ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。

8月23日に“ぼくが子どものころ、ほしかった親になる。”というタイトルでPHP研究所から書籍が発売されます。アマゾンではすでに予約が始まっています。

35歳でガンになるとは思わなかったけど、ガンになって書籍を出すことになるとも思わなかった。人生ってわからないものだ。
推薦帯はむかしからファンだった谷川俊太郎さんに書いていただいた、本当にありがたい。

8月28日19時から代官山蔦屋さんでトークイベントとサイン会やります。

  追記  満員御礼 ありがとうございます。

イベント参加料2500円に書籍が含まれるそうなので、参加される徳の高い方は他の書店で買わずにこちらでお求めください。新人作家が代官山蔦屋でイベントできるのってすごいことらしいです、ありがたいです。
一人だと緊張しちゃうので、鈴木心さんに一緒に登壇してもらいます。

写真家だけどサインが苦手なので、多分イラストを書きます。
イラストも下手だけど、イラスト以上にサインが下手なんです。
そして漢字が苦手なので、名前はひらがなでお願いします。

そもそもどういう本なのだろう、育児本でもないし、自叙伝というわけでもない。
アマゾンのカテゴリには人文・思想となっているけど、日々考えていることや思っていることを勝手に書いた本だ。写真は一枚しか使っていない。

少しギョッとするタイトルかもしれないけど、親子関係だけのことではない。
自分が嫌だと思っていた先輩や上司のようになっていないか?子どものころ自分が憧れた大人になっているのか?という問いかけだ。

このタイトルは最後にあとがきを書いたあとにフッと浮かんだ。
今回はそのあとがきを全文公開します。

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あとがき

 自分が子どものころ、周囲にいてほしかった大人になろうとしていることに、原稿を書いていて気がついた。

 親や親戚の大人、教師や近所の大人など、子どものころの僕は周囲の大人に恵まれていたとは自分では思っていない。

 子どものころ、大人って嫌な人ばかりだと感じていた。
 大人になって社会で生活してみると、どこにでも嫌な人はいる。

 嫌な人たちは自分がされて嫌だったことを憂さ晴らしするように、ほかの人に嫌なことをする。

 嫌な人がまた新しい嫌な人を作ってしまう。

 僕は嫌な大人になりたくなかったので、悪意にふれるたびに反面教師にしようと心がけていた。

 長生きすることが幸せという価値観の人からすれば、僕は不幸な人間に見えるかもしれない。

 幸せの価値観は人それぞれだ。
 人は自分の幸せの価値観に沿っていない人を見かけると、その人を不幸だと決めつけてしまうのかもしれない。

 たとえば、お金を稼ぐことが幸せの価値観の人がいて、お金を稼いでいないホームレスを見かけたら不幸な人として哀れむかもしれない。
 でももしかしたら、ホームレスは自由であることが幸せの価値観で、お金を稼ぐために毎日遅くまで働く人を不幸な人として見ているかもしれない。

 34歳でガンになるとは考えていなかったけど、ガンになって本を出版することになるとは夢にも思わなかった。
 撮影の仕事を受注することができなくなったけど、代わりに文章を書く日々になった。
 好きなものを食べて、好きな人と遊んで、好きなことをして、明日の不安を抱えずに暮らしている。
 一時期は自殺を考えるほどの苦しみがあったけど、僕は今、人生で一番穏やかで幸せな時間を過ごしている。

 人生はどうなるか分からない、一寸先が闇かもしれないし、その闇の一寸先が光かもしれない。
 ガンになったことが不幸かと聞かれれば、僕は不幸だとは思っていない。

 不幸だと決めつけられて、息子のことを引き合いに出されて、哀れみの目で見られることがなによりも悔しく、悲しい。そして嫌な人ほど、不幸だと決めつけて哀れみの目で見ようとしてくる。

 この悲しみはガンにならなければ気づかなかったのかもしれない、病気が僕に教えてくれたことの1つだ。
 もしかしたら、嫌な人という存在も“ガン”なのかもしれない。
 すべてを反面教師にすることで、子育てに必要な優しさがまた少しだけ積み重なるような気がする。

 お父さんの人生には嫌なこともたくさんあったけど、優くんにそれを経験させたいとは思いません。
 でも、失敗させないように子どものためと親が線路を敷いたり、答えを与えるようなこともしたくない。

 お父さんは優くんにとって、遠くでぼんやりと光る灯台のような存在でありたいです。
 ぼんやりとした光は明るいときは見えなくても、暗い海で不安になったときに安心感をあたえます。

 お父さんは優くんにとっては、子どものころにほしかった親ではないかもしれません。

 それでもつらくなったり不安になったりしたときは、お父さんの言葉を思い出してみてください。
 もしかしたら心の支えになるかもしれません。そしていつか優くんも大切な人の光になりますように。

 2018年8月8日
幡野広志

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息子がお昼寝をしているときに写真を撮っていたら、眠りながら笑ってました。
いつまでも笑っていてほしい、どんなときでも笑うことを忘れないでほしい。
そんなことを願いつつ、今日も写真を撮っています。

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幡野広志

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コメント2件

出版おめでとうございます!Amazonで予約をいたしました。我が家には子供がいないので、弟にも1冊渡します。
私は、イヤな大人になってしまったような気がします。
あとがきの中に書かれた、「暗い海で不安になったときに安心感を与えるぼんやりと光る灯台のような存在」との表現に、写真家らしさを感じました。
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