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サミットとは、オフ会である。

今週末からフランスでG7サミットが開催されます。

開催地はビアリッツ。スペイン国境近く、文化圏としてはバスク地方の、高級リゾート地です。

2000年代から、リトリートと呼ばれる地方開催が主流になってます。直訳すると「隠れ家」。

どうしてこんな辺鄙な場所で開催するかというと、警備が楽になる、観光地の振興になる、首脳たちもリフレッシュして良い議論ができるなどの利点があるため、だと言われてます。

もともとサミットは、1970年代に先進国の経済問題を話す場として始まったもの。

特に米国は、ソ連と消耗戦をしてる間に、気がつくと日本がめっちゃ経済成長してるし、欧州も復興して連合作ってるし、産油国調子に乗り始めたし、オレの覇権ヤバない?という焦りもあった(たぶん)。

そして米国、英国、フランス、西ドイツ、日本が集められたが、何故かそこには、呼ばれてないイタリアの姿が...。

「おい、誰だよアイツ呼んだの」「え、アナタではないのですか」「オレは知らんよ...」「まあまあ、良いじゃん。ここ座っていい?ピザでも頼む?」

と話をしたかどうかはともかく、イタリアは第2回から公式メンバーに。それだと欧州メンバー多くない?と米国がカナダを誘って、G7発足。ま、公式とは言ってもそもそも何の紙もない、単なる非公式オフ会。

ソ連崩壊後にはロシアも入ってG8に。ロシアはウクライナ騒動に乗じてクリミアを併合したので2014年から仲間外れにされ、再びG7に。

この頃までは、先進国が経済の中心にいたけど、ここのところ台頭する新興国中心のG20に押されて、形骸化の一途をたどっています。

フランスのマクロン大統領が掲げるテーマは「不平等との戦い」。ゲスト国を色々と呼んだりして頑張ってる。盛り下がり気味な飲み会を何とかしたいけど根が真面目なので結果として滑り気味な宴会部長といったところ。いるよねーこういう人。

そしてサミットでは毎回、首脳宣言という紙をまとめるけど、この紙は裏で事務方がめっちゃ苦労してまとめてる。段落ごとに番号を振って、各国の関係省庁から死ぬほど細かい指摘が無限に寄せられて、外務省職員達が徹夜でまとめる。

しかしトランプ先輩は「そんなの関係ねぇ!」と豪快にちゃぶ台をひっくり返すので、いよいよ形骸化に拍車がかかり、今年はそもそもまとまらない説が有力。

さらには英国のお騒がせ男、ボリスジョンソン来襲、イタリアは内政がゴタゴタしてこのタイミングで首相辞任。

40年近く続いたオフ会も、そろそろ歴史的な役割の終わりを迎えつつあります。

例えるなら、全国大会常連校が毎年オフ会を開いて我が世の春を楽しんでたけど、気がつくと新興勢の追い上げ著しく、自分たちの足下もボロボロで、よく考えてみるとそんなに仲良くもないんだけど、惰性で毎年避暑地で過去の武勇伝を語っている...という感じです。

そんな目線でニュースを見ると、また新たな味わいがあります。

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