お寺に生まれた私の世界一周
昔から、お寺に生まれて良い思いをした記憶はあまりない。
「お前ん家、人が死ぬの待ってるんだろ?」
小学生の頃、同級生が放ったこの一言は私の幼心を傷つけた。たぶん一生忘れられない。
そんなこともあったから、寺なんか絶対に継ぐもんか!と思って生きてきた。
しかしながら、そんな私も高校卒業後の進路を考えるタイミングで現実に直面し、僧階(お坊さんの資格)を取るという道に進むことになった。
入学したばかりの頃は、親の意向で入れられたと言う思いがとても強かった。
「私はこの大学へ入りたくて入ったんじゃない」
「やりたいことを勉強している周りの友達が羨ましい。」
インスタを見る度、高校の友達と話す度、そんなことばかり考えていた。
そんな中、ある日の授業で先生がこんなことを言っていた。
「君たちの中は親にこの大学に入れられたと思っている人も多いかもしれない。
でも、入試当日試験会場まで親に引きずられてきたのか?違うだろう。
最終的には自分でこの道を選んだんだよ。
せっかくこの大学に入ったんだから、興味がなくてもまずは仏教と向き合ってみないか?
向き合ったうえで、それでもお坊さんにはならないというのならそれで構わない。」
確かにそうだと思った。
最終的に今の人生を選んだのは自分だった。
ならば、やりたくないことをやらされているというスタンスをいつまでも引きずるのはやめにしよう。
どうせなら、ただのお坊さんじゃなくて一風変わったお坊さんになって、今までのお寺やお坊さんのイメージを払拭してやろう。
そんな思いを後押ししてくれたのが、先日まで参加していたTABIPPOの世界一周ゼミである。
全国から旅好きが集まり、様々な観点から50日間本気で旅について語り合った。
そして私は最終日のプレゼンで、
世界一周を通して
①信仰心を確立させる
②引き出しの多いお坊さんになる
③国際感覚を持ったお坊さんになる
というビジョンを掲げた。
そのために、人との出会いとそこから得られる学びというテーマを設定した。
具体的には、現地で出会った人に、
・信仰している宗教はあるか
・どのような経緯でその宗教を信仰するようになったのか
・宗教があなたの生活に与える影響
などをインタビューしようと考えている。
一般の信者、そして他宗教の宗教者にも話を聞きたい。
お寺で生まれ育ち、小さい頃から宗教がすぐ側にあった私は、信仰心というものが未だあまりわからない。
信仰心とはなんたるかもわからないから、自分の信仰心にも自信がない。
様々な人の話を聞く中で、自分の信仰心を確立させるヒントを得たい。
また、海外開教区を巡りたいとも考えている。
意外なことに、アジア以外にも仏教寺院は展開している。
現地のお寺には、19~20世紀に日本から移り住んだ移民の子孫や、仏教に興味を持った現地人が訪れる。
日系人にとっての宗教、また、異国の宗教に興味を持った現地人の話も聞きたいと考えている。
帰国後には、世界一周をしたお坊さんとして法要や葬儀にとどまらない様々な事業に取り組み、仏教界に新しい風を吹かせたい。
世界一周ゼミを通して、旅だけでなく自分と向き合う貴重な時間を過ごすことができた。
そして、お坊さんになることに対して前向きになることができた。
ゼミが始まった当初に設定した、旅の目的を見つけること、本気で語り合える仲間を見つけることという2つの目標は達成したうえで、さらに大きな収穫を得ることができた。
初めてのオンラインコミュニティに参加するという私が勇気を持って踏み出した一歩は、私の人生におけるとても大きな一歩になった。
この一歩を無駄にしないように、今後も迷ったらやってみる精神で沢山のことに挑戦していこうと思う。
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