2019年8月5日

 美術展の展示物に権力者が声高に叫んで展示を中止させ、その展示物をヘイトと呼んだり、大切な裁判の記録が打ち捨てられても世の中は意外と知らん顔だったり、この数日でガタガタっと色んなことが崩れて行っている。もう、正直辛くて辛くて暑い街を歩きながらめそめそ泣いたりしていたが、ハッとした。ダメだ。泣いてちゃ。泣いてちゃ、あいつらの思うつぼじゃん?て。こんなときこそ、こんなときこそ、私は胸を張って生きなきゃ。そして徹底的にくだらないことを考えて、笑って生きてやれ、って思った。

 それで私は歩きながら、鼻毛のことを考えた。犬や猫は全身が毛に覆われているのに鼻毛はなくて、全身毛に覆われているわけでもない人間には鼻毛が生えていて、人はその処理に悩んだり困ったり、一本でも鼻毛が出ていようものなら、大仰に大騒ぎをしたりもする。鼻毛は鼻の粘膜を覆い、鼻を保護して、色々なものから人間を守っているという。なのに、どうしてこんなに鼻毛は嫌われるんだろう?

 最近は腋毛を生やしたままの女性も多い。人はこうであれ!という枠がどんどん崩れて、人はありのままに好きなように生きようという風潮だ。
 なのにまだ、鼻毛だけは絶対に許されない。たとえ一本でも、1ミリでも見えたらいけない。そこに存在していることを認知させてはいけない。

 どうして鼻毛はそこまで嫌われるんだろう? でも、思うに、例えば鼻毛が一本ちろんと出てるビヨンセと、その鼻毛を必死に抜いてるビヨンセ、どちらを見たくないか?と問われたら、私、その鼻毛を必死に抜いてるビヨンセの方がどちらかというと見たくないかもなぁ。。。まぁ、どちらを見てもビヨンセはビヨンセ、どうってことないんだけど。でも、どちらかを選べと言われたらね。人間、どちらがトホホかって、鼻毛が見えてる状態より、鼻毛を抜いてる状態の方じゃないのか?

 って、私も結局は鼻毛を差別してるのかもしれない? 鼻毛ヘイトだ! 鼻毛バッシングだ! 鼻毛ハラスメントだ! 色々叫んでおこう。

 鼻毛は鼻毛。鼻を守り、様々なウイルスから体を守る。小さな体(?)で頑張っている。なのに邪魔者扱いされる。抜かれる。絶対的弱者だ! 我々は弱者の味方だ、エイエイオー!

 鼻毛。鼻毛。ちなみに私は鼻毛カッターというのを持っている。スイッチオンでびりゅるるる~~と、瞬く間にカットしてくれる。友達が前にくれた。たぶん私の鼻毛が出てるのを見て、心配してくれたんじゃないか?と思っている。身だしなみに無頓着になりつつあるオバさんだ。

 あ、そう。今書いた。身だしなみ。鼻毛は身だしなみという点で絶対にダメだとされている。身だしなみを整える、の最初に鼻毛を隠すがあるのかもしれない。でも、それ、誰が決めたんだ? いつ? その規定のソースを出せ、ソースを! 

 鼻毛。たかが鼻毛、されど鼻毛。明日の朝、どうしたらいいんだろう?


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