【薬局業務日誌】おくすりの飲み方や飲み忘れたときの対処の仕方、一包化について、栄養ドリンクとくすりの関係などもお話してください。
・・・というオーダーをいただきました。地域住民が集まるミニデイサービスで1時間ほどお話してくださいとのこと。ちなみにミニデイサービスで何をやっているのか、以前にお話を伺ったところ、朝に集合してラジオ体操とゲートボールで身体を動かし、お昼はみんなでお弁当を食べる、午後にお薬の話を聴いて解散するそうです。世代が違うけど、これも一つのコミュニティのあり方だと思います。以下、雑記メモ。
(参考資料)くすりの適正使用協議会
高齢者の方と介護なさる方へ「くすりを正しく理解していただくために」
1.くすりの飲み方→コップ1杯の水やぬるま湯で飲む
まあ当然なんですが、もしも目の前にお茶があればお茶で飲むのが人間かと思います。この内容を小学生相手に授業するときは、貧血の薬(鉄剤のシロップ)を緑茶に混ぜるとどうなるか?という現象を実際に見てもらっています。混ぜると緑茶が真っ黒になります。それがどうした?といわれると身も蓋もないのですが、黒く変化したものは薬としての効果を発揮しないただの黒い物質です。効果がやや落ちるのでお茶で薬を飲むのはもったいない、という話です。
ご高齢の方であれば、薬が多くて飲むのが大変、のみにくい、飲むと具合が悪くなる、いつもらったかわからない薬が余っている、何の薬かわからないなどなど、くすりの飲み方を語る以前の悩みがあるかもしれません。このような心配事を話すことが出来る医療機関を利用してほしいものです。
2.飲み忘れた時の対処の仕方と一包化(one dose package)
飲み忘れて思い出した時にすぐ飲める、多少時間がずれても飲める薬と、糖尿病の薬のように食事との関連で飲む時間が決まっている、時間をずらして飲むことが出来ない薬があります。ご自分の薬はどうなのか、あらかじめ確認しておくとよいでしょう。
ご高齢の方の場合、1度に10種類程度の薬を飲む方も多いです。薬の包装(PTPシート)から1つずつばらすのもかなり大変な作業ですし、途中で何をやっているのかわからなくなることもあるかもしれません。このような悩みを解消できるかもしれないのが一包化(one dose package)です。薬を1回分ずつパッケージしてもらうことでストレスが減るかもしれません。以下、私見です。
(一包化のメリット)
薬の包装(PTPシート)から1つずつばらす手間の軽減、手指への負担軽減
飲み間違いの不安が解消される(かもしれない)
(一包化のデメリット)
あらかじめ中身がばらしてあることで、それぞれ何の薬なのか考えて飲まなくなる
薬局での待ち時間がかかる(作業時間が長い)
一包化しても飲み忘れがなくなるとは限らない
3.栄養ドリンクとくすり
(わたしの薬局で扱っているドリンク剤をざっくり比較→各メーカーwebサイトより作成)
チオビタドリンク(指定医薬部外品) 100ml
滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病後の体力低下・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給
タウリン1000mg、イノシトール50mg、ニコチン酸アミド20mg、ビタミンB1 5mg、ビタミンB6 5mg、カルニチン塩化物100mg、無水カフェイン50mg
リポビタンD(指定医薬部外品) 100ml
肉体疲労・病中病後・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患などの場合の栄養補給、滋養強壮、虚弱体質
タウリン1000mg、イノシトール50mg、ニコチン酸アミド20mg、ビタミンB1 5mg、ビタミンB2 5mg、ビタミンB6 5mg、無水カフェイン50mg
ホルユニーアミノDドリンク(第3類医薬品) 100ml
滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病後の体力低下・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給
L-バリン 10mg、L-ロイシン 26mg、L-イソロイシン 12mg、L-トレオニン 8mg、L-アスパラギン酸ナトリウム 125mg、タウリン 3000mg、ローヤルゼリー 100mg、イノシトール 100mg、カルニチン塩化物 100mg、チアミン硝化物 10mg、リボフラビンリン酸エステルナトリウム 5mg、ピリドキシン塩酸塩 30mg、ニコチン酸アミド 20mg、無水カフェイン 50mg
ゴールドユニーLV液(第3類医薬品) 50ml
滋養強壮、虚弱体質、肉体疲労・病後の体力低下・食欲不振・栄養障害・発熱性消耗性疾患・妊娠授乳期などの場合の栄養補給
肝臓加水分解物 200mg、コンドロイチン硫酸エステルナトリウム 200mg、ジクロロ酢酸ジイソプロピルアミン 20mg、ゴミシ流エキス 0.3mL(ゴミシ300mgに相当)、ジオウ流エキス 0.5mL(ジオウ500mgに相当)タウリン 1200mg、リボフラビンリン酸エステルナトリウム 5mg、ピリドキシン塩酸塩 10mg、ニコチン酸アミド 20mg
*ヒストミンプラス液S(第2類医薬品) 30ml→ノンカフェイン
病中病後・発熱性消耗性疾患・肉体疲労・胃腸障害・栄養障害などの場合の栄養補給、滋養強壮、虚弱体質
カンゾウエキス 300mg、ショウキョウ流エキス 0.33mL、麦門冬流エキス 0.1mL、ピリドキシン塩酸塩 10mg、ニコチン酸アミド 10mg、パンテノール 10mg、タウリン 300mg
(タウリンとは?→アミノ酸の一種)
栄養ドリンクで摂取できるタウリンは少量であることが多い。
・医療用医薬品としてのタウリン(タウリン散98%「大正」添付文書より)
効能又は効果/用法及び用量
○高ビリルビン血症(閉塞性黄疸を除く)における肝機能の改善
○うっ血性心不全
効能又は効果毎の用法及び用量
タウリンとして、成人1回1gを1日3回食後に経口投与する。なお、うっ血性心不全に用いる場合、本剤は強心利尿剤で十分な効果が認められないときに、それと併用すること。
(参考) 心血管疾患におけるタウリンの潜在的な健康上のメリット
PMID 19343117
*糖尿病性心筋症、虚血性心疾患(IHD)、高血圧およびうっ血性心不全(CHF)の予防および治療のための栄養補助食品としてのタウリンの臨床価値および潜在性に関するレビュー
*タウリンの栄養補給は、既存の心臓血管疾患に罹患しているか、または既存の心血管疾患に罹患している患者のための治療の補助的な役割を果たすことができると思われるが、有効量のタウリンを確立する必要がある
*妊娠中の母親のタウリン補給は、ラット子孫でインシュリン耐性および肥満を引き起こすことが報告されている
(無水カフェイン)
・医療用医薬品としてのカフェイン(カフェイン「ホエイ」添付文書より)
効能又は効果
ねむけ、けん怠感
血管拡張性及び脳圧亢進性頭痛(片頭痛、高血圧性頭痛、カフェイン禁断性頭痛など)
用法及び用量
カフェイン水和物として、通常成人1回0.1~0.3gを1日2~3回経口投与する。
なお、年齢、症状により適宜増減する。
1本あたり無水カフェイン50mgを含有するドリンク剤が多い。この他にお茶類、チョコレートなどのカフェイン含有食品を無意識に重複して摂取した結果、1日の摂取量が多くなる可能性はある。
(参考)
食品中に含まれるカフェインに関するファクトシート(食品安全委員会)
食品・嗜好品との相互作用
カフェイン・喫煙・ドリンク剤・チアミン含有食品(原田 大, 北村 正樹)
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先日、ミニディサービスのリーダー格の男性が薬局にいらっしゃいました。
「再来週、またワタシがお邪魔します」
「人生で一番面白い話をしてよ」
…お役所経由であれやこれや注文を受けましたが、これが現場の声だったりします。なので、一方的に知識を伝えずに対話してこようかな。
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