シンウインターについて他(最近のニンジャの感想)

シンウインターが死にました。

過冬の幹部集団ワイズマンにあれほどの人材が集まっているのがなぜなのか、ラオモト・カンとロード・オブ・ザイバツを滅ぼし月面でアガメムノンとカラテして生還したフジキドに向けて「お前の知らぬ俺の世界、俺の歩み」と言い放てるシンウインターはいったいどんな戦いをくぐり抜けてきたのかにたいする疑問と興味は、個人的に第四部第2シーズンを読みすすめる最大の動機になっていました。

あらためて振り返ってみると、フリージング・フジサンでの回想を見る限りでは、シンウインターはフジキドやフジオみたいな異常な冒険はしてなさそうです。

じゃあなんでコイツこんな強かったんだろかって言うと、シンウインターという人物が抱いていた世界観がAOMという時代にマッチしてたからなんでないかと思います。

ダークカラテエンパイアという語をひとつながりにしてはじめて明確に口にしたのはシンウインターでした。シンウインターが対DKEをどのくらいの時期から想定してたのかについてはよくわかりません。しかし仮にそれがごく最近だったとしても、シトカの厳しい自然環境と裏社会に生まれ育ち、またユミル・ニンジャという神話級リアルニンジャの存在に非常に近い距離で向き合い続けなければならなかったシンウインターが想定する、自分が対抗せねばならない過酷な世界のビジョンは、DKEの君臨する世界と近似したものだったでしょう。

シンウインターが、単に2040年代の「力の時代」における領域君主の代表であるにとどまらず、リアルニンジャとかれらに支配された真のマッポーの訪れに対する(的確な)危機意識を強くもっていた人物だったと理解するならば、

1 本格的なDKE参戦の先触れとしてのシトカ編の第四部における位置づけ

2 迫る荒廃のなかで旧世紀の遺産を守り続ける「ホーリイ・ブラッド」と同時に連載されている理由

3 シンウインターの異常な所有欲と愛情

4 シンウインター本人と幹部集団ワイズマンをはじめとして、過冬がソウカイヤをも上回る異常な戦力を有していた理由

5 オーロラによって聖域を作り出すシンウインターのジツの特性

あたりが一本筋を通して理解できるかなと思います。

また、DKEを到達点とした時、シンウインターのこれまでの人生は、父親→旧過冬のオトウサン→ユミル・ニンジャ→DKEと、一回り上位の父性として属性を統一された中間目標がほどよい距離をおいて配置されています。こうした適切な中間目標、ビガーケージたちを順番に克服し、階段を登るように強くなっていったのがシンウインターという人物であり、彼の言う「俺の世界、俺の歩み」なのではないでしょうか。

ただ、一方でシンウインターの抱いている世界感はあまりにも時代にマッチしすぎてもいて、いくらシンウインターが強大化しても単に上位の父性をコピーするだけで終わってしまい、世界をより良く変えていくということが全く無いんですよね。そのへんは実の娘であるザルニーツァとの関係に表れていました。

現状の材料から判断できるシンウインターの人物はこんなところだと思います。ただ、旧名鑑における“「月に這う蔓草と、霜に根を張り咲く花々」ーーアラスカ州シトカの碑文に残された詩、1944”の意味のわからなさが解決されていないので、まだ何か隠されたアイデアがあるのかもしれません。1944が西暦であればWW2真っ只中ですが、シンウインターはまだ生まれてもないでしょうし。

・そのほか何か言いたいことはありますか?

シンウインターが力の時代における領域君主の代表である一方、シーズン1のブラスハートは力の時代において世界を股にかける強い個人の代表でしたね。

今回のソウカイヤの作戦は当初はヴァニティがリーダー格であったように見えるんですよ啖呵切ってましたし。で、作戦に裏があるのはまあ別に良いと思うんですけど、でも勝算の薄い戦いを任されて案の定ジリ貧になり、いろいろあった末にいつのまにかシンウインター抹殺の支援はガーランド、オールドストーンとの睨み合いはホローポイントがやることになり、自分は作戦に決着がつくのを見届けることなくシトカを去ることになったのはヴァニティのプライドがやばいんじゃないかと思うのでチバ親分におかれましては何とぞ何とぞ論功行賞においてのフォローとねぎらいの言葉をよろしくお願いいたします。あとまたヴァニティがデスクワークで辣腕を振るってるところが見たいです。

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