OWL magazineはfootballistaの影を踏めるのか


OWL magazineは、旅とサッカーをテーマとしたウェッブ雑誌であり、この記事の著者、中村慎太郎も共同代表の一人である。

この記事は、昼間にfootballistaについて連ツイしたことから、あれこれ考えているうちに生まれた雑記である。

ツイートは引用するほどでもないのだが、ネットと紙の融合をハイレベルで果たしたfootballistaに対して、ネット中心で活動しているOWL magazineとはどんなものかと、比較対照することになったため、この記事が生まれた次第だ。

というわけで……。



OWL magazineはfootballistaを超えられるのか?!


というとちょっと不遜かつ無理があるテーマなので、もう少し穏当なテーマにしよう。


OWL magazineはfootballistaの影を踏めるか?!


追いつけ追い越せではなく、後ろに並べるかどうかくらいにしておこう。そしていつまでも並んでいてもしょうがないので、どこかで別角度に移動することにはなると思う。ただ、一つの模範であり、偉大なる先行者としてfootballistaを取り上げさせて頂く。

さて、OWL magazineのメインテーマはスポーツツーリズムなので、サッカー専門雑誌とは言えない。最近はタオルの記事まで出てきてるくらいだし、今後もこういった方向性は歓迎したいと思っている。当然ながら、バスケやアイスホッケー、クリケット、カバディなどなどサッカー以外のスポーツも視野に入っている(といっても具体的な動きは、ぼくがバスケ記事を書こうとしていることくらいしかない)。

何でもありと言いつつも、一つ条件があって、旅に関した記事じゃないと面白くない。OWL magazineはそう考える。

では旅とは何か。

旅とは何かというのはこの雑誌を通してそれぞれが向き合ってきたテーマなのだが、大まかに言うと「正解のない記事」のことだと思っている。

戦術分析記事と対照するとわかりやすい。

ここで言う戦術分析記事とは、偉大なるfootballistaのメインテーマの一つであり、OWL magazineでは間違いなく扱わないものである。つまり、二つのメディアを比較する上で重要なファクターである。

ちなみにfootballistaは、欧州の最新のトレンドを捉えた高度な戦術分析記事が一つの売りではあるが、それと同じくらい重要なのがクラブヒストリー、クラブカルチャーに対する知見が集まり、考察がなされているところだと思う。

戦術分析は確かにマニアックなのだが、クラブについて考えるのは、サッカーカルチャーの大正義、大王道なのである。そして、先日の木村康子さんの記事のように、旅の記事も掲載していることから、ありとあらゆるテーマが詰め込まれた最強の総合誌という位置づけまで達しつつある。

そんなfootballistaと出来たてホヤホヤのOWL magazineを並べることは大変不遜だとは思うのだが、どこかの若いクラブチームが天皇杯でJ1のクラブに当たったくらいの感じで眺めて頂けるとありがたい。

さて、戦術分析記事は、基本的には90分+アディショナルの試合時間内に起こったことについて書く。試合前後の文脈についての言及は多少あるものの、あくまでも参考情報として載せる。そう、情報として載せる。

さて、戦術分析記事。

戦術分析記事において重要なのは客観性である。読んだ人が、その通りのことが起こったのであろうと納得できるような記事である必要がある。そのため、基本的にはすべての言及に対してエビデンスが求められる。根拠のないことを言えないということだ。

もっともその根拠が主観的なことは多い。そのあたりが自然科学の論文と違って可愛らしいところなのである。個人的な意見ではあるが、分析系の記事は可愛らしいし、戦術分析を楽しむおじさんたちも可愛い人たちなのである。

だから、ニコ生の裏実況で、熱弁する五百蔵さんはとても可愛いし、お話しもとても面白い。可愛くない方法で戦術を語る人には耳を傾ける必要がない。それは、戦術という名の知的ゲームに対する好奇心や憧れ以上に、自己顕示欲が勝っているからだ。

もっともサッカーはそういう人は多くないのだが(Twitterには多数いるにせよ)、バスケはこういう人が多い印象。バスケのことを書くとマウンティングど怒り系コーチに遭遇することがあり、それは割とよくあることらしい。

さておき、戦術分析記事の場合、厳然たる正解と不正解が存在することは指摘しておかねばならない。

つまり、誰それが行った分析が正解である場合と、不正解である場合があるのだ。

「グアルディオラは左のハーフスペースをわざとがら空きにすることで、リヴァプールの攻撃を空転させた」

という記述があったとする。こういう状況が実際にあったかどうかはさておき、記述上「わざとがら空き」にすると書いてある。つまり、ここではグアルディオラが意図してスペースを空けたと想像している。

しかしながら、実際のところは、グアルディオラは意図などしておらず、別の意図があったのだが、それがうまくいかず、偶然にそのような現象が起こってしまった可能性もある。

結果として「右のハーフスペースががら空きになっていた」ことと「その結果、シティが有利になった」という現象は明らかだろう。これを外す人はいないはずだ。しかし、それが誰のどういう意図なのかまで推察する必要があるため、分析記事は難しい領域へと踏み込むことになる。

その先は推察の世界であり、知的な完成度を試される。逆に言うとこの部分を読めば、著者の教養や観察眼、あるいは、人生観すらも読み解けてしまう。そういう意味で戦術分析記事は面白い。

さて、戦術分析記事において、正解と不正解は厳然として存在している。

グアルディオラは意図していた。
あるいは、グアルディオラは意図していなかった。

ぼくが言いたいのは、戦術分析記事には唯一の正解が存在することと、その解答は誰も知ることが出来ないことだ。もちろん、過去の傾向や、監督の発言などから推測することは出来る。そして、非常に高確度で正しいと言えるような分析をすることも出来る。

しかし、監督本人が正解を教えてくれることはない。仮に正解だと言ったとしても嘘かもしれない。

というわけで正解があるけど、答えがわからない。まるで、大学受験入試問題の解答例のようなものなのだ。

どういうことかというと、大学入試の「問題」は公表されるのだが、「解答」は公表されない。そのため、出版社や予備校が解答を考えるのだが、「解答」が媒体ごとにバラバラになるケースもあるのだ。

難問が多いことで有名だった早稲田大学政経学部の現代文では、(あ)〜(え)までの選択肢を選ぶ問題で、媒体によって(あ)から(え)までの解答が揃ってしまったことがあった(と記憶している)。その結果、受験生は混乱した。

話は逸れるが、早稲田大学の入試問題は、どれだけ考えてもわからない問題がある程度含まれていると聞いたことがある。こうすると、偶然の不正解では揺らがない優秀な層は確保したまま、学力は足りていないのが運だけは良い学生を確保することが出来るのだ。

早稲田の文化は上の1割と下の1割が作ると言われていたように思うのだが(2割だったかも?)、下の1割の多様性を確保するためにわざと解答不能な難問を出すらしい。

当時、受験マニアと化していたぼくは、解答が割れるような問題を非常に面白く受けと言っていた。それぞれの結論があり、そのための論拠がある。そして、それぞれが客観的に説明をしようとしているのだが、最後の最後の確証はない。そこは主観に委ねられる。

最後は崖から飛び降りるしかない。
これが非常に美しい。


一方で、OWL magazineの特徴である旅記事というのはどうなっているのかというと、旅の動機から記事が始まる。ぼくが旅記事において重視していることは二つある。いや、三つか。

……とそれを書きたいのだが、そろそろ有料部分に移らせて頂かねばならない。というのもあまりにも不親切なので、これまでの論と一番フィットするものについてだけ書く。その後にOWL magazineがどうやってfootballistaの後ろに並ぶのかについての、唯一最大の方法について紹介する。

これはやらねばならぬのだ。

さて、旅記事において重視していること。

戦術分析記事の場合には、最後に主観が来る。これは学術論文と同じ構成で、まずは正確かつ客観性のある観察をした後に、そこから読み取れる事実を論じ、最後に主観も交えた考察をする。

(上級者向けに言及すると、一流の研究者は客観的な観察など存在しないことはよくわかっている。すべての観察は観察者の影響を受けるからだ。なので、自分の観察にどの程度まで客観性が担保できているのかを、常に自省し続けることが求められる。)

戦術分析は最後に主観が来る。
一方で旅の記事は最初に主観が来る。

ぼくが旅記事において最も重視しているのは「ぼくが旅に出る理由」である。つまり、旅の動機である。

確たる旅の動機がある場合、記事は必ず輝く。逆に何となくふらっと訪れたというような記事の場合には、当たりも外れもある。

旅記事は動機で決まる。そして、動機は主観的である。つまり、旅は主観から始まるのだ。

というのが一つ目。あと二つあるのだが、そちらは有料部分とさせて頂く。


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中村慎太郎 旅とサッカーを紡ぐOWL magazine

作家・Youtuber。偏差値30からの大学受験を経て東京大学文科Ⅱ類(経済系)→文学部に進学(宮沢賢治の生命観)→大学院は理転して農学系(アワビ類の行動生態および繁殖生態の比較)→自主退学しスポーツ系の物書きに。著書『サポーターをめぐる冒険』がサッカー本大賞2015を受賞。

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