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何をやるのか誰も知らない...松本都vsサイプレス上野の“無人プロレス”は心の目で見ろ!

「何やるかなんて誰にも分からないですよ! 分かったらこんなに苦労してません!」
 松本都は困り果てているようで、しかしなぜか自信満々でもあった。
 6月5日、松本都が代表を務める『崖のふち女子プロレス』の大会がWRESTLE UNIVERSEで配信される。これは“無観客試合”ではなく“無人プロレス”だという。
 もともと、崖のふちは5月20日に蕨大会を開催する予定だった。しかしコロナ禍のため中止に。そこでオーナーの高木三四郎が「延期にするなら無人プロレスを」と無茶振り&丸投げ。無人プロレスというだけでも史上初なのだが、加えて対戦カードは松本都vsサイプレス上野。プロレスラーvsラッパーの異種格闘技戦である。二重三重にどうかしている。
 上野との対戦に関しては、松本都としても願ったり叶ったりのようだ。かつてアイスリボンのリングでフリースタイルラップ対決を敢行した彼女は、上野に弟子入り。一緒にリングに上がってもいる。
 そして今回はついに試合だ。根っからのプロレスファンである上野はプロレスとの関係に一線を引き、リスペクトを示してきた。ゲストとしてリングに上がることはあっても、安易に“試合”には絡まなかったのだ。だが今回、とうとう一線を“またぐ”ことになる。
「上野さんや大槻ケンヂさんはプロレスが好きだからこそ、わきまえている。でも今回は無人プロレスという普段とは違う形なので(試合をする)チャンスだなと。私よりもプロレスに詳しい人で、メジャーから崖のふちまで知ってますから。かなりの強豪だと思います」
 上野にも話を聞いてみると「弟子からの熱烈なオファーだったので。そろそろ俺もまたぐしかないかなと」。もちろん“無人”だからこその出場だという。
「無人ということを逆手に取るというか。こういう形ならやりようがあるかなと。ラッパーとして、ラジオやってる身として何かできるはず。頭の使いようがあるかなって。まあ“無人プロレス”って、信じらんないような発明ですよね。まだ何やるか全然聞いてないんですけど(笑)」
 念のため松本都に確認したのだが「プロレスの試合をやる」ということだけは確かだそうだ。まだ自分にも全貌が見えていない段階だが「無人だからできることがある」と自信だけは持っている。
「またラップ対決なんじゃないかとか思ってる人もいるかもしれないけど、全然そんなんじゃない。間違いなくプロレスで闘います。ラップとか1秒もやってもらわなくていいので。無観客ですらない無人プロレスを初めてやるんですよ。後楽園のメイン、文体のメイン、それくらいのことをやらないと意味がない。三冠戦みたいな試合をしたいです。硬派な試合ですよ。私たちのことを斜めから見てるような人ほど、しっかり確認してほしい」
 お笑い的なことでお茶を濁すつもりはないということか。しかし無人プロレスで「三冠戦みたいな試合」とはどういうことか。取材中にもアイディアが湧いてきたのか、どんどん話が大きくなる松本都だった。
「うまくやれたらプロレスの幅が広がりますよ。これから時代も変化していくわけじゃないですか。そんな中、未来のプロレスの形を提案するためにも無人プロレスを世に問いたい。新しいプロレスのジャンルを作るくらいの意気込みなので。WWEにも真似してもらって構わないし、私がWWEに引き抜かれるのもやぶさかではないです」
 どんな試合になるかは当日を楽しみにしたい。ただ基本的な疑問として、無人プロレスという状況で、それが「松本都vsサイプレス上野」であることが視聴者に分かるのだろうか。
「それは概念というか。心の目、チャクラで見てもらえば分かります」
 さらには「WRESTLE UNIVERSEだから、その辺は“分かってる人”しか見てないでしょ」と視聴者のプロレス心にすべてを委ねるような発言も。画期的な大会になるか、それとも大惨事か。我々も心してかからねばならないようだ。


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