【メモ】服薬アドヒアランスに関する最近の研究は?

医薬連携のお話をするにあたり、いろいろ眺めてみた

(以下かなりの直訳、意訳ですのであしからず)
・A perspective on nonadherence to drug therapy: psychological barriers and strategies to overcome nonadherence (PMID 30197504)
・薬物療法におけるアドヒアランス不良の視点、その心理的障壁と克服戦略
2018年8月公開の米国の総説論文

患者中心のケア(PCC)を念頭に置いた上で推奨される事項
1.健康リテラシー、理解の向上
2.レジメンの簡素化
3.モチベーションを高める動機づけ
4.社会的な繋がりを持つ
5.問題解決方法を検討する
6.電話やアプリなどのリマインダ機能、技術を適切に使う、ただし単なる服薬リマインダではアドヒアランスが向上しないというデータもあり、電話でのカウンセリングやフィードバックで補った方が効果的
7.患者のニーズに合わせてカスタマイズされた、多面的な介入計画を作成する

・Medication adherence and beliefs about medication
in elderly patients living alone with chronic diseases 
(PMID 29416319)
慢性疾患単独で暮らしている高齢患者の服薬アドヒアランスと服薬に関する信念
・韓国の城南市在宅医療センターに在籍していた高齢者3,326人を対象とした、アンケートを用いた横断研究
投薬を受けていた65歳以上の高齢者が対象
難聴、視覚障害、認知機能低下者は除外
研究参加を拒否した人、研究期間中に在宅していなかった人も除外

<服薬と服薬アドヒアランスに関する信念の関係;論文中のFig1より>
・一般的な特徴→性別、年齢、婚姻歴、学歴、信仰、収入、健康保険の種類
・臨床的な特徴→薬剤費の負担、薬の副作用、服薬の満足度、服用剤数、健康状態、健康行動、病気の数、種類
・上記特徴や、服薬の必要性、それに対する・懸念とアドヒアランスは関与している(薬物治療の高い必要性と低い懸念(受容)、高い必要性と高い懸念(相反)、低い必要性と高い懸念(懐疑的)、低い必要性と低い懸念(無関心)

<結果が示唆していること>
・既知の副作用があれば共有し、患者に対処法を伝え自信を持たせる
・補完的な代替医薬品の使用は、服用薬剤が増えるために薬物治療を複雑なものにしてしまう。慢性疾患の薬剤のアドヒアランスを低下させないためには、代替医薬品の使用について確認することが必要
・投薬の満足度はアドヒアランスを予測する重要な要素、投薬の満足度に影響を及ぼす要因は、薬物関連副作用、薬物有効性、および柔軟な投薬時間であった→副作用を最小にして簡便に服薬できる処方設計が必要
・高齢者に好まれる薬物の形状、デザイン、色についての研究が考慮されるべき
・48%以上の参加者が政府の医療援助を受けていた。政府の医療援助を受けている患者の薬物服薬遵守は、国民健康保険患者のそれよりも低かった。政府の医療援助プログラムは韓国の社会福祉プログラムの一環であり、社会経済的地位の低い人々のためのものであり、低所得者との直接的な関係はないものの、レベルおよび投薬の遵守について検討した。社会経済的地位の低い人々は、健康行動が不十分で、医療サービスへのアクセスが悪く、投薬遵守率が低くなり、全体的な健康関連のQOLが低下する可能性があります

(・・・在宅医療サービスを受けている高齢者と受けていない高齢者との比較ができればよいのかもしれない)


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