継はこんな感じ。AIが予測する両選手の勝率等、情報量が多いですね。

こういった中継画面の構成から、そのゲームに対するAIの影響度がわかります。
将棋やポーカーの世界では、AIが人間を凌駕する最強水準にあることが広く認知されており、学習や試合の検討に利用されています。ただ、AIによるデータ表示は諸刃の剣で、わかりやすい反面、たとえば将棋の中継では、AIが即座に出した解答(最善手)に対する人間(プロ棋士)の答え合わせを見ている感覚になります。

地獄への道はAIが舗装?

福地先生が最近書いていたこの記事でも、「同じ運ゲーでも、プレイヤーの実力がAIに厳しく判定されるバックギャモンはAI様の奴隷になる地獄だが、まだまだAIの影響が小さい麻雀は天国」と書かれていました。

今後は、麻雀放送でもAIの利用が進んでいくのでしょうか。

試合終了後のチームポイント予測まで出てる。マジすごい

上に貼ったのは、YouTubeでMリーグを同時中継している手牌チューブさんの画像です。ABEMAの映像をAI処理して、各選手の「手牌」と「待ち牌」だけでなく、「シャンテン数」と「受け入れられる牌の種類」も表示しています。
現在のMリーグの待ち牌表示は人力でやっていそうですが、捨て牌もAI処理すれば、「待ち牌の枚数」も表示できそうです。

そうなると、

「二ー五万は山に何枚ですか?」
「捨て牌に2枚、手牌に3枚あるから、残り3枚ですね」
「いや、捨て牌に3枚切れてますね。残り2枚です」
「失礼しました」
「いやいや、助け合いでいきましょう」

といった解説席でのおなじみの会話もなくなるわけですよ。
(「2対1は五分ですね」「五分なわけないじゃないですか」は残りそう)

まとめると、今後、Mリーグの画面に追加される可能性があるのは、「シャンテン数」「受け入れられる牌の種類」「待ち牌の枚数」になります。まあ、そこらへんで打ち止めかなあ。

麻雀AI「NAGA」ちゃん

将来的に、こういうのが画面に出てくるようになると、いよいよ地獄に一直線ですね。手牌チューブさんのように、リアルタイムでMリーガーの手牌進行をAI判定させる動画が、今後出てくるかもしれません。

7.Mリーグ vs Tリーグ

麻雀と卓球の共通点はといえば、どちらも卓を使うことと中国で盛んなこと、そして、同時期(2018年10月)に国内でプロリーグがはじまったことです。
Mリーグと、卓球のプロリーグであるTリーグを改めて比較してみました。

話題性はMリーグが圧勝

視聴数だけでなくTwitterでの話題量のデータを見ても、藤井聡太棋士や羽生善治棋士も出場している将棋の竜王戦や、水谷準選手や張本智和選手も出場している卓球のTリーグと比べて、MリーグはSNSでの話題が圧倒的に多いことが分かります。

「ウェブ電通報」(2022/03/09)

電通のこの記事によれば、ツイート数ではMリーグに圧倒的に軍配が上がります。
おおむね、Bリーグ(バスケ) > Mリーグ(麻雀) > 竜王戦(将棋) > Tリーグ(卓球)という順番ですね。

麻雀と卓球の参加人口・市場規模

『レジャー白書』の参加人口以外に、卓球では、日本卓球協会に登録されている「登録人口」が存在します。ガチの競技勢ですね。

データを見ると、麻雀も卓球も、2018年のプロリーグ開始の影響はあまり感じられず、それよりも、2020年以降のコロナ禍の影響の方がはるかに大きいように見えます。
ただ、脱ギャンブルを謳ったMリーグが既存のオンレート雀荘を排しているのに対して、Tリーグは卓球用品販売や貸卓といった従来のビジネスと結びつきやすいとは言えます。

TリーグはV字回復

 Tリーグは2018年10月に華々しく開幕したが、決して順調な滑り出しではなかった。2シーズン連続の赤字となり、その将来が不安視されていた時期があった。しかしそこからV字回復を見せ、2シーズン連続で黒字を達成

「web Sportiva」(2022/09/21)

昨シーズン(2021-2022)のTリーグは、8700万円の黒字となりました。その前のシーズン(2020-2021)の9000万円の黒字に続き、2年連続の黒字を達成しています。もっとも、初年度だけで6億円の赤字ということなので、トータルではまだまだマイナスです。

Tリーグの黒字達成の理由は以下になります。

  1. スポンサーの獲得

  2. ネット視聴者数の増加

  3. 卓球版マイナンバー「Tid」の導入

スポンサーの獲得はまあ当然として、昨シーズンのネット視聴者数は、前年度の14倍に伸びています。ちなみに、Tリーグ観戦の最安値は、Amazonプライムの月額698円(Amazonプライム会員費500円 + TリーグTVチャンネル代198円)になります。
そして、「Tid」とは、「Tリーグファンと卓球をプレイする人たちを融合させたプラットフォーム」のことです。決済機能等を付与してTリーグ観戦をスムーズに行えるようにするとともに、同じIDで大会運営サービスと連携して大会に参加でき、卓球をプレイする機会を増やしています。このTid会員は、現在は3万人を超えています。

しかし、今シーズンからリアル観戦の入場制限が撤廃されたことで前途洋々かと思いきや、9/10(土)の開幕戦を除いて、9・10月は観客数が千人を超えることはなく、200人以下の日もありました。Tリーグ理事にまで、Tリーグは危機的な状況と言われる事態になっています。
11月に入ってからは観客数は復調傾向にあり、11/6(日)の九州アスティーダ vs 日本生命レッドエルフ戦の観客数は1,146人でした。

Mリーグは儲かっているのか?

Tリーグを黒字化したこの3点について、Mリーグはどうなのかというと、

  1. スポンサーの獲得 あり

  2. ネット視聴者数の増加 ありだが収益の程度は不明

  3. 観戦者とプレイヤーの融合 なし

となっています。順に見ていくと

■スポンサーの獲得

Mリーガーのユニフォームを見るかぎり、各チームのスポンサーは着実に増えています。リーグ全体のスポンサーは9社、オフシャルサプライヤーは2社です(協賛社は、昨シーズンの8社から2022年10月時点で10社に増えたとのことなので、結局、3社増えた?)。

■ネット視聴者数の増加

2018年の開幕から視聴数などの数字を見ていくと、1シーズンごとに前年度比較で10%から20%くらいの増加率を維持できています。4年間を通じてでは発足当初から2倍以上の数字にはなっていて、我々としては大変満足のいく結果となっており、手応えを感じています。

(中略)

Mリーグ発足当初から注目の集まる試合などでは視聴数が100万を超えることもあったのですが、4シーズン目に関してはむしろ100万視聴を超えるのが当たり前となり、優勝の決まるシーズン最終日には選手たちの素晴らしい戦いもあって、視聴数は300万を超えるほどになりました

「PRESIDENT Online」(2022/10/02)

Mリーグも視聴者数は順調に伸びていますね。
ただ、有料配信のみのTリーグとは異なり、MリーグをABEMAでリアルタイムで観戦する分には無料なので(アーカイブや特別コンテンツの視聴は月額960円)、視聴者数が増加しても、収益はそこまで増えてはいなさそうです。

■観戦者とプレイヤーの融合

Mリーグファンとプレイヤーの融合については、ABEMAの親会社であるサイバーエージェントがノーレート雀荘「オクタゴン」の経営に乗り出したりしてはいますが、現在、両者を融合するプラットフォームは存在しません。そこらへんが、前述の「脱ギャンブルを謳ったMリーグが既存のオンレート雀荘を排している」ことが響いてくる部分だと思います。

■オフィシャルサポーター

その他の収益として、Mリーグオフィシャルサポーターは全チーム合わせて6,359人(2022年11月15日現在)であり、年会費は7,150円なので、収益は約4,500万円です。Mリーグと各チームの分配比率は不明です。グッズ収入・配分も不明です。

■パブリックビューイング

パブリックビューイングについては、全国各地でバンバン開催すれば、スポーツのリアル観戦のように収益化できると考えていましたが、そう簡単ではないようです。以前、多井プロがYouTube配信で、「都内では場所代がかかりすぎるので、PVは何人入っても赤字」と言っていました。

現在開催されている「Mリーグ2022-23 全国一気通貫ツアー」は、入場料は6000円と8000円(100席限定)で、全国6箇所で行われます。
試しに計算してみると、11/22(火)のPV会場である「ユナイテッド・シネマ金沢 スクリーン5」(376席)の貸出し料金は、30〜50万円です。全席埋まれば、チケット収入は約250万円。場所代とゲスト料と諸経費(バルーン代等)を引くと、150万円くらいは残るんでしょうか。

■YouTubeチャンネル

他に、MリーグのYouTubeチャンネルの収益は4年で1400万円ということですが、毎年の賞金総額8000万円をまかなうだけでも全然足りないですよね。

福地先生のこの記事をみても、あまり儲かってなさそうです。
ただ、ウマ娘の年間売り上げ1,000億円というケタ違いの数字を見せられると、それでまかなえるのかなという気もします。

まとめ

  • 麻雀も卓球も、参加人口・市場規模は縮小しているが、これはプロリーグ云々よりもコロナ禍の影響が大きい

  • Tリーグは2年連続黒字達成(トータルでは4億円以上のマイナス)

  • Mリーグは収益化の道が立たないが、ウマ娘マネーがあるから安泰?

  • Mリーグには、Tリーグの「Tid」のような「観戦者とプレイヤーを融合するプラットフォーム」がない

8.海外配信はどうなるの?

2022年10月13日(木)、海外のMリーグファンの間に激震が走りました。

ABEMAで生放送されているMリーグが、海外では視聴できなくなったからです。

Mリーグを含むABEMAの番組は、2019年から、海外でも視聴可能になっていました。

ABEMAが今年からMリーグの海外配信を打ち切ったのかというと、そういうわけではなく、権利関係の問題だったようで(エンディング曲の放映権?)、現在は以下の暫定的な処置が取られています。

一安心といったところですが、アメリカ出身で日本プロ麻雀連盟所属のジェンプロの以下のツイートを見ると、元々、ABEMAはMリーグの海外展開にそれほど積極的ではなかったようです。

ジェンプロが引用しているツイートでも言及されていますが、「Mリーグの使命」にある国際交流はどうなっとんねん、という話ですね。

Mリーグは、オリンピックの正式種目化を目指して所要の働きかけを国内で行うとともに、国際的な交流および親善に貢献します

海外展開含め、ファンとしてはいろいろ期待してしまうのですが、一企業に多くを求めすぎではないかとも思います。Mリーグにはずっと続いてほしいのでがんばってほしいですね。

というわけで、文句を言っているだけではいけないと、NovelAIちゃんへのお布施とページ数の割にクソ高い『レジャー白書』を買って今月は十分赤字でしたが、Mリーグ5年目にして初めて、オフィシャルサポーターの入会ボタンを泣きながら押しました。おしまい

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