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実家を遠く感じた日

週末、実家に帰っておりました。

父が脳出血で倒れ、翌日に祖母が亡くなるという信じられない事態となり、大急ぎで荷物をまとめて帰省したんです。

すこしでも母の役にたたなくては。私は長女だし。
私がいれば、きっと母も安心するだろう。

待っててね、お母さん。頼れるムスメがすぐ行くから!

・・・

実家では、母がてんてこまいになっていました。

父の入院手続き、父の仕事関係者への連絡、親戚への状況説明。おまけに祖母の葬儀の手配まで。

バタバタあわただしい中、私がいたところでどうにもなりませんでした。

固定電話の操作方法がわからない、お茶を出したくても湯のみがどこにあるのかわからない。IHクッキングヒーターの操作がわからずお湯がわかせない。完全に足手まといでした。

自分の実家なのに、何がどこにあるのか全然わからないんです。

母にとって私は「お客さん」。かえって気をつかわせてしまったように思います。

大ピンチの母を救ったのは、地域の人たちでした。

父が倒れたと聞きつけて真っ先にたずねてきてくれたのは、実家のナナメ向かいに住むご家族。

お隣のおばさんも、サツマイモをどっさり持って応援にきてくれました。

「私たちを頼って。」
「できることあったら遠慮なく言って。」

心の底から湧き出てくるような、はげましのことばを受ける母。

地域の人に囲まれ涙する母をながめて、私はちょっとさみしいような安心したような、変な気持ちになったんですよね。

私が実家を出たあともずっと、母はここで暮らし、地域の人との絆を深めていたんだな。

嫌で嫌でしかたなくて、大学進学をきっかけに飛び出した実家だったけれど、今はそんな実家が、なんだかすごくいい場所に思えます。

・・・

脳出血で倒れた父は、左半身に重い麻痺が残るらしく、これからリハビリにはげむのだと、先ほど母からLINEが。

「私にできることがあったら言ってね」

遠く離れた場所に住む私に何ができるかわからないけれど。


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