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旗の「原則」に関する益体もない話

どうも「旗や」のオッサンです。
「今回は旗に関する具体的な話をする!」っておもったのですが、気が変わってまた「概念的な話」になりますが勘弁してくださいwww

旗って、皆さんにとって「何」ですか?

この質問に対して
「舞台やを演舞を彩るもの」
「チームのシンボル・看板」
「大道具の一つ」
・・・等々チームさんによってその認識は様々かとおもいます。
私自身は、看板としての側面を持っているが、それ以上に
「自分の分身、血を分けた我が子、物言わぬチームの仲間のようなものである」
・・・と答えます(旗を”うちの子”などと気持ち悪い呼び方するのもこういう思いからです)
ですから、チームの人に接するのと同様、旗は丁寧に礼儀や尊敬をもって接するものだと思っています。
実際、高知のよさこい祭りにおける旗のルーツは「フラフ」とよばれる「子供(その昔は家の跡継ぎたる長男)の誕生と健やかな成長を願う縁起物」でありその性質上、とても大切に扱われました。
また祭りにかぎらず、たとえば国旗などはその国で一番大事な旗でこれを棄損することは法律的・道義的にタブーとされます。
だから他国を非難するデモ等で相手国の国旗を燃やす・踏みつけるのは最大級の侮辱、敵対行為となります。
軍隊(今の自衛隊さん含む)においても「軍旗」「隊旗」が地面につくことは「敗北」を意味するため、そういう運用は禁じられています。
さかのぼれば、戦国武将が自軍の「旗」(馬印・旗指物等)を敵方に倒される。毀損される、奪われることは「敗北」であるとともに「武門の恥辱」とされましたし、さらに古代において旗(幟)は「神様の依代」として使われていた神聖なものでありました。
まあ、後半はいささか大仰ですが、旗というものが本来「敬意をもって扱うべきもの・粗末に扱ってはならないもの」であるとされてきた事実は認識していただけると嬉しいです。

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※高知のフラフ。つくられてからおよそ70年近くが経過しています)

旗の原則(基本的にやってはいけないこと)

では旗において「丁寧に扱う」ことってどういうことかをより具体的に上げていくと、以下のような行為をしないということです。

・旗を地面につけない
・旗を跨がない
・旗を踏まない
・旗をひきずらない

細かい事・うるさい事・厳密な事をいえばこれらやこれらに類することをやってはならないのが旗を扱う上での「原則」になります(実際「うちの子」らの扱いについてはこれらの行為は厳禁です)「旗が汚損、破損する」「安全上の観点からのぞましくない」という直接的な理由も当然ありますが、むしろ先に述べた通り「精神的なところ」が大きいのです。

身も蓋も蓋もない事言ってしまえば、旗を地面につけようが、跨ごうが、踏もうが、引きずろうが、人間様は別に痛くもかゆくもないし、それが演舞の出来に直接の影響を及ぼしたりもしません。
しかし、だからといって原則を全く無視し、ないがしろにして良い、旗を粗末に扱ってもゆるされるというものでもありません。
そういう意味で旗の原則というのは世の中に数多くある「別にやらなくても実用上は支障もないが守っておいた方がいい精神的作法」(葬儀の時は喪服を着るといったマナー、あるいは武道における礼儀・礼法)に近いかもしれません。


原則を「外す」ことはままある。だが・・・

これまで述べてきた「原則」や「精神的なもの」に関する感覚って実は「いまいちピンと来ない」という方、多いと思います。
仮にや旗自体が「単なる演出道具」、「ちょっと高い消耗品」という位置づけの場合、道具としての実用性が一番に立ちますから敬意云々や丁寧に扱う・・みたいな概念自体が「ナンセンス」「堅苦しい」「何もそこまで難しいこと言わんでもええんちゃう?」って考えあるかもしれません。
まあ、それも一理あるっちゃあります。

ぶっちゃけ、先に述べた「原則」を順守した旗の扱いって「とっても面倒くさい」んです(汗)
旗が地面につかないよう常に気を配る(理想は専属の補助をつける)必要がありますし、跨いだり踏んだりしてショートカットできないから組み立てや解体などで余計な手間を強いられる。
運ぶ時も旗を引きずることなんて許されないから神経を使わねばならない・・・。
はっきり言って旗士一人で原則を守った運用をするのは非常に困難(ありていにいって不可能)だったりします。
だから実際の運用では「原則」を緩和するということはままあることなのです。
ましてや、演出や構成の関係で「旗の上げ下ろし」があったり、人手が足りないから旗をワンオペで管理しなければならないときは旗を地面につけたり、引きずって歩いたりしていることがままあるでしょう。
原則に照らせば「もってのほか」な行為ではありますが、「やむを得ない」ことでもあります(まあ、個人的には旗がズルズル引きずられているのを見ると自分の顔面がおろし金にかけられているような痛々しい気分になって「頼むから補助付かせてください!」ってなることもあありますが←これは余談)
また、あえて原則から外れた扱いをすることで生まれる表現や活用方法というのもあるのかもしれません。
ただ、それは「原則を知り、原則を視野に入れたうえでの応用、演舞の実情に合わせた運用」であって、「全く原則を知らず、原則を無視して、自分たちの持ち物だからと好き勝手に何をやっても構わない」ということとは決して同義ではないのです。

原則を「知っておく」ことの大切さ

私は別に「旗は神聖なもんだ!原則を守らないとはけしからん!貴方たちの旗の使い方は間違ってる!今すぐ何とかしろ!」
などと上目線で、頭ごなしに言うつもりは全くありません。
ただ、「旗の原則」については旗士さんはもちろん、チームの幹部連・メンバーさんたちに是非「知っておいて欲しい」とは強く思うんです。
全てにおいて原則にこだわるのは大変だとおもいますので、現実の運用面では多少目をつぶるということは当然あるでしょう。
一方で、原則を知っていれば、
「これはやるべきでない」
「ある場面では緩和したけど、ここでは原則を守ろう」
みたいに自分たちに「出来るところ」「守れるところ」を柔軟に考えられるようになる、言い換えれば「原則を外しても大目に見るところ」と「原則を踏まえて守るべき一線」みたいなところが見えてくるのではないでしょうか?
そうしているうちに、チームや旗にとって程よい、理にかなった、それいて現実的な運用のルールや扱い方が定まっていくのではないかと思うんです。

旗っていうのは、見た目「竿に布をくくりつけたでっかい道具」でありそれ以上でもそれ以下でもありません。
別に粗末にしたところで旗自体が文句を言うわけでもありませんし、ただちに演舞に重大な支障を与えるようなものでもないでしょう。
ただ、旗という道具に込められた精神、それを踏まえた約束事や取り扱いに思いが至るか否かで、旗の位置づけや活用の仕方は大きくかわるのではないでしょうか(いささか意地悪な言い方になりますが、仮に旗について関心が薄い場合、旗の安全や適切な運用に配慮や手当をしようと思うでしょうか?)
そうした旗とチームの精神的な距離の違いがチーム全体を幸せにも不幸にもすると私は思います。

ごちゃごちゃ言ってきましたが、旗を「大道具」という観点から一歩踏み込んでその「原則」や「運用」について知る・考えるということはきっとチーム全体のお役に立つと思いますし、かなうなら各チームさんそうあってほしいと「旗や」のオッサンは思うわけです。
いささか取り留めない話ですが、今回はこの辺で。
(とりあえず以下の写真みたいな真似やそれに類することは出来るなら、あるいは深い理由がないのなら悪い事は言わないのでやめた方が良いでしょう)

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※旗を踏む。実害的にはないですがこれは旗自体を侮辱した行為です。付け加えるなら「旗をまたぐ」のも同じように旗の侮辱を意味するのでやめましょう(特に他チームのやつとかやるのは先方に喧嘩売ってるに等しいです)

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※旗を地面に放置する。塵埃で汚れるということもありますが、そもそも旗は地面につけてはいけないものです(国旗レベルなら最大級の禁忌)。やむを得ない場合もあるでしょうができるだけ「下を養生する」なり補助をつけるなりした方が無難です。


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