漫才:背後霊

鉤爪ニキ:マンチカンネコ  チンチカンネコ

逢田翔吾:小さくて可愛い品種の猫で局部を連想させるな!
     どうも、逢田(あいだ)と鉤爪ニキ(かぎづめニキ)で「お刺身マタドール」と申します

鉤爪:今日はここに来るまでに100円の自動販売機を2か所も見つけちゃいました!

逢田:そんな珍しいもんでもねぇよ!
   たくさん見つけてるわけでもないし

鉤爪:俺さ、こないだ霊能者に自分の背後霊を見てもらったんだよね!

逢田:お前みたいなワケわかんない奴に憑かなきゃいけない霊が不憫でならないよ

鉤爪:最近俺、日曜日の深夜になるとコンビニに行っては買いもしないジャンプを立ち読みするために
   店員さんに入荷の梱包を開けさせるおじさんと仲良くなったんだけどさ、

逢田:そんなゴミみたいな奴と仲良くすんな!他に友達いないからって

鉤爪:なんでもその人のお姉さんが子どもの頃から霊感が強かったらしくて、
   「霊が見える!」と言っては周りの人から石をぶつけられていたらしいんだよね

逢田:イジメられてんじゃねぇか!大丈夫かそいつ?

鉤爪:そんなおじさんとそのお姉さんと3人で鬼怒川温泉に行ってきたんだよね

逢田:よく一緒に行こうと思ったな!?そんな得体の知れない連中と

鉤爪:いろいろと名産も食べたんだけど、
   特に一番美味しかったのは着いた日のお昼ご飯で食べた てりやきマックバーガーだったかなぁ~

逢田:もったいな!

鉤爪:ワサビが効いててライチが乗ってたよ

逢田:俺の知ってるやつじゃなかった
   栃木限定!?それともパラレルワールドのてりやきマックバーガーなのか!?

鉤爪:支払いの時に昭和65年の1万円硬貨を使って、
   余ったお金で本屋さんでヴォイニッチ手稿の最新刊を買ったよ

逢田:ホントにパラレルワールドの話だったのかよ!
   てかハンバーガー食って本屋さん行くって旅行で組む日程じゃないのよ

鉤爪:ちなみに本屋でおじさんが「前から欲しかった」って言ってONEPIECEを全巻買ってさ、

逢田:それどうしてもそのタイミングじゃなきゃダメだった!?

鉤爪:持ち運べなくなってにっちもさっちも行かなくなってホームセンターで台車も買ったよ

逢田:お前らわざわざ栃木でずっと何やってんだよ!
   てか人に迷惑をかけてでもジャンプを早くに読みたいような奴はONEPIECEは既に全巻持ってろよ!

鉤爪:これだけ買い物を楽しんでいたのに、このあとハプニングが起こったんだ!

逢田:そもそもお前らがこの世に爆誕してしまった事自体がハプニングなのよ

鉤爪:歯医者さんで次回の予約とお会計を済ませたところで、3人のおこずかいが尽きちゃったんだよね

逢田:歯よりも先に頭だろ!
   お前らずっと明日死ぬ身寄りのない金持ちでもやらないような金の使い方し続けてるからな!

鉤爪:お金がなくて困った俺らに見知らぬ外国人の男性が話しかけてくれて、
   事情を説明したらその男性が俺らの保険証を買い取ってくれるって言うんだ!

逢田:その人にすくわれたな。足元をだけど

鉤爪:俺らはおじさんの保険証を失った代わりに2000円を手に入れた!

逢田:果たして失ったのは本当に保険証だけなのだろうか・・・

鉤爪:これじゃあ来週の歯医者さんの治療代にしかならないよ!

逢田:そもそも帰る事を考えろよ!
   来週の歯医者代なんてお前らそのものの次にいらねぇよ!

鉤爪:そう思った時にはもう外国人の男性の姿はなかった!

逢田:普通だったら2000円っていう値段を提示された時点でそう思うんだよ!
   てか普通だったらそもそも初対面の人に保険証を売らないといけないほど追い詰められる事ないのよ!

鉤爪:万策尽きた俺らは最後の手段に出ることにした!

逢田:そもそも策なんて1つも無かったように感じられるのだが

鉤爪:お姉さんが道行く人の背後霊を診断するパフォーマンスをして、それでお金を稼ぐことにしたんだ!

逢田:そういえばそうだよ!
   背後霊を見てもらった話でだいぶ遠回りしたな!?忘れてたよ!

鉤爪:せっかくなら最初のお客さんは俺たちだろ!ってことで、俺が背後霊を見てもらうことになったんだ

逢田:友達が飲食店オープンした時みたいな感覚で見てもらったんだなぁ~

鉤爪:俺に憑いている背後霊は俺のひいひいひいおじいちゃんにあたる人物で、
   遠い子孫である俺の事をいつも見守ってくれてるんだって

逢田:やっぱり身内だとこんな奴でも無償の愛を注いでくれるもんなんだなぁ・・・
   お前背後霊ガチャSSR引けてんじゃん

鉤爪:栃木から帰ってきた次のお休みに、歯医者の予約を反故にしてお墓参りに行ったのは言うまでもないよね

逢田:お前って極力相手にしたくないけどそういうとこあるから嫌いにはなれないんだよなぁ・・・

鉤爪:そうだろう、そうだろう!

逢田:調子のんな

鉤爪:で、何人か背後霊の診断を続けていたんだけど、
   ある女性を見た時にお姉さんが凄まじい形相を浮かべて驚き出したんだよ!

逢田:ただ事ではなさそうだね

鉤爪:というのもその女性の背後霊っていうのが、
   俺のひいひいひいおばあちゃんにあたる人物らしくて、
   赤の他人であるにもかかわらず、その女性の事をいつも見守ってくれてたんだって

逢田:・・・はぁっ!?

鉤爪:それをきっかけに俺とその女性は即座に意気投合して、運命を感じて交際0日ビビビ婚ですよ!

逢田:・・・はぁぁっ!?

鉤爪:しかもその女性がお金持ちのご令嬢で、金銭面の支援をしてくれて俺らは無事に栃木から帰ってくることができたんだ!

逢田:急にサプライズが大渋滞起こしてるんだけど!
   何!?お前変なおじさんおばさんと行った旅行先で金持ちと結婚したの!?
   なんで結婚したなんて大事な話を相方の俺に話してくれなかったんだよ!?

鉤爪:だって俺の事「ワケわかんない奴」とか「極力相手にしたくない」とか言うから・・・(しょんぼり)

逢田:ゴメンて!!そんな事気にしない大らかな奴だとも思ってたんだよ!

鉤爪:とにかく、俺は栃木でお金持ちの16歳のお嫁さんを貰ったんだよ

逢田:まだカード握ってたのかよ!!
   お前知らない間に一瞬でメッチャ幸せになってんじゃん!

鉤爪:相手のお母様が俺の事を凄く気に入ってくれている

逢田:ご家族メッチャ聖人君子じゃん!
   相手のお母様はなんでこんな奴を気に入れるんだよ!

鉤爪:こないだ行ってきたそのお墓参りも、俺は手間をかけさせちゃうからいいよって言ったのに、
   嫁がどうしても一緒に行きたいって言うから2人で行ってきた

逢田:メチャクチャ良い子じゃねぇかよ!!
   お前マジでその幸せな環境ムダにすんなよ!?

鉤爪:もちろんだよ!なんたってせっかく仲良くなったおじさんのお姉さんをキッカケに、
   俺の父方のひいひいひいおじいちゃんと母方のひいひいひいおばあちゃんが俺と嫁を引き合わせてくれたんだからな!

逢田:そこ夫婦じゃなかったかー!!
   背後霊同士はほぼ他人じゃねぇかよ!

鉤爪:いやぁ~、俺も頑張って幸せな家庭を築かないといけないな~!

逢田:これを機に少しでもマトモになってくれ

鉤爪:楽しみだな~、子どもが出来たら合法的に幼稚園を出入りできるぞ~!

逢田:あまりにも前途多難だな
   どうも、ありがとうございました


昔お化けぬこさん主催の「N-1グランプリ」という企画に投稿したネタです
「お化け」をテーマに漫才を書くというルールだったのですが、背後霊が出てくるだけでお化けっぽさはあんまりなかったですね・・・

そうだろう、そうだろう!  調子乗んな!

みたいなどんなネタにでも入れられそうなやりとりもちょくちょく入ってるんですが、好きなボケをいろいろ盛り込めたのと、ツッコミも良い感じに強い言葉を使えているので個人的には気に入っているネタです

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