モダン版ディミーアインバーター デッキガイド
はじめに
本記事は,モダン版ディミーアインバーターのデッキガイドになります。
決してメジャーなアーキタイプではありませんが,私自身が長く使い,MMMでの優勝,THE LAST SUNの権利を連続で獲得,そして昨年末のTHE LAST SUN2022では上位入賞と,それなりに活躍してくれました。
Tier1とは言いませんが,国内で一番このデッキに知見があると自負しています。玄人な人向けですが,飽きが来なくて楽しいデッキですので,広く使用されてほしいという思いを込めて、筆を取った次第です。
なお,そのTHE LAST SUN2022の入賞レポートも昨年末に公開しております。大会レポートの形式ではありますが,このディミーアインバーターを題材に,「好きなデッキで競技を戦う楽しさ」というテーマで書いております。併せてお読みいただけると,より楽しめますので,そちらもご覧ください。
本記事は2部構成です。第1部では,基本的な採用カードからサイドボード,主要マッチアップでのサイドボード指針や,プレイングの要点まで広く言及しております。第1部までは無料で,デッキの概要を知るには1部だけでも十分な量となっております。
第2部は,調整段階で作成した様々なインバーターコンボの亜種をご紹介します。実戦にも投入し,ある程度形になったもののみ、掲載しています。
有料部分ではありますが,このデッキ自体に興味を持ってくれた方が,さらにこのアーキタイプを楽しんでいただけるような内容となっております。
全体からするとおまけ程度ではありますが,興味を持ってくださった方は,是非ご購入いただけると幸いです。
願わくば,《真実を覆すもの》が世に溢れることを祈って。
ディミーアインバーターって何?
ディミーアインバーターは,かつてのパイオニア環境を席巻したコンボデッキです。
デッキ名を冠する《真実を覆すもの/Inverter of Truth(以下,覆すもの)》によって自分の山札を極端に削り,《タッサの神託者(以下、神託者)》と《神秘を操るもの,ジェイス(以下、ジェイス)》の能力によって特殊勝利を狙うデッキです。
当時のMPLプレイヤー,Piotr Glogowski氏が開発・調整を施し,各地のプレイヤーズツアーを機に瞬く間に広まりました。その後もパイオニア環境のトップに君臨し続け,やがて《覆すもの》が禁止。このデッキはあえなく消滅しました。
特定パーツ2枚が揃うと突然死させられることから,かつての《欠片の双子》をもじって,海外ではディミーアツインとも呼ばれました。青黒カラーがベースなため,《致命的な一押し》,《思考囲い》,各種打消し呪文といった強力なコントロールスペルを無理なく採用しながら,急角度でコンボを狙えます。
パイオニアでは《時を超えた探索》が使えたのも,このデッキを大きく飛躍させた要因です。隙なくコンボパーツを集めることはもちろん,探査によって墓地の枚数を調節し,《覆すもの》が出た際のリターンを最大限に高めることができます。
また,《覆すもの》がコンボパーツでありながら,6/6飛行という、意味不明に巨大なサイズのため,ビートダウン・コントロール・コンボの要素を無理なく全て含んだデッキになっていました。
モダン版のこのデッキをプレイすると,
「やられることは分かっているけれど,うまく対処できない」
「そもそも何をサイドインすればよいか,分からない」
と対戦相手からよく言われました。このデッキの核心を突いた言葉でしょう。
また,デッキの動き自体が,
「自分の山札が極端に少なくなることで勝利する
「使った墓地のカードが山札になる」
といった異質な挙動で構成されており,コンボデッキでありながら,プレイの選択肢が多いです。そして何より,《真実を覆すもの》を出すと大方ライブラリーが吹き飛ぶため,”(ある程度)後戻りできない。失敗すると即死!”,というスリルを味わえます。
自分も相手も,「MTGってこんなゲームだったか・・?」と思わずにはいられません。
1枚絵だと,こんな感じ。簡単そうでしょう?
リストと各カード解説
土地
《覆すもの》,《ジェイス》の存在から,4マナ目まではスムーズに伸ばしたいところ。その理屈だと24枚必要ですが,《エルドラージの寺院》を考慮し,23枚にしています。
モダンの土地基盤と言えばフェッチランドですが、このデッキでは採用枚数を抑えています。《覆すもの》が出た際、フェッチを切ると山札が増えすぎ、《神託者》や《ジェイス》で勝ちきれなくなるためです。
ただし、《血染めの月》に対して基本土地を置いたり、《忍耐》を安全にかわす手段でもあり、最低限の枚数は取っています。1試合に1回切れれば十分なので,最低限の《汚染された三角州》4枚です。
パイオニア時代と大きく異なる点の一つに,土地周りの強さがあります。単なる土地どころか,スペルでも成しえない効果をもたらす土地が,モダンには多く存在しています。
《殻船着の島》2
《覆すもの》を出せば,秘匿条件を満たします。《神託者》か《ジェイス》を秘匿できれば、実質コンボパーツをサーチする土地に。
LO相手だと,勝手に条件を満たしそうで嬉しくなりますが,大抵要所で《廃墟の地》で割られますので,過信はNG。確定タップイン,黒マナが出ない,とマナベースとしてのデメリットはありますが、それを上回るリターンのある土地です。《時を解す者、テフェリー》に引っ掛かる点は注意。
ルール変更により,秘匿しなかったカードは山札の下に「無作為で」送られます。通常は気にしなく良いですが,《覆すもの》を出した後に秘匿する際は注意。ニューカペナ許すまじ。
《エルドラージの寺院》3
そう,《覆すもの》はエルドラージです。最速3ターン目のプレイは,カウンターやハンデスを持たないデッキではコンボを遮断できず,また殴り切るにはあまりにサイズの大きい壁です。色マナが出ないため3枚に抑えていますが,マリガン耐性に貢献したりと,非常に便利です。
《魂の洞窟》2
コンボパーツがクリーチャー故にできることですね。できる限り最後まで置かず,置いたターンに決着できるようにしましょう。カウンターはもちろん,《虚空の盃》X=2の上から《神託者》を通せます。とはいえ,打ち消しが無い相手にはただの不便な土地。今回はメインに2ですが,サイドに1枚落とすことも。
《天上都市、大田原》1
青マナしかない点はかなりデメリットですが,それを補って余りある効果。相手への妨害はもちろん,自分の《覆すもの》を戻すと,《大田原》も再利用できるので,実質ループします。
《沈んだ廃墟》1,《ヨーグモスの墳墓,アーボーグ》1
《殻船着の島》が青マナしか出ないため,黒マナを補う目的で1枚ずつ採用。《覆すもの》もそうですが,サイド後に《ダウスィーの虚空歩き》を頻繁にプレイするため,採用しています。
クリーチャー
《真実を覆すもの》4
最重要パーツ。
出した後は,盤面を1ターン止めてくれるボディ。これを綺麗に処理できるカードは,現環境では《孤独》《邪悪な熱気》《力戦の束縛》といずれも限られ,いずれもコンボ軸目線ではうまく機能しません。このカード自体が,ある程度相手に裏目を引かせられる性能を持っていると言えるでしょう。
無色なので,《人知を超えるもの,ウギン》や《精霊龍ウギン》の能力で流されません。トロン相手には結構助かります。また,黒でないので《天界の粛清》も無視。《夏の帳》のドローもできません。忘れずに。
《タッサの神託者》4
コンボパーツ2
《ジェイス》と異なり、《魂の洞窟》のバックアップを受けれたり、《呪文貫き》や《否定の力》,《ドビンの拒否権》にかからない点が○。なにより軽い。
アグロ相手なら,2ターン目に出しましょう。ブロックで墓地に行けば,《覆すもの》で戻して勝ち手段を供給してくれます。《敏捷なこそ泥,ラガバン》もシャットアウトです。
逆に,飛行クロックがあったり、コンボデッキのように,出した《神託者》が死なない対面では、盤面に出す価値が低いので,極力持っておきましょう。不要な自分の《致命的な一押し》で墓地に落とし,《覆すもの》で戻すことも必要です。
能力は占術と異なり,「最大」1枚を上なので,2枚以上は積めません。土地が少ない時に土地を置くか,真実を覆すものの2択で,ほぼ問題ありません。
勝利条件は,信心「以下」ですので,誘発にスタックで《神託者》を除去されて信心が0になっても、山札が0なら勝利です。特にメイン戦では,余っている単体除去は間違いなく《神託者》に飛んできます。《覆すもの》を出した後,山札の枚数は気にしておきましょう。
《厚かましい借り手》1
コンボに至るまでの最低限の妨害と,《覆すもの》を合わせたビートダウンの双方の役割をこなせるカード。メインに一枚とっているのは,《血染めの月》へ触るカードが1枚は必要,という判断から。1枚でも《不敬な教示者》でサーチが効くので,取っておいて損はないでしょう。
スペル枠
《神秘を操るもの,ジェイス》2
コンボパーツ3
《神託者》と違い,《覆すもの》の前に先置きができます。《忍耐》,《未認可霊柩車》,《虚空の力戦》のような墓地対策に対して有効なほか,青いデッキ相手にも,通ればそのまま勝利条件&アドバンテージ源、対処されても戻って再キャストが可能,という軽い押しつけができます。青黒コントロールではありませんが,除去とハンデスを挟んで更地に出せれば,勝手にリソースを作ってくれもします。
常在型能力と大マイナスに勝利条件がありますが、+1にはありません。山札が少ない際に+1に対応してジェイスを剥がされると敗北するため,注意です。《力線の束縛》や《些細な盗み》の的にされがち。
+1能力を相手に向けた際,《邪悪な熱気》がうっかり昂揚するケースがあるため注意。この点がネックであり,環境の《呪文貫き》の枚数なども考慮すると,今は2枚が限界と言えます。
《命運の鏡》1
追放領域を山札に変えてしまうカード。「最大」7枚なので,追放領域にカードがなくても起動すれば山札は0にできます。0枚にできるだけで十分な上,《外科的摘出》,《スカイクレイブの亡霊》,《孤独》などで追放されたカードで山札を再構成できます。
《残忍な切断》で,神託者やジェイスを追放しておくと…
テキストからは分かりづらい(というか分からない)ですが、選んだカードを「好きな順番に」並び替えられます。サイド後,《外科的摘出》や《屍呆症》,《倦怠の宝球》系のカードで《覆すもの》が止められたた際は,追加の勝ち手段であり,追放された《覆すもの》を山札に戻す手段としても有用です。例によって《不敬な教示者》で持ってこれるので,1枚あると便利な枠です。
《選択》4
メインサイドを問わず,足りないコンボパーツを集めに。《考慮》は,諜報によって墓地に不要なカードを貯めてしまうので、このデッキには噛み合っていません。《血清の幻視》は,《不敬な教示者》と相性が悪かったり,《敏捷なこそ泥,ラガバン》を出されると占術が使いにくいため,不採用です。5枚目を取るなら,《手練》がいいでしょう。
インスタントなのも重要で,《覆すもの》で戻った後,《神託者》や《ジェイス》の起動に対応で除去される際,スタックで山札を引ききって勝てることも。
《思考囲い》2,《コジレックの審問》4
こちらのコンボを妨害するカードを最優先に,次点で相手の初動を抜いて時間を稼ぎましょう。コンボデッキの括りでは,このデッキは遅い方。こういった相手への干渉手段は求められますね。
単純に《覆すもの》を出す際の前方確認はもちろん,一度《覆すもの》で山札に戻れば,今度は《神託者》や《ジェイス》の露払いになってくれます。
枚数比はメタ次第ですが,《ラガバン》デッキが多い現状では審問>囲いにしています。こちらへの対策カードも,《対抗呪文》《忍耐》あたりがメジャーなので,《審問》でOKです。《覆すもの》で戻して複数回撃つことを考えると,ライフ2点も重くなります。
《致命的な一押し》4,《取り除き》1
早いデッキへの除去枠。ハンマータイムや疾駆の《ラガバン》など,現環境は単体除去に軽いインスタントタイミングが求められます。不要な相手に重ね引きし,敗因にもなりがちですが,やむを得ない枠です。
《取り除き》は,ほぼ《時を解す者テフェリー》専用。最近は見ませんが,《ヴェールのリリアナ》,《サヒーリ・ライ》など,このデッキにとって対処が必要なPWへの回答にもなってくれます。《レンと六番》は,奥義が近い時に除去することはありますが,基本はそれまでコンボで勝つことを狙うため,無視します。
《残忍な切断》2
単体除去の追加枠。探査によって墓地の枚数を減らせるため,《破滅の刃》《喉首狙い》等よりも有効です。前述した《命運の鏡》との相性も〇。
《呪文貫き》2
現環境は,《鏡割りの寓話》《死せる生》《不屈の独創力》《血染めの月》といった致命的なスペルの割合が多く,少量でもこうした妨害手段が必要と判断しました。もちろん,《覆すもの》を通す際のバックアップとしても有用で,そうした点を考慮すると,1マナという軽さは唯一無二です。
《不敬な教示者》3
待機2の《悪魔の教示者》。コンボデッキにおいてこれほど有用なカードもありません。2Tに待機できれば,待機明けに《覆すもの》を持ってきてそのまま出せます。
その他,《魂の洞窟》や《エルドラージの寺院》,サイドカードをシルバーバレット的に用いれます。
《火/氷》2
ほぼ《氷》での使用。妨害とキャントリップを兼ねて。相手アップキープに土地を寝かせる使い方はもちろん、エンドに打ち消しマナをつぶしたり,攻撃クリーチャーからジェイスを守ったり。現環境は《断片無き工作員》や《不屈の独創力》など,ソーサリータイミングでのアクションも増えています。劇的に強いわけではありませんが,幅広く使えるカードです。
《火》が,《ラガバン》や《ドラゴンの怒りの媒介者》への対処として有効なため,《蒸気孔》を1枚とりたいですが,サイドの《ダウスィーの虚空歩き》の色マナの関係で断念。《月の大魔術師》をスマートに処理する手段としては有効です。
サイドボード
《ダウスィーの虚空歩き》3
サイド後のビートダウンプラン要員。基本的にブロックされず,クロックとして換算しやすい他,墓地対策を兼ねられている点がよいですね。
部族が”ならず者”なので《魂の洞窟》を《厚かましい借り手》と共有できます。通常は,マーフォークかエルドラージ指定ですが,色マナに不自由した際は覚えておきましょう。
《海と空のシヴィエルン》2
ビートダウンプラン要員2。《神託者》と《魂の洞窟》を共有できるため,《神秘の論争》の上から出しやすいアタッカーです。カウンターモンキー目線では《激情》がサイドインしづらく,タフネス4はそれなりの除去体制です。
《ゲトの裏切り者、カリタス》1
ビートダウンプラン要員3。《シヴィエルン》と同様,《激情》がいないのであれば定着しやすく,赤黒想起やヨーグモス,バーンには圧倒的な性能を誇ります。《教示者》のサーチ先としても,刺さる相手には致命的です。
《漸増爆弾》2
除去要員。《ラガバン》《媒介者》《死の影》をはじめとした軽量生物や,《精力の護符》,ハンマータイムの各種パーマネント,《独創力》のトークンへの対処にも有効です。
《仕組まれた爆薬》と異なり,先に置けさえすれば起動にはマナがかからず,構えやすいです。このデッキは2ターン目以降はコンボにマナを使いたい関係上,こちらにしています。特にカスケードクラッシュやハンマータイム,《独創力》コンボには、後からマナを立て続けるのが困難です。
《ハーキルの召喚術》1
ハンマータイムをはじめとした《ウルザの物語》デッキに。《不敬な教示者》でアクセスが効きますから,こういった特定の相手に劇的に刺さるカードは,1枚入れておく方と〇です。
《広がりゆく海》3
対土地コンボや,《ウルザの物語》デッキに。純正のヴァラクートには入れませんが,《独創力》には《山》を潰して1ターン差を作るためにサイドインします。先手なら,バーンにサイドインして相手の色マナを潰しにも行けます。
青の信心に数えます。相手の土地に貼ると忘れがちなので,《神託者》の解決時は注意です。
《万物の姿,オルヴァール》1
《独創力》コンボ専用のカード。《残虐の執政官》を出された際,これを捨てることで相手の《執政官》のコピーとして場に出ます。仮に《独創力》をX=2で《執政官》が2体出ても,後のスタックに乗った《執政官》の能力解決時で捨てて場に出る→自ターンで攻撃,とすると,相手の場が崩壊します。
ピンポイントなカードではありますが,《不敬な教示者》でのサーチが効き,かつその1枚の効果が劇的なため,1枠を取っています。身近に《独創力》コンボが少なければ,別のカードに差し替えてもOKです。
《真実の抽出》1
《血染めの月》への回答。《ウルザの物語》を壊したり,青白コンのPWやアミュレットに対しても幅広く使えます。《不敬な教示者》で持ってこれるので,サイド後はフェッチで《沼》をサーチしましょう。
《厚かましい借り手》1
ビードダウン要員その4。役割が多岐にわたるため,あまり知見のないデッキにとりあえず入れたりできます。劇的ではないですが,非常に融通の利くカード。
★採用候補カード
《濁浪の執政》
墓地掃除と打点を兼ねたカード。一見,ハンデスやキャントリップ連打→《濁浪の執政》すると,《覆すもの》の下準備もOK,となりますが,それはただコンボパーツが増えているだけ。
また,カウンターモンキーのように,《ドラゴンの怒りの媒介者》《考慮》がないと,早いターンで大きく出すことも難しいです。
主な役割はサイド後。自分より早いコンボやバーンのように「ただこちらがコンボを決めるだけでは、間に合わない」というマッチでの,コンボ以外の勝ち筋としての採用です。
メタゲームから 《力線の束縛》《孤独》が消え,コンボが増えたら検討しても良いでしょう(要するに,しばらくは採用できないだろう、ということです)。
《集団的蛮行》
ほぼ対バーン専用。コンボデッキなので、こうしたリソースを要求するカードはできれば使いたくないところ。そこを《濁浪の執政》と合わせることで,打点に変換して速やかにゲームを終わらせられます。要は《濁浪の執政》が採用できるかどうかです。
《否定の力》
《血染めの月》に対して一番隙がない回答。メタ次第ですが,トロンやヴァラクートのほか,ベルチャーのようなスペルコンボにも。ブルーカウントは正直無理なレベルですが,《命運の鏡》があるので,《神託者》や《ジェイス》を追放しても一応OKです。
とはいえ,枚数を要求するカードはこのデッキでは使いづらいところ。《シヴィエルン》と組み合わせると多少運用しやすいので,除去枠を《湖での水難》などに差し替えて採用してみるのはありです。
《漂流自我》
アミュレットタイタンやヴァラクート,ウルザトロンに。土地コンボのようにハンデスが効きにくい相手の専用札としてなら,悪くはないです。
《屍呆症》だと,うっかり手札から2枚抜けて4点クロックとか出てくるとしんどいのでこちらを推奨です。
《神秘の論争》が入るマッチアップで,この手のカードをサイドインすることは少ないため,青いカードであることもさほどデメリットではありません(《死せる生》には検討できますが,後手で間に合わず,サイド後は《神聖な力戦》と,ややリスキー)。
《夢を引き裂く者、アショク》
アミュレットタイタンやタメシブルームへ。墓地対策としてはやや遅いので,常在型のサーチ禁止を見込んでサイドボードに。青信心のかさ増しにも。
《未認可霊柩車》
墓地対策。《神聖の力線》に引っかからず,適当に起動しているだけですぐに馬鹿にならない打点まで膨れ上がります。ただし,サイド後に相手の墓地対策を受けると打点が上がらず,アタッカーとして運用ができません。ビートダウンプランにしたいのであれば,《ダウスィー》で十分でしょう。
Tips集
《真実を覆すもの》編
異質な挙動をするカードなため,自身のカードはもちろん、相手のカードともさまざまな相互作用を引き起こします。
・《タルモゴイフ》が縮む。《ウルザの物語》が落ちなければ,たいてい《覆すもの》で受け止められます。
・《ちらつき鬼火》,《変異エルドラージ》,《精霊界との接触》で明滅されると暴発。
一度《真実を覆すもの》が通ると大抵墓地は0。ジェイスがいないと即死です。《魅力的な皇子》《儚い存在》は,相手を対象にとれないので安心。白単デスタクとの対戦は要注意。
・《死せる生》で勝手に出てきて暴発。《悲嘆》で捨てさせられると起こりえます。どうにもなりません。
・《力線の束縛》で追放→《テフェリー》等でバウンス。キャッチ&リリースで暴発。けど環境にはやさしいから,仕方ないね(2敗)。
・《大魔導師の魔除け》《プリズマリの命令》でこちらを対象にすると、ライブラリーアウトする(6敗)。
ニッチなところだと,《燃え立つ調査》《祭壇の炎》も注意。《イゼットの魔除け》《エスパーの魔除け》は相手を対象に取れません。
《神秘を操る者,ジェイス》編
+1は,相手のトップを落とせます。占術や諜報はもちろん,《人目を引く詮索者》や,《炎族の先触れ》にも。
+1で相手を対象に取った際,《夏の帳》を打たれると,ドローもできません。勝利条件まであと一息という時はより注意。《神聖の力線》も注意。
《殻船着の島》編
秘匿すると,単純に山札が一枚減ります。通常はどうでも良いのですが,《覆す者》を出した後だと,山札を減らすことで神託者やジェイスでの勝ちを狙えることも。
タッサの神託者で上に積んだカードを秘匿できます。
コストを支払わずに,という点にばかり目が行きがちですが,インスタントタイミングでプレイできる点も重要です。コンボパーツはもちろん,ハンデスを相手のドロー後に打つ,除去を拾って《覆すもの》ビートダウンの補助したり,攻撃に合わせて《覆すもの》を出したり。
ゲームプラン
基本
ハンデスや除去で最序盤を捌き,《覆すもの》を出す。そして《神託者》《ジェイス》。これに尽きる。
コンボで勝つことはもちろんですが,《覆すもの》によるビートダウン勝ちは、往々にして起こり得ます。また,手札破壊や除去を挟んで《覆すもの》が場にでると,当然それらのカードは山札に戻ります。それらのカードが有効な相手であれば,この後有効牌しか引かなくなると同義です(このデッキのフェッチランドが弱いのもこの点)。
マリガン基準
コンボパーツの片割れ(《覆すもの》《神託者》《ジェイス》)がないハンドは,基本的にマリガン。土地1は,《選択》があってもマリガン。後手なら検討はしますが,基本的に4マナまで必要ということを忘れずに。
サイドボード後は,コンボ速度で間に合わない場合にはサイドカードを積極的に探します。いずれにせよ,攻めてマリガンすることが大切。《エルドラージの寺院》《殻船着の島》といった,土地でリソースを取れるカードがあるので,なんとなくのハンドはキープしないように。
ダブルマリガン後,実質スペル1枚の図。これでも,《殻船着》が《神託者》《ジェイス》を秘匿すれば,4キルのハンド。もちろん,それらの勝利条件カードも受けられるので,見た目以上にマリガン体制があります。厳しくマリガンしていきましょう。このデッキは,青黒コントロールではないのです。
忍耐のケア
ケアしていない状態で《覆すもの》を出すと,即死します。メインで投入されていることは多くありませんが,奇襲性は強く,特にサイド後は常に飛んでくるつもりで立ち回ります。
・ジェイスを出しておく
単純だけど,一番簡単な方法。
・殻船着の島で,神託者かジェイスを秘匿しておく。
アップキープに秘匿を解除して勝ち。
・フェッチを構えておく。
《真実を覆すもの》着地→《忍耐》で墓地を空に→フェッチを切って,《真実を覆すもの》で山札に。現実には相手にも見えている状況なのでハメれるわけではないですが,ケアの方法として覚えておきましょう。
・インスタントスペルを構えておく
キャントリップはもちろん,《致命的な一押し》は適当に対象を取ることができるのを忘れずに。
・そのターン中に神託者を出す。
そもそも《忍耐》は利用できます。
《覆すもの》キャストした場合,相手視点では,「《忍耐》とカウンターあるし、まず《忍耐》出して、もし後続に《神託者》あってもカウンターできるやろ~」→《魂の洞窟》セット+神託者で勝ち。レン&オムナスやカスケードクラッシュによくやります。
サイドボーディング
モダンはデッキの種類が多いので,個別のサイドボードというよりは、下記の2つの指針に則ってサイドボーディングを行います。
未知のデッキだったり,メジャーな構成でないデッキと相対する際も,この原則は変わりません。
コンボ軸の続投orビートダウン軸を用意する必要があるか?
相手デッキへの妨害手段が,どの程度必要か?
もちろん,臨機応変にすべきものですが,一例をご紹介します。
ハンマータイム
In:《漸増爆弾》2,《借り手》1,《ハーキルの召喚術》1,《広がりゆく海》3
Out:《囲い》2,《命運の鏡》1,《呪文貫き》2,《火/氷》2
ビートダウン勝負では向こうが圧倒的なため,《墨蛾の生息地》+ハンマーの一撃死だけ気をつけて,コンボに全力で向かうプラン。《真実を覆すもの》が飛行を持っていることが染みますね。ハンマーがついた他の一撃は受けて,1ターン差で差し切るイメージ。勝つときはこちらのライフもわずかの時が多い。黒い除去が有効に機能する上,《真実を覆すもの》が構築物トークンを受け止めやすく,与しやすいマッチです。
後手の《エスパーの歩哨》連打だけかなりきついが,それ以外では概ね捌きやすい。長いゲームにしないので,最初のクリーチャーを除去して《バネ葉の太鼓》を強く使わせないこと。速度勝負です。
《不屈の独創力》コンボ
In:《広がりゆく海》3,《ダウスィー》3,《漸増爆弾》2,《オルヴァール》1
Out:《致命的な一押し》4,《残忍な切断》2,《借り手》1,《火/氷》2
コンボ勝ちを軸に据えたまま,妨害を強める方向に。《残虐な執政官》や《原始のタイタン》は,出る≒勝利ではないので,速度的にはこちらに分があり,概ね有利マッチアップです。《取り除き》は《時を解す者,テフェリー》の対処に残すだけので,ジャンド型などにはOutしてOK。
カウンターモンキー
In:《ダウスィー》3,《真実の抽出》1,《シヴィエルン》2,《借り手》1
Out:《神託者》3,《ジェイス》2,《命運の鏡》1,《選択》1
コンボルートは豊富なカウンターに加え,《激しい叱責》《緻密》も追加されるため難しく,ビートダウンプランに変更。《火/氷》は《月の大魔術師》のために残しているので,見なければOutしてもOkです。
赤黒不死
In:《カリタス》1,《ダウスィー》3,《真実の抽出》1,《シヴィエルン》2,《借り手》1
Out:《神託者》3,《ジェイス》2,《命運の鏡》1,《選択》2
ハンデスと《月》が大量にあるため,コンボは諦めてビートダウンプラン。カウンターモンキーもそうですが,純然なビートダウンプランに寄せれば寄せるほど,《選択》は何もしないカードになりがちなので減らします。《クロクサ》《トーラック》はあるが,《オルヴァール》はサイドインするほどではないでしょう。
ボロスバーン
In:《カリタス》1,《広がりゆく海》3
Out:《囲い》2,《借り手》1,《火/氷》1
順当に動かれる限りはこちらのコンボよりは焼き切られる方が早く,不利なマッチアップ。コンボにクリーチャーを用いるので,《焼尽の猛火》もかわしづらいです。《大歓楽の幻影》が減っているリストが多いので,クリーチャー除去をサイドインしすぎないこと。
緑トロン
In:《広がりゆく海》3,《ダウスィー》3
Out:《致命的な一押し》3,《取り除き》1,《残忍な切断》2
妨害要素を強めに。2種類のカーンで土地を触られると概ね負け。逆に言えば《ワームとぐろエンジン》や《精霊龍,ウギン》は何とかなる場合が多いので,トロンが揃っても諦めずに。マリガン判断は厳しくいきましょう。「コンボだけのハンド」はマリガンです。先手後手への依存度大。
青白コントロール
In:《ダウスィー》3,《シヴィエルン》2,《借り手》1
Out:《致命的な一押し》4,《残忍な切断 》2
メインは,単体除去をどれだけ引かずに済むかのゲーム。《取り除き》は,《時を解す者,テフェリー》に触るために残します。《魂の洞窟》があるとコンボ勝ちが狙いやすいように見えますが,《激しい叱責》で対処されるので,完全ではないです。中盤以降はハンデスを引いても仕掛ける直前まで待ち,できるだけ《叱責》を抜いてしまいたいところ。
クリーチャーを多めにサイドインしていますが,これはあくまで単体除去よりは機能する,というだけの事。《孤独》がフィニッシャーを兼ねている関係上,こちらの生物は簡単に対処されがちです。現行のリストだとサイドボードが足りず,苦手なマッチアップ。
《虚空の杯》が投入されたリストも多いので、1ターン目は《殻船着》のタップイン処理やキャントリップよりもハンデスを優先しましょう。
アミュレットタイタン
In:《漸増爆弾》2、《真実の摘出》1,《広がりゆく海》3
Out:,《致命的な一押し》4,《借り手》1,《残忍な切断 》1
まともにコンボ勝負しても速度では敵わないので,ハンデス等各種妨害を絡めて。たとえ《エルドラージの寺院》があっても,「コンボだけのハンド」は後手ならマリガンしましょう。《残忍な切断 》《取り除き》は,《イリ―シア木立のドライアド》の処理に少量残します。《精力の護符》さえなければ,素出しの《原始のタイタン》には間に合います。
相手のサイドボードでは《忍耐》に気をつけるのと,《耐え抜く者、母星樹》が増えるので,《殻船着の島》をあてにしすぎないように。
カスケードクラッシュ(ティムール)
In:《漸増爆弾》2,《真実の摘出》1
Out:《致命的な一押し》4,《取り除き》1
メイン戦でコンボは妨害されにくいが,サイド後は《血染めの月》《忍耐》《神秘の論争》が入るので、コンボ一辺では厳しいマッチアップ。
《覆すもの》に触る手段が概ね《厚かましい借り手》のみなので、除去とハンデス連打→ビートダウンに向かってOKです。
《漸増爆弾》があるなら,ハンデスでは続唱スペルは無視してサイドカードを狙う。《プリズマリの命令》に注意しましょう。
カスケードクラッシュ(4c)
In:《漸増爆弾》2,《広がりゆく海》3,《真実の摘出》1
Out:《致命的な一押し》4,《残忍な切断》2
ティムールと異なり,《血染めの月》は考えなくてよいです。とはいえ,《時を解すも者,テフェリー》はあるので,《真実の摘出》はinします。ティムールより除去が多いので,こちらはビートダウンは成立しづらいですが,ティムールよりは数段やりやすいマッチです。
リビングエンド
In:《ダウスィー》3,
Out:《致命的な一押し》4,、《取り除き》1
メインの時点では不要牌が多いことに加えて,サイド後まで見ても《悲嘆》《緻密》《否定の力》《忍耐》とキラーカードが多く,厳しいマッチ。
《ダウスィー》は《死せる生》にスタックで起動すると,《死せる生》で《ダウスィー》が墓地から戻る→唱えた《死せる生》を追放→《ダウスィー》起動して《死せる生》を唱える,という順を経ることで,《死せる生》を使いまわして相手の場だけが壊滅し続けます。対リビングエンドでは絶対に攻撃せず,構え続けましょう。
ライブラリーアウト(おまけ)
MOでマッチした際,5マッチ程,1本目で投了されました。正直,別にByeほどの相性差ではないと思いますが。
それでも,
「《覆すもの》を出して,山札が40枚復活する」
「《神秘を操る者,ジェイスが着地するかに,すべてを懸けるゲーム」
など,異次元のマジック体験ができます。このデッキを握った際の愉しみの一つですね。
以上になります。
ずいぶんと長くなりましたが,このデッキの魅力が,少しでも伝われば幸いです。
何かご不明な点。ご質問などありましたら,@hateatosibまでいつでもご連絡ください。
さて,以下の有料部分では,これまでの調整してきた中で辿ってきた,別のインバーターコンボの構築パターンをご紹介します。今回ご紹介したリスト程,数をこなしたわけではありませんが,それぞれに特徴や強みのあるリストとなっております。
このデッキ・アーキタイプそのものに関心を持っていただいた方にとっては,インバーターコンボの懐の広さを実感してもらえるでしょう。以下の7種類,あります。文字量にして,3000字程度です。
ディミーア型の亜種(3パターン)
ディミーア以外の色の組み合わせ(3パターン)
現在調整中,2023年型インバーターコンボ(1パターン)
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