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2021/07/09 今頃、新聞各紙元旦号読み比べまとめ

新聞各社が1番力を入れて製作するのが、元日号である。カレンダーをめくるたびに、やる気が失われていくというのが、記者歴20年以上の私の実感だ。

ここ10年ばかり、朝日、読売、毎日、日経、東京(中日)の5紙の元日号を買い集めている(産経新聞は以前の居住エリアでは入手しにかったので買っていない)。初詣ならぬ「新聞初読」が、私のお正月の一大イベントなのである。新聞配達経験者なら分かってもらえるだろうが、元日号は別刷りが数種類ついていて、通常の数倍のボリュームがある。それを読み比べては、新年を占うのが何よりのお正月の楽しみ。

今年はうっかりしていたため、買うのが2日になってしまった。1日は休刊日なのでまだ店に置いてあるだろうと、高をくくっていた。しかし、車で3駅のエリアにあるコンビニ20軒以上を片っ端から回ったが、朝日だけがどうしてもない。2時間以上、探しても見つからないので諦めかけていたところ、自宅近くのコンビニでやっとゲットした。それだけ苦労して入手したというのに、積読(つんどく)だけで満足してしまって、読み比べのまとめが終わったのが6月末。

各紙の本紙と別刷りを合計した総頁数の変化は次の通りである。私の調査でまとめたものである。実際と誤差があるかもしれないが、予めご了承願う。

【朝日】'18' 106頁→19' 98頁→20' 108頁 →’21 92頁

【読売】'18' 96頁→19' 104頁→20' 90頁 →’21 82頁

【毎日】'18' 76頁→19' 68頁→20' 64頁 →’21 64頁

【日経】'18' 96頁→19' 104頁→20' 112頁 →’21 104頁

【東京(中日)】'18' 56頁→19' 56頁→20' 48頁 →’21 48頁

ここ4年間の変化を見ただけでも、総頁数が減っているのが分かる。つまり、全面広告の落ち込みを意味しており、それだけ新聞離れが顕著だということだ。

それでも、東京五輪・パラの開催が予定されていた20年は、朝日、読売、日経の3紙が増ページしていた。そんな「五輪バブル」が吹き飛んだ21年は、各紙とも再び減少傾向に。

別刷りの構成も顕著で、朝日は20年、①本紙②テレビ・ラジオ③エンタメ④スポーツ⑤女性⑥日本文化の6部構成だったのに、21年は、①本紙②テレビ・ラジオ③エンタメ④スポーツの4部構成に減ってしまった。読売も、21年版では展覧会の別刷りが消えた。

別刷りの中で「スポーツ」は各紙共通で製作している。21年初頭は五輪の開催可否が不分明だっただけに、五輪の扱いをめぐって、各紙とも苦心の跡が見えた。20年版には華々しく掲載されていた競技日程、会場の案内はなし。朝日に大坂なおみ、読売に池江璃花子、毎日には桃田賢斗というように、活躍が期待される選手がカバーに登場。スポーツの力で難局を乗り越えたいとする思いを語るスタイルだった。五輪が中止になった場合に備え、辻褄が合うようにしたのだろう。

紙面全体を見渡しても、猫もしゃくしも「AI」を取り上げ、未来を志向した明るい新春記事が躍った20年版に比べ、21年は暗い世相を反映し、地味な印象だった。コロナ禍で問い直された暮らし、人間関係を問う企画が目についた。22年の元日号こそは、彩り豊かな紙面であってほしい。



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