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「それは差別です!差別を止めて下さい!」という話

数名の人とやりとりをしていて判るのはトランスジェンダーの人権活動はまるで理解されていないということ。

Twitterにおけるトランスフォビアに対して「トランス女性は女性です」とハッシュタグまで作られたこの言葉が、たんなる冗談だと思われている…。それもプライドフラッグを掲げる人達がだ…。

「シス女性ONLYの何が問題なのか?」…問題であることを理解する気は無く、なぜクラブイベントで差別化することが行けないのか?と、そこに行き着く…。

まめ太君の記事でも書かれていたけど、現在こういうクラスターで排除するQueer系イベントは海外では希有な存在。もちろん、完全会員制の秘密クラブ系には、そういう状況も見られる。

何故、それらの差別化が出来ないのか?といえばこれを許すと際限なくギスギスした社会形成がなされ、とても「一緒にプライドフラッグの元人権を訴えよう!」なんてできないからです。

彼女達は言います「皆シス女性が恋愛対象だから、それ限定にしているのであって何が問題なの?」(もっとも、これは最近でてきた言説で、ちょっと前まではトランス女性=犯罪者と見分けが付かないでしたが)

これを認めるなら、障害者は恋愛対象じゃないから「健常者のみ!」とか「外国人お断り」とか「白人オンリー」とか何でも可になっていくわけです。

現実、NYCPRIDEなどでは、この差別化の問題で結構揉めています。古くは1978年のドラァグ・トランスの参加禁止から、行きすぎた商業化による対立(この対立の背景は人種間格差の問題なども含む)などなど、これらの差別化はプライドシーンにおいて、内部での争いが起こるだけでは無く…社会にアピールするさいに

「あぁ、トランスジェンダーはやっぱりその性別として認識しなくても良いんだ?だって、PRIDEシーンに参加している人達が「あの人達は女性もしくは男性じゃない」と言っているじゃないか!」という言説を広めることになるわけです。

PRIDEシーンにおいて、人種、宗教、国籍、性別、あらゆる差別化を排除していかないと…最初は小さくても、それが結果大きな問題になっていきます。

今回の問題が、英語コミュニティでより大きく語られている背景は、トランスジェンダーの人権を軽く見る状況にPRIDEは無いだろう?という考えからです。これはトランスジェンダーの人権だけをという話ではなく、LGBTはもちろん、女性や、白人以外の人種、キリスト教以外の宗教、特定の国籍以外の人、そういったマイノリティの人権を等しく扱うために、トランスジェンダーの人権を軽く見ることは許せないという話につながるわけです。

例えば、言語の問題があるからとこの手のクラブイベントで「外国人お断り」と掲げれば、当然「外国人差別だ!」と声があがります。同じように「トランス女性お断り」とした場合、あきらかに「ごめんなさい、私達はトランス女性を女性として認めてないの!」という表明となり、それは間違い無く「トランス差別」であり、とうぜん抗議をします。

この事に関して『何で差別になるの?』『シスジェンダーで集まる自由は無いの?』といった言説が見られます。もちろん、そういう自由はあります。ただ、それに対して抗議がでるのは上記に掲げた理由からですとしか言えないわけです。

日本はまだまだ、Stonewall以前で、当時のUSで言う白人ゲイ・レズビアン…日本でいえば日本国籍を有する他のマイノリティでないゲイ・レズビアンが活動の中心であって、トランスジェンダーがPRIDEシーンにいることさえ疑問を持つ人が少なからずいる状態…。

この人達が「Stonewall50周年!ハッピーPRIDE!」とか言う軽さが、今の日本の状況ということでしょう。

さて…あたしがトランスジェンダーカフェを開設したときの説明に書いてましたが「明日世の中が変わることは無い」だからといって、声を上げないではなく…この先何十年かかろうと声を上げていくしか無いわけで…

シスオンリーだろうが、雰囲気だろうが…トランス排除をどうどうとすれば良いわけです。ただ、それは、同性婚も認めず、WHOの勧告も無視し続ける日本政府と一緒で、私達はその人達とおなじ空間に生きているので、抗議の声を上げ続けていくしか無いというわけです。

特に私はトランスジェンダーの活動家という立場を取っています。LGBTのではなくあくまで「トランスジェンダーの」です。トランスジェンダーの人権を訴える上で、トランス女性は女性です、トランス男性は男性ですと…たとえ、相手がそれを認めない理由をあげてこようが言い続けるしかないことをご理解下さい。

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