卓球話 / 3年ぶりの大会を終えて

今年の1/6が終了した

帰省した段階で1月の1/3は終了。徐々に仕事に身体を慣らしていって1月は終了。試合の為に練習に本腰を入れて2月終了。

あっという間の二ヶ月だった。正直いつも思うが, 1-2月の時間の速さが尋常じゃない。基本この時期に入試やら卒業やら引越しやらが関わってくる要因も大きいと思っている。

とりあえず, この二ヶ月は仕事と自分の練習がメインだった。

3年ぶりに大きな大会に出た

先日, 久しぶりに大きな大会に選手として出場した。しかもレベルはかなり高い試合だから, 正直自分の場違い感もちょっと否めない気はしないでもなかった。

練習時間でも, 打ち合うレベルが圧倒的に高い。ユニフォームのデザインから思うに, 関東1~3部に居るような大学生が非常に多いことがわかった。この時点でレベルの高さは十二分に伺えた。

まず, 音の質が高い。抽象的な表現にはなるけれども, ラリーの音の質が高いのだ。質の高いドライブブロックが何度も続いたり, 確実に3バウンド以上はするであろうストップのラリーが綺麗に続いている。身体も崩れていないし, 気迫も尋常ではない。これが関東で闘う現役の大学生の姿なのだと, 改めて実感した。

試合はシングルスのため, 自分のコールを待つ。なんというかこの感覚も久しぶりだ。割と早く自分のコールがかかった。

1試合目は突破。まぁこれはいいものとする。問題は2試合目だった。結論から言うと, ストレートで敗退した。レシーブの練習はかなりしたはずだったが, 1セットで2~3回はレシーブミスをした。フォア前に来ればほぼ間違いなく取れるし, 攻撃にも転じることが出来るはずだが, 当然こなかった。とはいえ, 異質型が狙われやすいバックロングのサービスも警戒していたつもりだったが, 返球のミスが目立ってしまった。

今思うと, 相手選手は横回転が混ざっていないロングサービスを出すことが多かった。しかもナックルと下の見分けが非常にし辛い。無理にミート打ちしたり, 無理に切ろうとしたブロックがマズかった。まずは早い打点でボールを捉えるレシーブをし, 台上に持ち込むべきだった。しかし, 返球したとしてもしっかりバックに打ち込んだり, フォアに振り回されたりと, 相手選手の視野の広さと巧さが存分に分かった。おそらく異質型に耐性は無かっただろうし, 余裕を持った試合運びだった。余裕でボコボコにされた。

とは言え全てが悪い訳でも無かった。実際台上の攻撃はそこそこ効いた。とはいっても, 本当に「そこそこ」レベルだったが。きちんとカットブロックをしてショートに切って落としたボールで点を重ねられたし, フォアを出すべき時にはきちんと出せていたから, 全てが駄目だったという訳でもなかった。

しかし, 一番マズかったのは, 試合の組立が雑だった点である。どこで点を重ねるか, どこで修正をするか。その考え方が圧倒的に相手選手が上だった。そりゃ負けて当然である。

試合後, 相手選手の名前を調べてみた。恐ろしく強い相手だったことが分かった。そんな現役選手と打ち合い, 自分の修正点が見つかっただけでも価値のある一日だったと思っている。

異質型

せっかくなので, 話題を変えてみる。そもそも異質とは何か。簡単に言うと, ラケットに貼るラバーの性質が回転がかかりやすい「裏ソフト」のラバー以外のものを使っていることを指していると考えている。より具体的に言うなら, 「表・粒・アンチ」という, 回転の性能に癖があるラバーを使用することだ。これらのラバーの特徴は回転がかかり辛いものから, 回転を全くかけられないというものである。

球の回転が重要になるスポーツで, 回転がかからないことはデメリットにしか思えない。しかし, 回転がかからない(かかり辛い)ということは「相手の回転の影響を受けない(受けにくい)」という最大のメリットを持っている。裏ソフトのラバーは回転をかけやすい一方, 相手の回転の影響も受けやすい。その回転をある程度無視出来る異質ラバーは, 回転という性能を削ることで, 回転の影響を受けない気味の悪い球を繰り出すことが出来る。

しかし, 良いことばかりではない。回転をかけられない以上, 攻撃がし辛かったり, 特定の状況下に追い込まれるとどうしようもなくなることがあったりもする。より具体的に知りたい人は「表ラバー 特徴」などで調べて欲しい。

ではなぜ自分が異質型になったのか。整理のために書いてみる。思えば, 純粋な中ペン裏裏(中国式ペンラケットに両面裏ソフトラバーを貼ること)は半年ほどしかない。初めて半年だけ裏裏だった。

ある程度競技性を持つ卓球を指導する環境だと, 初心者はまず基礎から叩き込まれる。フォアやバックの打ち方, ツッツキ, ストップ, ドライブ, ブロック, スマッシュ。足を動かすフットワーク。サービスの練習など。自分も一通りこれをこなしたが, 唯一まともに出来ない技術があった。ドライブである。

卓球において, ドライブが出来ないということは致命的な弱点を持つと当時の自分は教わった。下回転(ツッツキ)を処理するためには, 再度ツッツキをするか, 下回転を強い上回転(前進回転)にする下回転打ち(ドライブの一つ)が候補になる。そして自分は後者が酷く苦手であるため, 自分から攻撃する手段が限られるということになってしまう。

そのため, 他のチームメイトと大きく差が生まれてしまった。周囲はドライブが出来るのに, 自分だけが出来ない。次第に気持ちの面でも追い込まれ, いつの間にか「自分はドライブが打てない」という思い込みをするようになってしまった。

当時の自分の所属するチームでは, ドライブが出来なければカットマンにさせるという方針(?)を取っていた。カットというのは, ドライブの逆にボールに強い下回転をかけて相手のミスを待つ技術である。やや語弊はあるが, 強いツッツキみたいなものである。

しかしカットマンにはなれなかった。当時の自分はかなり太っていた。動きが軽い訳ではないから, 連続で動き続けるスタミナはない。そもそもカットマンになるためにはシェイク持ちがほぼ必須(一応ペン持ちでカットもできなくは無いのだが)だが, 自分はペン持ちだった。さらに相手の回転も読めないからレシーブミスも多発。はっきり言ってモチベーションはダダ下がりだった。

そんな中, 割と思い切った選択をした。フォア面に表ソフトラバーを貼るということだ。これで先述の通り, 相手の回転を受け辛くなったことでレシーブミスは激減した。さらに回転をかけずにボールに触るだけで相手コートに返球される。気味の悪いボールが返るため, 相手はミスをする。ドライブしなくても勝てる日が来た。

チームでもダントツのドベだった自分が, ラバーを変えるだけでそれなりに勝てるようになってきた。しかも自分は粒高ラバーとの相性が良いらしく, ブロックの質を上げるだけで, それなりに闘えるようになった。もう一つ武器として, サービスの練習を沢山取り入れた。サービスとブロック, この二つの武器でそれなりに勝ち上がることが出来た。

現役時代の絶頂期は中学生の頃だった。所謂近畿大会や関東大会のような, 都道府県を跨いだ大会にダブルスとして参加した。しかし, 二回戦で別の都道府県のペアにボコボコにされて終わった。もしもきちんと攻撃が出来たらと泣いてペアに謝った日は忘れられない。

そこから停滞の日々が始まった。中学生も後半くらいになれば, 身体が少しずつ出来上がる。それに従い, 攻撃の威力もスピードも高く早くなる。今まではブロックだけで勝てたが, 強い球をブロックすることは難しい。その後は中学最後まで目立った勝ち星を挙げられなかった。

高校に入ろ中学と比べて自分も身体が大きくなったので, ミート打ちの威力が上がった。表ソフトで相手ボールを浮かせてスマッシュするまでラリーに持ち込む戦術が増えた。自分なりに用具や技術を変えていく中で, 色々と新しいことをやってみた。しかし, 目立った成績も無いまま中高現役を終えた。大学に入ってからはお遊びでやるくらいで終わった。その後は以前note.に書いた通りである。

ここ最近でマトモにドライブが打てるようになった。

笑える話だが, ドライブが打てるようになったのは社会人になってからである。とある方に指導を仰いでからになるが, 自分がドライブが打てなかった理由はかなり初歩的な問題だった。しかし最も深刻だったのは, 自分はドライブを打てないという先入観だった。思い込みとは非常に恐ろしいもので, 冷静になってみれば大したことは無い問題でも, 思い込み一つで難題へと変わってしまう。

自分が出来なかったことが出来るようになることは嬉しい。卓球人としてはかなりしょうもない喜びにはなるが, ドライブを打てるようになったということは, 自分の中でかなりの快挙だった。純粋に嬉しかった。このまま頑張れば, バックドライブやチキータだって試合で使えるくらいになっているかもしれない。

この時の喜びは異質のラバーに出会った時と同じくらいの喜びだった。「自分は卓球をやっていける」と気付かせてくれた喜びだった。異質ラバーは僕に卓球をやっていけそうという肯定感と勇気を与えてくれた。ドライブが打てるということは僕にまだまだ卓球の伸びしろがあるという肯定感と勇気を与えてくれた。

正直この話を書いていて, 物凄くしょうもないと思っている。ドライブが打てなかった理由も突き詰めればしょうもないことだったし, 今の中高生はガンガンドライブを両ハンドで繰り出している。二回戦で当たった選手は, 明らかに質のいいドライブを何度も繰り出していたし, Tリーグで選手らが繰り出すドライブは圧巻の一言では語れないものである。僕はその初歩がようやく出来たに過ぎないのだ。それでもその一歩は非常に大きかった。そのことに納得できるようになっただけでも, この二ヶ月は悪いものでは無かった。

やれることをやってみたい。

試合を振り返ってみると, 自分の得点源はバック側の異質ラバーによるものが大きい。今自分が思うのは, 今の限られた練習時間では徹底的に異質での攻撃や守備の質を上げることが一番勝利に近付けるのは間違いない。

それでも, 今は自分が何が出来るのかをもう少し試してみたい。チキータにしろ, バックドライブにしろ, 「どうせ出来ないから」と思っていたことに対し, 自分なりに努力をしてみたい。

その過程でまた, 自分は異質型に戻すのかどうかを考えてみたい。せっかくなら, やれることをやってみたい。

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