人生の成功の秘訣、貧乏人は他人任せ


グラフを見て何を思うか?

まず最初に下のグラフを見て頂きたい。
そしてある程度の感想を頭に思い浮かべて欲しい。

 上のグラフを見てあなたはどんな感想を抱いただろうか?

・人生を成功させるにはやっぱり努力が必要なんだ。
・金持ちは自身の成果を努力の賜物であるとアピールしたがっている。
・貧乏人は努力せず、ズルや人脈頼りだから成功できないんだ。
・貧乏人は努力したけど失敗したから努力を重要視していないのでは?
・金持ちは己を信じるが故に成功し、貧乏人は周囲に頼るが故に失敗している。

どの意見も間違ってはいないかもしれない。
しかし余りに偏った見方をしてはいないか?

グラフに潜む誤りと偏向

 このグラフには誤りもしくは偏向のようなものが存在する。

 「金持ち」の「人脈」を見た時、違和感はないだろうか?あの人脈作りや維持のためにパーティを開くことに躍起になっている海外の「金持ち」達があまりに人脈を軽視していないか…?と。

 ふと気になり調べてみたところ、実はソースのグラフでは人脈の項目は"connections to the right people"となっている。日本語にすれば「適切な人々との繋がり」、「正しい人との繋がり」といった意味になるだろう。
 これがどういった意図で設置された項目なのかは分からないが、人脈で括ってしまうのは問題がある。

 もう一つ、日本語題では「人生の成功の秘訣」となっているが、ソースでは"Secrets for Succes"となっているし人生という単語すら出てきていない。ビジネスにおける成功なのか、人生における成功なのか、それすら不明だ。

成功の定義

 人にとっての成功とは何か?

・金持ちになること。
・何かを成し遂げること。
・安定した生活、家庭を築くこと。
・素晴らしい人々と出会い、共に幸せになること。
・全てを捧げても良いと思える趣味や人物に出会うこと。
・心のままに生きられる生活を得ること。

 どれも人によっては正しく、成功は全ての人にとって同じものでも唯一のものでもない。そして、このグラフにおいて成功の定義はされていない。

失敗者は誰か?

 グラフを見ている時のあなたは「成功者=金持ち」であり、「失敗者=貧乏人」であると考えてはいなかったか?
 「金持ち(Rich people)」と「貧乏人(poor)」という日本人の感性からすれば嫌悪感強めの言葉で区分けされ"貧乏人は人生のアプローチをまず変える必要がある"という言葉で締めくくる。まるで貧乏人の全てが間違っているかのように書かれている。

 このアンケートの三種の回答者達の中にはそれぞれ人生の成功者も失敗者もいるかもしれないし、全員が成功者である可能性もある。成功者は成功の秘訣として手にしたものを挙げ、失敗者は得られなかったものや周囲の成功者が持っていたものを挙げることになる。

 例えば家族や友人に恵まれ人生の成功を実感し、「適切な人々との繋がり」を人生の成功の秘訣とする人間。一方で開業資金の不足や狡猾な人間によって出し抜かれ人生の失敗を嘆き「初期資本」や「狡猾さ、ズル」を人生の成功の秘訣とする人間。

 安定した職や心の平穏と共に人生の成功を実感し、「学歴と資格」を人生の成功の秘訣とする人間。

 何かを成し遂げ達成感と共に人生の成功を実感し、弛まぬ「努力」を人生の成功の秘訣とする人間。一方で何かを成し遂げるために軽視しそれを失ったが故に「適切な人々との繋がり」を人生の成功の秘訣に挙げる人間。

どの回答が成功者のものなのか、このグラフではそれすら分からない。

人生の成功の秘訣

 資本主義における有利不利を語るならともかく、人生における成功者と失敗者を語る上で、巨大な資本を手にすることを人生の成功の必須条件とすること、資本を持たないことが人生の失敗を決めるものだとすることは誤りである。
 「成功者=金持ち」であり、「失敗者=貧乏人」という価値観を当然のように主張する人間があまりにも多く存在しているせいで、このグラフを見た際に露骨な偏向に気付けない人間が増えていると感じた。

人生の成功の秘訣は他人が当然のように語る価値観に惑わされず、自分が何を成功とするか、それを見失わないことではないだろうか。

なぜこんな落書きを?

 紹介したグラフはMakeoverMonday13週目のグラフ個人ブロガーの方がより分かりやすくまとめてくれたものである。
 何を今さらと言われるかもしれないが、私は最近twitterで回ってきて目にすることになった。その際に、あまりに多くの人、普段は理知的な人でさえ偏った感想を述べていたがために疑問に思い、この記事を書くに至った。
 
 中小企業の記事、個人のブログ、どちらも人目に触れるようにと多少の偏向がなされる。そして調査対象すら不明なものは、全てが創作されたアンケート結果であっても不思議ではない。これは普段のニュースやSNSでも同じ事であり、気を付けなければならない。特に、一般的に叩きやすい対象をあたかも悪のように書き、より悪い方向へと捻じ曲げる行為は埋もれやすく、迎合されやすい。

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