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みちのく地獄の夏休みツアー

みちのくプロレスは、ゴールデンウイークなどの長期の休みの期間にありえないような日程でツアーを組むことがしばしばある。
コロナ禍前の8月は夏休みツアーと題して、お盆前の平日から約一週間前後、東北を巡り試合を行っていた。
私は勝手に、みちのくプロレスが8月に行うこのツアーを「地獄の夏休みツアー」と呼んでいる。このツアーの何が地獄なのかというと、行程、日程が地獄。

まずコロナ禍前である2019年の夏休みツアーの日程を見てくれ。

9日 岩山パークランド
10日八戸ビアガーデン
11日仙台ロッキンファイト
12日 釜石
14日 北上
15日 登米
16日 大釜
17日 青森
18日 鶴岡エスモール

バグってんのか?岩手→青森→宮城→岩手→岩手→宮城→岩手→青森→山形だぞ?まともな人間なら移動だけで気が狂う。この日程の移動に加えて試合もしてるんだからみんな超人すぎる。
夏休みツアーは追いかけるつらさと比例するように、すこぶる楽しい。通常興行ではありえないようなシチュエーションや、いつもはやらない会場での興行が多く、それはもう楽しくてしかたない。

上記のツアーで、私と姉は「全通」をした。達成感と幸福度はこれまでのプロレスファン人生史上で一、二を争うほどだった。3年経った現在でも、「あの夏は楽しかった」とよく話す。
そして、2022年。例年より短くはなっているが以下の日程で、8月に夏休みツアーが戻ってくる。

10日 登米
11日 鶴岡
12日 岩山パークランド
13日 釜石
14日 滝沢

行程としては宮城→山形→岩手→岩手→岩手だから、例年に比べると規模は縮小してはいるけど、まぎれもなく夏休みツアーの再開だ。
そこで今回は、今年のツアーで巡る会場の紹介と、印象深い個人的なエピソードを語っていきたいと思う。オタクのたわごとに、ちょっと付き合ってくれ。

〇登米市水の郷祝祭ホール(宮城)
自宅から車で会場へ行くとき、毎年同じところで道を間違えてる。もしかして呪われてる?
照明の関係なのか、写真が撮りにくいので写真の民には不向き。でもめっちゃ涼しい。
数年前の同会場でヤッペーマンとバラモン兄弟が、試合時にラダーと粉で会場を地獄の渦に落としたことを思い出した。ブルーシートって掃除するとき便利だよね。

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※剣舞選手の入場の決めポーズを撮ろうと思ったらヤッペーマン2号選手がモロ被りしてきて終わった写真 右下の無表情拍手マンは練習生時代の小笠原選手

〇釜石TETTO(岩手)
岩手県釜石市にある、ミッフィーカフェの近くの会場。ミッフィーカフェ行きたい。
近くにイオンタウン等の飲食店もあるので、時間を潰すのにはピッタリ。かなりこじんまりとした小さな会場で、リングが近い!そして照明が明るい!
個人的なエピソードとしては、2019年にラッセ選手&剣舞選手vsバラモン兄弟という試合が組まれたとき。試合自体は場外乱闘あり!場外でのボーリングあり!でいつにもまして破天荒なタッグマッチだったんだけど、試合の内容が吹っ飛ぶレベルで衝撃的な出来事が起こった。
剣舞選手の股間を攻撃したケイ選手が、私に向かって「(剣舞の)キ〇タマ食べる?」と言ってきたのだ。推しから推しのキ〇タマ食べるかって聞かれたことあるファン他に、いますかっていねーか、はは

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※筆者に「キ〇タマ食べる?」と聞いてくるケイ選手の写真 ちゃんと二つ持ってきてくれるところが愛おしい

その時イエスともノーとも答えられなかったことを今でも悔やんでいる。反射的に返事することの難しさを感じた回です。(回?)

〇岩山パークランド(岩手)

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※遊園地の中心にある池でたたずむケイ選手の写真 左下に見えているのはなごり雪の親族

知る人ぞ知る、岩手の遊園地プロレス。なぜかここ数年は大雨のことが多く、観客は暑い中カッパを着るか、Tシャツずぶ濡れで観戦することになる地獄が広がっていた。今の時点では雨の予報らしくて、これでこそみちのくプロレスだよな!公式さんとハイパーメディア部のカメラが壊れませんように!
食堂があるので、遊園地自体に興味のないひとはそこで軽食を取りながら時間を潰すのもいいと思う。ただ、もし時間とお金に余裕があれば、観覧車には乗っておいた方がいい。なぜかというとここは遊園地だから。せっかく遊園地に来たのにアトラクション乗らない選択肢ってある?!観覧車は真夏に乗ると蒸し暑いけど、遊園地全体を一望できるので雰囲気だけでも味わってほしい。遊園地の入場料とは別に、乗り物チケットの購入が必要になるので、そこだけ気を付けてね。
ちなみに、年末恒例の『宇宙大戦争』でバラモン兄弟が連れてくるお友だちのイルカやリスの故郷はここ、岩山パークランド。遊園地内がコロナ禍前と変更がなければ、イルカ=なごり雪の家族が池の中にいるので、それを見るのもいい。

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※里帰り後すぐに試合に駆り出されるなごり雪 精悍な顔付きだ

試合の方はと言うと、会場が遊園地だというところが野外興行の非日常感をさらにパワーアップさせてくれる。レスラーが野外にいるというだけで面白いのに、入場してくるときに背景がアトラクションだと、ワクワクが止まらなくなるぞ!
そしてメイン!選手がリングから遊園地へと飛び出していく。あくまでも場外乱闘の延長戦で、遊園地を練り歩く。だからこそ必ずリングから始まり、リングで終わる。礼に始まり礼に終わるみたいでいいよね。

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※アトラクションに乗りながら剣舞選手の指を食らうシュウ選手の写真 おいしいのかな?

試合中は、観覧車、お化け屋敷、ジェットコースター、メリーゴーランド…様々なアトラクションに選手が乗り込むところへ、ファンはこっそりと着いて行く。これがまあ楽しいのだが、たくさんの選手が参加するので、目が足りない。アトラクションやゲームセンターなど、プロレス脳が試されるものがたくさんある中で、選手たちは色々な物を使用して試合を行う。あちらこちらで選手が技を出し、話し、アトラクションに乗り込む。どの選手に着いていくのか、そこを考えるのもめちゃめちゃ楽しい。君だけの遊園地プロレスを楽しもう!選手とスタッフの邪魔にだけはならないように気をつけていこうな。

いつかの岩山パークランド大会で、大雨に見舞われたのに、興行が終わったら10分も経たないうちに快晴になったことがあった。全身がじっとりと濡れ、雨くさい車の中から空を見上げて、重苦しい雲の隙間から太陽が差し込んだとき、さっきまで見ていた遊園地プロレスが、全部夢だったんじゃないかと泣きそうになった。大人には内緒の大冒険のような、不思議な感覚。それがいつまでも忘れられない。

本当にあの時間が存在したんだろうかと疑いたくなるような幸福感は、きっとあの場所じゃないと味わえない。例年のように好き勝手歩き回って…というわけには行かないと思うけど、一度はあの空間を体感してほしい。

〇鶴岡エスモール

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※青空に向かって手を広げる日向寺塁選手の写真

山形県の鶴岡市にある鶴岡エスモールというショッピングモールの屋上でやる野外興行。会場に敷かれたゴザシートが暑すぎるので、エスモール側が用意してくれるダンボールを尻の下に敷くといくらか楽。それでも尻は悲鳴を上げること間違いなし。
シチュエーションが外!屋上!(晴れたら)青空!なので、野外とプロレスラーが好きなら絶対ここに来た方がいい。いつもは室内でやっている試合が外で観られるというだけでワクワクするのに、鶴岡では屋上ということもあって、空が近い。それに、ショッピングモールだからか、子どもやご老人など、プロレス初観戦のお客さんも多く見られる。いつかの大会で、お酒を飲んでいた髭でオシャレなお兄さんたちが、当時の日向寺選手の入場曲のレッド・ホット・チリ・ペッパーズの「Can't Stop」に合わせて、ノリノリで首を振っていたのを見た。フェスか?プロレスの入場曲で縦ノリするの最高すぎんか?
また、飲食物の出店も数多く出ており、夏祭りのような雰囲気を味わえる。コロナ禍前には出店に置いてある食べ物を使った場外乱闘が観られることもしばしばあった。それと、水道がある関係で、水と戯れる選手を楽しむこともできたので、それもまた最高だった。

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※水を浴びるヤッペーマン1号選手の写真 どういう意図だったのかは不明

試合後、出店のピザを買って、車の中で食べながら帰ったことを思い出した。知らなかったけど、試合の話をしながらちょっと冷えたピザを食べるのって最高なんだよな。

〇番外編 八戸ビアガーデン

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※興行スタートの乾杯をするラッセ選手と剣舞選手の写真 エアコップの剣舞選手の愛らしさは他の追随を許さない

ビアガーデンプロレスの開催場所であるチーノはちのへが2022年に閉館となるらしい。だからもう開催されないかもしれないけれど、マジでめっちゃ楽しかったから紹介させてほしい。
ビアガーデンプロレスは本当に楽しかった。晴れれば屋上、雨なら地下で開催されていたが、気が付けば毎回地下でやっていた。たくさんの飲食物の売店があり、ビールやサワーなどのアルコール類はもちろん、唐揚げやカレーなどのグルメも堪能できる。特に、いちご煮ご飯と軟骨を塊魂みたいにした唐揚げがおいしかった。
試合の方はというと、まずスタートが「乾杯!」から始まる時点で、もう楽しい。さらに地下の会場は薄暗く変な熱気があり、異様なシチュエーションのせいか、お客さんのテンションが高い。そんな場所でプロレスを見ていると、非合法な興行を見ているようで興奮した。
また、場外乱闘のとき、食べ物や飲み物をそのままテーブルに置いておくと選手が食べたり飲んだりぶっかけたりするので楽しかった。それで自分のカバンや服が汚れたこともあったけど、幸せならオッケーです。

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※からあげを食べるケイ選手 たくさん食べてほしい

ケイ選手が素手で唐揚げを掴みながら「からあげおいしいよ!」と言っていたのがかわいかった。バラモン兄弟は水をじゃんじゃん撒き散らしていて、そのバケツ水を背中から全部かぶって最高!って気分で過ごしたことが懐かしい。
ビアガーデンでは試合後、飲食の売店で選手に直接差し入れを買うこともできたので、かなりオタク向け興行だった。推しに直接課金できるんだよ?お得じゃん?
いつだったか、剣舞選手にビールを買ったら目の前で飲んでもらえたことが記憶に残っている。ねえ、剣舞、忘れてないよね?

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ーねえ、剣舞。あたし達の出会いを覚えてる?

自分の金で買った飲食物を、推しに目の前で食べたり飲んだりしてもらえるというのはオタク冥利につきる。ビアガーデンプロレス、またいつか開催されますように…。

滝沢大会については、夏休みツアー以外にも興行をやることがある会場のためここでは省略。

ここまでつらつらと書いてきたけど、やっぱり思い出すと「楽しかったな~!」って気持ちでいっぱいになる。チケット代とか交通費とか宿泊費とかのことはさておいて、現地でしか味わえないものがたくさんあるのは間違いない。

さて、2022年、ようやく夏休みシリーズが帰ってきた。
ファン、選手、スタッフと、誰もケガ無く、楽しい地獄を味わえることを心から願っている。


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