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推しを決めた日。

初めて推しができたのは、2021年8月に放映された『准教授・高槻彰良の推察』というドラマがきっかけだった。私はその原作である小説の一巻が出たときからの大ファンで、「ドラマ化する」と知った瞬間に歓喜の声を上げたのを今でも覚えている。

『准教授・高槻彰良の推察』(澤村御影/角川文庫)は、人の嘘を聞き分ける力を持つ孤独な大学生・深町尚哉と、怪異に目がない民俗学の准教授・高槻彰良の凸凹コンビのいわゆるバディ物だ。

私はある理由から尚哉の孤独にひどく共感し、「どんな人が、尚哉を演じるんだろう」と思っていた。そこで初めて、当時King & Princeに所属されていた神宮寺勇太さんを知った。

初めて神宮寺くんが演じる尚哉を観たとき、「尚哉がいる」と思った。その雰囲気も佇まいもナイーブな声も、何もかもが深町尚哉そのものだった。

ほぼ同時期に、家族が朝の連続テレビ小説「おかえりモネ」を観ており、それに登場する「りょーちん」という役柄で永瀬廉さんを知り、その目の演技に引き込まれた。

神宮寺くんと廉くんが同じKing & Princeというグループに所属していることを知り、ジャニーズにもアイドルにも全く興味がなかった私が、「どんな曲を歌うんだろう」と初めてアイドルの歌を「聴いてみたい」と思った。そうして、YouTubeのKing & Princeの公式チャンネルへと辿りついたのだ。

正直に言ってしまうとこの頃はアイドル調の曲が得意ではなく、せっかく聴くなら「少しでも楽しめるものを」と思った。そんなとき、ふと「I promise」という曲が目につき、気づくと再生ボタンを押していた。

曲が始まる。夜のビルに、ロングコートを身にまとった5人の男性の姿が浮かび上がる。冬を思わせるしっとりしたラブソングが流れ、その中をふわりとコートを翻しながら男性たちは歌い踊った。そのメロディーや歌声にも、魅力的なダンスにも、一瞬で夢中になった。気づくと、私はこの人たちに惹かれていた。

いくつもの曲を聴き、動画などでその素顔に触れ、5人の仲の良さや努力家な姿や、音楽番組などでの謙虚な様子を見るにつれ、どんどん好きになっていった。

平野紫耀、神宮寺勇太、岸優太、永瀬廉、髙橋海人。この5人の姿を、「ずっと見ていたい」と願った。笑顔を見られるだけで「幸せ」と思える存在がいることの嬉しさが、どれだけありがたいかを知った。

それに衝撃が走ったのは、忘れもしない2022年11月4日の深夜23時過ぎのことだ。

平野紫耀と神宮寺勇太がグループを脱退・退所し、岸優太は出演する映画の関係上9月を以て退所し、永瀬廉と髙橋海人の両名がKing & Princeとして活動を継続するという情報がSNSを駆けめぐった。

ファンは混乱し、様々な推測や憶測が流れ、日々SNSへの書き込みは加熱した。そのなかで、私はひどく心もとない気持ちのなかにいた。

考えた末に、私は「今からでも、できることをしよう」と決めた。私が彼らにもらったものはとても大きくて、とうてい返しきれるものではないけれど、精一杯、「応援しよう」と決めたのだ。

12月にはFCに入り、件の退所にまつわるFC動画も観た。記者会見も開かれず、限りなく閉じられた空間のみで語られた、どこか違和感のある理由には他のファンと同様に疑念も覚えたが、「今、目を向けるのはそこではない」と首を横に振り、5人への応援にいそしんだ。

5人が掲載される雑誌の情報を集めては可能な限り手に入れ、5人が出演する音楽番組もくいいるように見た。経済的な事情でレコーダーも持っておらず、CDもろくに買えなかったが、12月の中旬には無事にレコーダーを手に入れ、操作に慣れないながらもKing & Princeの姿を記録に収めた。

彼らの姿が見られれば喜び、その言葉を読めたなら何度でも読み返し、ただ必死に応援する日々を過ごした。

この先、平野さんや神宮寺くんや岸くんが、どんな道を歩むのかはわからない。芸能界から去る可能性や、全く別の道を歩む可能性だってある。かろうじて廉くんや海人くんの姿を見ることはできるが、これまでの体制とは全く異なるため、やはり不安はあった。

けれどそんななかでも、さまざまな推測や憶測だけが流れてくる。

ファンは3人を応援する側と2人を応援する側に分裂し、私のように箱推し(グループ全員を推すこと)もいたが、SNSはつねに荒れていた。そんななか、ただ推したちへの思いだけで駆け抜けた。

例え、この先二度と3人の姿を見られなかったとしても。5人での、King & Princeではなくなってしまうとしても。メンバー全員が、「ご飯をおいしく食べられて、夜は安心して眠れればいい」と自分に言い聞かせ、誰のこともどこも決して責めずにいこうと決めた。ファンの行為は、そのままタレントへの印象に繋がるからだ。

決して、推しの顔に泥は塗らない。私たちの発言ひとつで、大切な推したちに迷惑をかけてしまう。だからスポンサーや出演させていただいたテレビ番組には感謝し、問い合わせ先を調べては感想を丁寧に紡ぐことを心がけた。

4ヶ月連続でリリースされたCDやツアーのディスクも、決して経済的に余裕があるわけではないが、何とか手に入れた。

すべてが、King & Princeとともにあった。出演する音楽番組に合わせて仕事の休みを取り、X(旧Twitter)で応援の言葉を発信しつづけた。

そしてついに、平野さんと神宮寺くんが脱退・退所し、岸くんが脱退する5月22日が訪れた。

翌日の23日からは、廉くんと海人くんの2人体制となる。その前に、所属するジャニーズ事務所(現在はSMILE-UP)から最後に何かお知らせがあるかもしれない。この2日間は仕事も休みを取り、ひたすらスマホを握りしめていた。

いつ、何かの通知が来るかわからない。もしかしたら、最後に5人での姿を見られるかもしれない。そしてできるなら、声を聴きたい。だが、そのどれも叶わなかった。

12時ちょうど、岸くんのブログの更新があった。何度もその言葉を読み、そしてスクリーンショットに収めた。だがその後、誰のブログの更新もなかった。後から知ったのだが、この日は廉くんも海人くんもドラマの撮影が入っていたのだ。

そして、21時50分過ぎ。何度もホームページを訪れていた私の前に、神宮寺くんと廉くんのブログが更新された。続いて、22時50分過ぎには海人くんと平野さんのブログが更新された。だがあろうことか、ファンの閲覧数がすさまじくサーバーがダウンしてしまったのだ。

何度も更新をかけ、何とか見られたときにスクリーンショットを撮りまくった。何故なら、平野さんと神宮寺くんのブログは今日この日までしか見られない。0時を過ぎたなら、消えてしまうからと必死だった。

何とか全員分のブログをスクリーンショットに収め、そして0時0分、平野さんと神宮寺くんのブログは閲覧不可となった(その後、翌日の昼間まで見られる状態となった)。

1日じゅうスマホを握りしめ、いつ通知が来るかと画面を何度も見て、更新をかけまくった。これが、最後なのだ。なら、せめてその言葉だけでも読みたい。彼らの思いを、少しでも知りたい。そしてそれぞれのブログが更新されたときの思いに、今でも私は言葉をつけることができない。

ただ、夢中で追いかけた。大切なものを失いたくて、どれほどみっともなくても必死ですがった。そして、メンバーそれぞれの言葉に触れられたときの安堵の感覚だけは、今でも私のなかに刻まれている。

5人の、King & Princeは終わった。終わってしまった。だが、まだ廉くんと海人くん、映画の公開に合わせ退所を秋にした岸くんがいる。この3人を、一生懸命応援しようと心に決めた。

5月23日以降、新生King & Princeは新曲「なにもの」が発表され、新番組「キントレ」が始まることが明かされ、ファンミーティングも開かれることが伝えられた。そして岸くんは映画「Gメン」の番宣のため、夏以降、いくつものバラエティ番組への出演が決まった。

廉くんや海人くんが載っている雑誌が出れば買い、岸くんが表紙を飾る雑誌が出れば可能な限り追いかけた。それぞれが出るテレビ番組は録画し、ダビングして保存した。

そんななか、先立って退所されていた平野さんと神宮寺くんが、滝沢秀明氏が率いるTOBEに所属することが7月7日に発表された。あのときの、X(旧Twitter)にあふれる言葉は、涙と歓びに充ちていた。

やがてKing & Princeのツアーも始まり、岸くんが主演する映画「Gメン」の公開が始まった。私はかつてないくらいに映画館に足を運び、岸くんをはじめ、それぞれの役者の方々の素晴らしい演技に夢中になった。何度スクリーンで観ても、まるで飽きなかった。それどころか、観るたびに新しい発見があった。

毎日が、お祭りのようだった。平野さんや神宮寺くんはインスタグラムなどでファンと交流し、岸くんは映画の番宣も兼ねて連日テレビ番組に出演し、廉くんと海人くんは冠番組や音楽番組で姿を見ることができ、ツアーの様子もSNSで流れてくる。

幸せだった。たとえ、所属する場所がバラバラでも幸せだった。まだ、彼らを見ていられる。「二度と、姿を見られないかもしれない」可能性すらあった平野さんや神宮寺くんに至っては、「そこに、いてくれる」というだけで良かった。

彼らが以前の所属先を去ることになった真相も、その経緯も、恐らくこの先も知ることはないだろう。だが、退所するにあたって守秘義務があるのは当然で、「言えない」にしろ「言わない」にしろ、当人たちが口を閉ざしているのだから、無理やりこじ開けるわけにもいかない。

なら、言えることだけでいい。今の彼ら一人一人が、それぞれの立場で最大限ファンに「届けよう」としてくれる言葉だけでいい。心から、そう思った。

ふと、思う。いつから、私のなかに変化が起きていたのだろう。5月23日以降、泣き過ごすことにならなかったのは廉くんや海人くんの存在が大きく、FC動画や雑誌で繰り返し語られた「ファンへの思い」に強く打たれた。

新曲の「なにもの」はとても元気が出る曲で、そのカラフルで楽しいMVは見ているこちらに力をくれた。2人の新生King & Princeが見せてくれる世界は、優しくて穏やかで透明感があり、廉くんと海人くんの仲の良さが伝わってくる、とても居心地の良い空間だった。

FC動画でファンに見せてくれる姿には、それまで知っていたはずの永瀬廉くんと髙橋海人くんの、今まで見えてこなかった姿があった。そして、何と言っても廉くんのラジオの存在がある。

廉くんは個人で「永瀬廉のRadio GARDEN」(=通称・庭ラジ)というラジオ番組を持っており、ファンに向けて語る時間を持ってくれたことがある。それが、5月24日に放送された回だ。

その言葉に涙が止まらず、「信じたい」でも「信じよう」でもなく、この人の言葉を「信じられる」と思った。けれど、このときはまだ5人全員を同じ熱量で応援していると思っていた。

その後は岸くんが出演する映画「Gメン」を必死で応援し、やがて番宣のテレビ番組への出演も徐々に減っていき、寂しく思い始めたときのことだ。ある日の庭ラジを、「リアタイしてほしい」というような内容の廉くんのブログを目にした。また、「ゲストがいる」という情報もSNSで目にした。

不思議に思いながらも、「まさか」という予感があり、その日の庭ラジは念のため録音することにした。そして、その奇跡は訪れた。最初は、海人くんが。やがて、岸くんが庭ラジにゲストとして訪れたのだ。

あの瞬間の歓びと感謝を、どう言葉にすればいいのかわからない。離れていた時間をまるで感じさせない自然さで、かつ「お互い、話しているのが楽しくてたまらない」雰囲気が伝わってきた。

何度も笑い、何度も涙がこみ上げてきては、「この放送が、永遠に終わらなければいい」と願った。また、2人がゲストの回はこれきりではなく、「次週も続く」ということが嬉しくて嬉しくてたまらなかった。

だが、2回目の回のときに、あることが知らされる。実は収録の前日に、偶然、海人くんと岸くんが会い、そこでお互い「明日、廉のラジオに出演するんだ」という会話を交わし、「サプライズで出演する」というのを、知ってしまっていたのだ。

それが明かされると、廉くんは「7月の上旬くらいから、マネージャーにも声をかけていたのに」と口にしてしまう。つまり、このサプライズは廉くんが主導で行われたもので、海人くんには「岸くんが来る」ことを明かさず、岸くんには「海人くんも来る」ことを知らせないようにと水面下で話を進めていたのだ。

それを知った瞬間、色々なことが腑に落ちた。

絶対に、リアタイしてほしいとファンに伝えたこと。番組のなかで、岸くんに「ファンへの言葉とかない?」と、岸くんのファンへの言葉を引き出そうとしてくれたことも。その全てが、廉くんの思いやりだったのだ。

そして岸くんは旧ジャニーズ事務所を去り、その後、平野さんや神宮寺くんと合流し、「Number_i」というグループ名で活動を始めることとなる。

だが、この時期と前後して、ジャニーズ事務所に最大の危機が訪れていた。故ジャニー喜多川氏による性加害問題がクローズアップされ、ジャニーズ事務所と、そのタレントや関係者は苦境に立たされた。

メディアは連日その事を報道し、ときに眉をひそめたくなるような過激な報道や言葉も飛び交い、各スポンサーは離れてゆき、インターネット上ではまるで私刑のようなことも行われていた。

毎日が、地獄のようだった。マスコミは連日ジャニーズ事務所の対応を叩き、「事務所を解体して、更地にすべきだ」という声も多く見受けられた。

人は、「叩いてもいい」とされた存在を悪しざまに罵るとき、何故あんなにも残酷になれるのだろう。かくいう私も、「ジャニーズ事務所に、所属しているタレントのファンだ」というだけで、心無い書き込みをいくつも受けた。

おそらくこの時期の苦しさは、タレントや関係者や関連企業の人びとやファン、それぞれの立場によって異なっただろう。もちろん、やむなく契約を切らねばならないスポンサー側にも苦悩はあったはずだ。だが、渦中にいたタレント達の不安や迷いは想像を絶するものだったに違いない。

そのなかで、King & Princeの2人はいつも笑顔やあたたかな言葉だけを届けてくれた。雑誌のインタビュー、FC動画、ツアーやファンミーティング等での数々の言葉に、いつしか私は廉くんや海人くんに、より心を寄せるようになっていった。

いつからだったのかは、わからない。けれど、2人が繰り返しファンに「不安を与えてしまった」ことを詫び、ファンとの時間を持とうとするその姿に、自然に打たれていった。

むろん、TOBEに行った平野さんや神宮寺くんや岸くんのことも応援してはいた。さまざまな媒体で思いを伝えられた廉くんや海人くんと違い、3人が在籍中にそういった機会を与えられなかったことや、守秘義務もあるため、脱所後に「言えないこと」がいくつもあるのも理解していた。

だが、マスコミや一般人に叩かれながらも、その苦しみや自分たちの不安は決して見せず、3人のことを応援しながらも、「(メンバーもファンも)全員で幸せになりましょう」と言ってくれた廉くんのラジオでの言葉が浮かんでは消えた。

そして、5人での活動の最終日の5月22日に、ドラマ「だが、情熱はある」の大勢のエキストラを入れての撮影を成し遂げた海人くんのプロとしての思いが繰り返し浮かんだ。

そして、忘れもしない10月21日。私は、人生で初めてアイドルのライブ会場に立っていた。横浜Kアリーナで開かれた、King & Princeのツアー「ピース」のチケットが当選していたのだ。

過去にもアーティストのコンサートに行ったことはあるが、座ってじっくり聴くタイプのもので、ペンライトを持つのも初めてだった。いわゆる推しを持つのは初めての経験で、当然うちわも持ったことがない。そんななか、2人にある言葉を届けたくて用意した。

生まれて初めて申し込んだ推しのライブに当選し、しかも会場を訪れてみたらアリーナ席で、目の前に永瀬廉くんと髙橋海人くんがいる。まるで夢のような、あっという間の時間だった。

キラキラしたライトやセット以上に、2人は輝いていた。大好きで、大切な人たちがそこにいる。この広い空間で、私たちファンのためだけに歌って踊ってくれているのだ。

アイドルにも、ジャニーズにも興味がなかった。キラキラしたアイドルソングはあまりにも眩しくて、自分からは一番遠いところにいると思っていた。それが、そのキラキラした光のなかで喜びのあまり泣いている私がいた。

そんななか、ライブも後半となり、アンコールの時間となった。ふと、アリーナ席の私の前を歩きながら歌っていた海人くんが屈んで足を止めた。

「ありがとう」

そう歌いながら去っていったとき、何が起きたのかわからなかった。隣の2人連れの女性のうちの1人の、「今、海人くんうちわ見ながら歌ってましたよね!?」という興奮したような声に我に返った。「ファンサを見られるなんて、ありがとうございます!」という声に、急に実感がこみ上げてきた。

そのうちわには、廉くんと海人くんへのメッセージが書かれていた。何かをしてほしいわけでも、自分を見てほしいわけでもない。ただひとつ、どうしても伝えたかったのだ。

そのうちわには、「幸せをありがとう」とだけ刻んでいた。

それからも旧ジャニーズ事務所を糾弾する声は続き、それに付随して毎年何グループかは出演していた紅白歌合戦への参加も取り止めとなり、年越しのカウコンも開催は見送られることとなった。だが、各グループはそれぞれに生配信などを行うこととなり、King & Princeも大晦日に生配信が行われることになった。

ファンは喜びあい、ファンとKing & Princeとの絆はますます強固なものとなった。そんなときに、髙橋海人くんに関するある報道が流れたのだ。現段階では真偽のほどもわからず、内容についてはコメントを差し控えるが、それにより「ファンを離れる」といった書き込みが増え、SNSは連日荒れることとなった。

同時期に、Number_iは様々な活躍に恵まれ、何かと話題性が高い発表が続いた。それを喜ばしく思いながらも、どこか身が引き裂かれるような思いにも包まれていた。もし、5人全員を同じ場所でお祝いできたら、どれだけ良かっただろう。

けれど今は3人と2人であり、どれほど「選んだ道を正解にしてほしい」と思いながらも、次第に、私のなかで気持ちが変化していった。

海人くんへの心ない書き込みを見るたびに、胸が痛んだ。大事なパートナーが傷つけられているこの状況を、「廉くんはどれだけ心配しているだろう」と思うと、いても立ってもいられなくなった。

また、旧ジャニーズ事務所は保障会社の「SMILE-UP」とマネジメント会社の「STARTO ENTERTAINMENT」となり、環境も大きく変わってしまう。そんななか、ファンが離れたらどうなるのだろう。

連日、様々なことを悩み苦しみ、その上で気づいてしまった。今の私が、King & Princeのことばかり考えているということに。

ずっと、5人のKing & Princeを応援していた。それが3人と2人になっても、変わらず「応援していく」と思っていた。けれど、今「一緒に苦難を乗り越えたい」と思うのは、間違いなく2人のKing & Princeだと、自分で気づいてしまったのだ。

自分たちも2人体制が不安であったなかで、「ファンを安心させよう」とファンミーティングを開き、繰り返し笑顔やあたたかな言葉を届け、ツアーでも大勢のファンを幸せにしてくれた。

思いもがけない出来事が起き、自分たちが糾弾されているなかでも、ファンにはそんな様子はひと欠片も見せずに、アイドルとしてそこにいてくれた。プロとしての度量や、その努力を止めない真摯な姿に、ただ打たれた。

5人時代に出会った廉くん海人くんが、2人で新体制のKing & Princeとして羽ばたいたとき、それまでの「好き」だけではなく、人としての尊敬の念に打たれ、私の中でも新たに生まれ変わったような気がする。

もちろんTOBEでのNumber_iのFCにも加入しているので、これからも3人を見守る気持ちは変わらない。5人全員、かけがえのない人たちだからだ。笑顔を見られるだけで「幸せ」だと思える存在がいることの幸せを教えてくれた、生まれて初めての推したちだ。

もし、グループとしてだけではなく個々にドラマや映画などの仕事が訪れたなら、かつてと同じように応援するだろう。

けれどもう、私の中心は永瀬廉くんと髙橋海人くんのKing & Princeになってしまった。

この先、どんなことが起きようともこの手は離したくないし、嬉しいお知らせには一緒に喜び、彼らが辛いときには支えになりたい。彼らが一番苦しいときに、寄り添えるファンでありたいと強く願った。

始まりは、5人だった。圧巻のパフォーマンスやダンスにも、音楽番組での謙虚な姿も、人を惹き付けるのに当人たちは人見知りなところも、5人でいつもわちゃわちゃしている仲の良い姿も、全員努力家なのにそれを見せないところも、何もかもが好きだった。

それでも、その「幸せだった思い出」をそっと宝箱にしまい、廉くんや海人くんと共にあることを決めた。

この先も、辛いことはあるだろう。世間の声にも、厳しいものもあるかもしれない。「所属タレントには罪はない」そんな言葉では、どうこうできる状態ではないことはわかっている。

だが、希望はある。

それは旧ジャニーズ事務所の、それぞれのグループや所属タレントへのファンの存在や、たとえファンではなくとも、「テレビで見られるのが嬉しい」と思ってくれる一般の視聴者の方々の声だ。引き続き、CM等に起用してくれるスポンサーの存在もある。

何より、タレント当人たちが自分たちのステージやパフォーマンスをファンに「届けること」をあきらめていないのだから、ファンは信じて待っていればいい。

失った信頼を取り戻すのは、ひどく時間がかかることなのかもしれない。それなら、その長い長い時間を推したちと共に歩いていくだけだ。

もしこの言葉が永瀬廉くんや髙橋海人くんに届くなら、たったひとことだけ伝えたい。ずっとずっと、あなたたちの味方です。




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